【建設業】JCIPは流行らない?
現在、長らく書面申請に限定されていた建設業許可申請も電子化が進んでいます。
具体的には建設業の許可申請及び経営事項審査の2点について令和5年1月から電子申請(JCIP)が可能になりました。
デジタル化に移行したことでペーパーレスが進むのかと思いきや、この制度はかなり問題あるようです。
以下、JCIPの問題点について洗い出していこうと思います。
結局、書面で申請したほうが圧倒的に早い
JCIP申請は書面申請より遥かに時間がかかります。
「せっかく電子化したのにアナログより遅いわけがないだろう!」
そう思われた方も多いと思います。ですが、これは事実です。
まず、書面申請では窓口に提出した段階で担当者のチェックを受けることができます。
不備があればその場で指導され、簡単な不備ならばその場で補正が可能です。
つまり、窓口の担当者が実質的に審査官のようなものなのです。
問題なく受理されれば許可が通る可能性が高いです。
しかし、JCIP申請では、その場指導&その場補正ができません。
送信したデータに不備があれば、無情にも不受理の通知が来るだけです。
その都度、補備・再送をすることになります。結果として書面申請より受理が遅くなりがちです。
これは、JCIP申請の場合でも担当者が一件ずつ内容を確認して審査しているからです。
自分もデジタル化したのだから審査もAI等を駆使した全自動化されていると考えていましたが、実態は違います。
電子申請も書面申請も、結局は人間が一件ずつ審査しているのです。
手数料を払う際に後れを取りやすい
また、許可申請の手続きの流れとしては、
①申請書類作成
②申請書類の提出
③申請書類の受付、窓口での内容の審査
④手数料の納付
⑤申請書類の審査
⑥許可通知書の交付
となります。
書面申請であれば③の窓口審査が通れば手数料の納付書を渡され、そこから手数料納付の流れになります。
迅速に進めば申請したその日のうちに手数料納付まで完了することが可能です。
しかし、JCIP申請で問題となるのが④の手数料の納付です。
③の受付・審査が完了した後に問題がなければ手数料納付の通知が来て、そこから手数料を納付します。
つまり、書面申請より1つ工程が多くなるのです。
このため、書面申請より時間がかかりやすいのです。
JCIPの普及率
以上のような難点があるため、現在までのJCIP申請の普及率は極めて低いようです。
公式な発表はありませんが、全国的な普及率はまだ1~2%程度であるようです。
JCIPは今後どうなるか?
これまでJCIPの問題点を列挙してきましたが、当然良い面もあります。
遠隔地にいる場合でも申請ができますし、申請時に大量の書面を携行しなければならないストレスからは解放されます。
世の中の大抵のものは、利点もあれば欠点もあるものです。
JCIPはJCIPを上手に乗りこなせる人であれば有効な手段です。
また、現在では窓口審査が担当者の目視確認しかありませんが、今後、審査も全自動化が実現すればJCIPの弱点である「遅い」という点も改善されるでしょう。
まだまだ始まったばかりで欠点に目が行きがちですが、自分としては今後の進歩に大きな期待が持てる制度でもあると感じています。
JCIPについてより詳しく知りたい方は、以下のリンクから詳細を参照できます。
建設産業・不動産業:建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP:Japan Construction Industry electronic application Portal) - 国土交通省 (mlit.go.jp)
また、この他にも建設業に関する情報を逐次投稿しておりますので、他の記事もご覧ください。
建設業許可 アーカイブ - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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