所有者不明の農地を貸借する方法とは?〜農地中間管理事業の活用と法的手続き〜

農地の所有者が死亡し、相続人が不明なまま放置されている農地も存在します。このような場合、農業者としてどのように対応すればよいのでしょうか。
今回は、所有者不明の農地を借り受けるための制度である「農地中間管理事業」を中心に、その手続きや法的根拠について詳しく解説します。

農地中間管理事業とは?

所有者が不明な農地を利用するための制度として「農地中間管理事業」があります。この制度は、農地の有効活用を促進するために、農地の貸借に関する法的手続きが定められています。

農地中間管理事業の概要

農地中間管理事業は、農地の利用権を適切に設定し、農業者に貸し付けることを目的とした制度です。所有者が死亡し、その農地の所有者が不明な場合、農業委員会が利用状況調査を実施し、必要に応じて所有者の探索を行います。この探索の結果、所有者が判明しない場合には、都道府県知事の裁定により農地中間管理機構に農地中間管理権が設定され、その農地を農業者等に貸し付けることが可能となります。

所有者不明の農地を借りる手続きの流れ

所有者が不明な農地を借りるための手続きは、次のような流れで進められます。

農業委員会による利用状況調査の実施

農業委員会は、所有者不明の農地に対して、まず利用状況調査を行います。この調査により、その農地が引き続き耕作に供されないことが確認されます。

所有者等の探索

利用状況調査の結果、所有者が判明しない場合、農業委員会はさらに所有者等の探索を実施します。この探索には一定の期間が必要です。

公示と通知

探索の結果、過半数の持分を有する所有者が判明しない場合、農業委員会はその旨を公示し、所有者等に対して通知を行います。通知後、2か月以内に権利を主張する者が現れない場合、その農地は農地中間管理機構に通知されます。

都道府県知事による裁定

農地中間管理機構は通知の日から4か月以内に、都道府県知事に対し、当該農地を利用する権利の設定に関する裁定を申請します。

農地中間管理権の設定

都道府県知事が農地中間管理権を設定する裁定を行い、その旨を公告します。この時点で、農地中間管理機構に農地中間管理権が設定され、農業者等に貸し付けることが可能になります。

まとめ

所有者が不明な農地を利用する際には、農地中間管理事業を活用することが有効です。この制度を通じて、農業者は地域の農地を有効に活用し、持続可能な農業経営を実現することが可能です。手続きには一定の時間と手間がかかるものの、法的な根拠に基づいて進められるため、安心して利用することができます。所有者不明の農地に対する対応が必要な場合には、今回解説した手続きを参考に、適切な対応を進めていきましょう。

最後に

今回は農地中間管理事業について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が農地転用許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。

また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

なお、業務に関するお問い合わせは、下記のお問い合わせ方法からいつでもどうぞ。
お問い合わせ - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

併せて読みたい記事

国有農地とは?農地転用を検討する際の基礎知識

今回は、国有農地の定義やその管理体制について詳しく解説していきます。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です