建設業における令3条使用人の常勤性について – 非常勤でも可能なのか?

建設業界において、営業所や支店の代表者として位置付けられる令3条使用人の役割は非常に重要です。
今回は、「令3条使用人は常勤でなければならないのか?」という疑問に焦点を当て、その法的背景や実務的な取り扱いについて詳しく解説します。

令3条使用人とは?

令3条使用人とは、正式には「建設業法施行令第3条に規定する使用人」のことを指します。
これは、通常は支店長や営業所長などが該当します。しかし、単に役職名だけでこの令3条使用人に該当するわけではありません。具体的には、支店や営業所など、建設業を営む事業所の代表者が令3条使用人に当たります。

(使用人)
第三条法第六条第一項第四号(法第十七条において準用する場合を含む。)、法第七条第三号、法第八条第四号、第十二号及び第十三号(これらの規定を法第十七条において準用する場合を含む。)、法第二十八条第一項第三号並びに法第二十九条の四の政令で定める使用人は、支配人及び支店又は第一条に規定する営業所の代表者(支配人である者を除く。)であるものとする。

建設業法施行令

令3条使用人はその営業所における建設工事の見積、入札、請負契約の締結などに関する権限を持つ者です。すなわち、この権限が与えられていない者は令3条使用人に該当しません。したがって、役職名が支店長であっても問題なく、その人物が令3条使用人となることが可能です。
また、令3条使用人は役員であることは求められていません。

常勤性の要件とその法的根拠

建設業法上では、令3条使用人は常勤であることが必須ではありません。
非常勤であっても令3条使用人としての役割を果たすことは可能です。しかし、ここで重要なのは、建設業許可事務ガイドラインにおいて、「原則として、当該営業所において休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事している者がこれに該当する」とされている点です。

このガイドラインから判断すると、非常勤であっても令3条使用人としての任務を果たすことは理論上可能です。しかし、実務的には非常に難しいと考えられます。ガイドラインは、令3条使用人がその職務を遂行するためには、実質的に常勤であることを求めていると言えるでしょう。

広島県における取り扱い

さらに具体的な例として、広島県の建設業許可に関する手引きでは、令3条使用人に関して「常勤でなければならない」との要件が明示されています。これにより、非常勤の令3条使用人を認めない方針が明らかになっています。このように、地方自治体ごとにこの取り扱いが異なる可能性があることを示しています。

様式第十一号(第四条関係) 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表

建設業法施行令第3条使用人は、当該営業所への常勤を要するため、他の営業所との兼務はできない。

広島県建設業許可申請の手引き 令和5年9月以降

常勤性の確認資料について

令3条使用人が常勤であるかどうかを確認するための資料として、これまで提出が求められていたのは、住民票や健康保険証の写し、権限確認のための辞令や委任状などが一般的でした。しかし、令和2年4月の国土交通省による申請書類の簡素化に伴い、大臣許可においてはこれらの確認資料の提出が不要となりました。

この変更により、一見すると非常勤でも良さそうな印象を受けるかもしれません。しかし、前述の通り実務上は依然として常勤性が求められるケースが多いのが現状です。

今後の注意点と提案

令3条使用人を任命する際には、各自治体のガイドラインや手引きを十分に確認しましょう。また、非常勤の者を選択する場合は許可行政庁に事前に確認を行うことが推奨されます。これにより、スムーズな申請とトラブルの回避が可能となります。

さらに、法改正やガイドラインの更新が今後もあり得えます。常に最新の情報を常にキャッチアップすることが重要です。企業としても、法令遵守の観点から、定期的な社内研修や外部コンサルタントの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、建設業における令3条使用人の常勤性について、法的な背景や実務上の取り扱いを中心に解説しました。
結論として、法律上は非常勤の令3条使用人も認められる余地はあります。しかし、実務的には常勤であることが強く求められることが分かります。特に、地方自治体ごとの手引きやガイドラインに従うことが重要です。

このように、建設業における重要な要件である令3条使用人の常勤性について、しっかりと理解しておくことは、企業運営において非常に重要です。

最後に

今回は令3条使用人の役割ついて解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が建設業許可について学びたい方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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