法人の印鑑提出方法と注意点
会社を設立する際には、様々な手続きが必要となります。その中でも特に重要なのが印鑑の提出です。法人の印鑑提出は、単なる形式的な手続きにとどまらず、会社の信用や法的効力にも関わる重要なポイントです。今回は、法人の印鑑提出について、その手続きや注意点を詳しく解説します。
目次
法人の印鑑提出の基本
登記所への印鑑届書の提出
法人が印鑑を提出する場合、まず登記所に対して印鑑届書を提出する必要があります。これは会社の設立登記申請と同時に行うことが一般的です(商業登記規則第9条)。この印鑑届書により届け出られた印鑑が登記所届出印(会社実印)となります。
印鑑届書には、会社実印の他に、会社代表者の個人実印を押した上で、その個人の印鑑登録証明書を添付する必要があります(商業登記規則第9条第5項第4号等)。この際の個人の印鑑登録証明書は作成後3か月以内のものでなければいけません。オンライン提出の場合には、印鑑届書に商業登記規則で指定された個人の電子証明書を添付して行います。
外国人の場合の特例
外国人が代表者である場合には、印鑑届書の署名が本人のものであることを証明する書類を本国官憲(日本における領事その他の権限がある官憲)により作成してもらい、添付する必要があります。
印鑑登録の時期と手続き
設立登記と同時に行う印鑑登録
株式会社をはじめとする会社法に基づく会社は、その本店の所在地を管轄する登記所に対して設立登記を申請することにより成立します(会社法第49条、第579条)。この際、会社の代表者(代表取締役等)は、印鑑の提出を選択した場合、設立登記申請書類と一緒に「印鑑届書」を提出するか、電子証明書を添付して送信する必要があります。
代表者交代時の印鑑登録
印鑑登録した会社の代表者が交代したときは、新たに印鑑登録を行う必要があります。
登記所届出印の要件
リアル印鑑の制限事項
個人の場合とは異なり、法人の実印には以下のような制限があります。
- 会社実印となる印鑑のサイズは、辺の長さが1cmの正方形に収まるもの、または3cmの正方形に収まらないものは使用できません(商業登記規則第9条第3項)。
- 照合に適するものでなければなりません(同条第4項)。
上記のサイズ要件を満せば、丸印に限らず角印等を実印とすることも可能です。しかし、シャチハタ印等の浸透印やゴム印等の変形し易く照合に適さない印鑑は登録できません。
印鑑の表現に関する制限
個人の印鑑条例のような制限はありません。そのため、照合が可能であれば以下のような印鑑も届け出ることができます。
- 会社名が一切読み取れない印鑑
- 会社名がなく個人名のみの印鑑
- 会社名と異なる会社名が読み取れる印鑑
印鑑の提出方法
「印鑑届書」により届け出ます。この印鑑届書には会社実印の他、会社の代表者(代表取締役等)の個人実印を押し、その印鑑について市区町村長が作成した証明書(作成後3か月以内のもの)を添付します(商業登記規則第9条第5項)。会社設立時の登記申請と同時に印鑑届書を提出する場合、登記の添付書類として当該印鑑証明書を添付していれば、それを援用することもできます(同規則第61条第4項)。
オンライン提出の方法
オンライン提出の場合には、印鑑届書に個人の電子証明書を添付して他の書類と一緒に送信します。
まとめ
法人の印鑑提出は、会社設立の際に欠かせない重要な手続きの一つです。提出方法や必要書類、注意点をしっかりと理解し、適切に手続きを行う必要があります。特に、印鑑のサイズや形状に関する規定、代表者交代時の再登録の必要性など、細かな点に留意することが重要です。これにより、会社の信用と法的効力を確保することができます。
商業登記規則や会社法などの法令を遵守し、適切な手続きを行うことで、法人としての信頼性を高めることができます。法人の印鑑提出に関する疑問や不明点がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。
最後に
今回は法人の印鑑提出について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が印鑑制度について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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