動力消防ポンプ設置基準について

火災が発生した際、迅速に消火活動を行うためには、適切な消防設備が必要です。特に大規模な建物や特殊な用途の施設では、動力消防ポンプの設置が重要な役割を果たします。しかし、動力消防ポンプの設置基準や代替関係については、多くの方が理解しづらいと感じる部分もあるでしょう。今回は、動力消防ポンプの基本的な情報から、技術的基準、設置基準について詳しく解説します。

動力消防ポンプとは

動力消防ポンプとは、エンジン付きの消防ポンプで、移動が可能な設備のことを指します。大きく分けて、消防ポンプ自動車と可搬式消防ポンプの2種類があります。

消防ポンプ自動車

消防ポンプ自動車は、ポンプが自動車の車台に固定されており、消防署に配置されていることが一般的です。しかし、自衛消防隊用として使用されることもあります。

可搬式消防ポンプ

可搬式消防ポンプは、人力で搬送するか、車両や自動車の車台に取り外し可能な形で取り付けて搬送されます。このタイプは、燃料や冷却水などの液体を取り除いた際の重量が150kg以下であることが基準となっています。

技術的基準について

動力消防ポンプ装置の設置にあたっては、以下の技術的基準が求められます。

水源の近くに設置

動力ポンプ装置は原則として水源の近くに設置する必要があります。これは、迅速に大量の水を供給できるようにするためです。

放水量の基準

屋内消火栓の設置が義務付けられている建物については、毎分0.2m²以上の放水量が必要です。屋外消火栓の場合は毎分0.4m²以上の放水量が求められます。

水源の配置

水源の配置については、防火対象物が以下の半径以内に収まるように配置する必要があります。

放水量設置範囲の半径
毎分0.5m²以上100m以内
毎分0.4m²以上0.5m²未満40m以内
毎分0.4m²未満25m以内

さらに、水源の水量については、20分以上連続して放水できるだけの量を確保する必要があります。

屋内消火栓設備や屋外消火栓設備との代替関係

大規模建築物の1階と2階については、屋外消火栓設備と動力消防ポンプのいずれか一方を設置すればよいとされています。両方を設置した場合、その建物の1階と2階については屋内消火栓設備を設置する必要がありません。ただし、屋内消火栓設備を設置した場合でも、屋外消火栓設備は設置しなければなりません。

動力消防ポンプ設置基準

動力消防ポンプの設置基準は以下のように定められています(消防法施行令11条、19条、20条および別表第1に基づく)。

防火対象物 (消防法施行令別表第1)動力消防ポンプ設置基準
劇場や映画館など
公会堂・集会場
キャバレー、カフェーなど
遊技場・ダンスホール
性風俗関連特殊営業の店舗など
カラオケボックスなど個室の店舗など
待合・料理店など
飲食店
百貨店、マーケットなどの店舗・展示場
旅館・ホテルなど
寄宿舎、下宿・共同住宅
病院・診療所など
老人、障がい者の入所施設
老人、障がい者、児童等のデイサービス・訓練施設など
幼稚園・特別支援学校
小学校・中学校・高校・大学など
図書館、博物館、美術館など
蒸気浴場、熱気浴場等
公衆浴場
車両の停車場、船舶、航空機の発着場
神社、寺院、教会など
工場、作業場
映画スタジオ・テレビスタジオ
自動車車庫・駐車場
飛行機などの格納庫
倉庫
倉庫以外の事業場
屋内消火栓設置基準に準じる屋外消火栓設置基準に準じる
※1
以下のものに関する複合用途防火対象物
劇場や映画館など
公会堂、集会場
キャバレー、カフェーなど
遊技場・ダンスホール
性風俗関連特殊営業の店舗など
カラオケボックスなど個室の店舗など
旅館・ホテルなど
病院・診療所など
老人・障がい者の入所施設
老人デイサービスセンターなど
幼稚園・特別支援学校
蒸気浴場、熱気浴場等
地下街
屋内消火栓設置基準に準じる設置対象外
地下街
建造物の地下道に面した部分+地下道
上記※1の用途で用いられている場合
設置対象外設置対象外
重要美術品として認定された建造物
延長50m以上のアーケード
設置対象外屋外消火栓設置基準に準じる

(注) 屋外消火栓設備等の設置により、設置義務が免除される場合があります。

まとめ

動力消防ポンプの設置は、火災発生時の初期対応を迅速に行うために極めて重要です。設置基準や技術的要件を理解し、適切な場所に適切な設備を配置することで、被害を最小限に抑えることができます。今回紹介した基準を参考に、自身の施設に必要な消防設備を見直し、万が一の際に備えてください。特に、防火対象物の種類や用途に応じた基準を遵守することが求められます。しっかりと準備を行い、安全な環境を維持しましょう。

最後に

今回は動力消防ポンプ設置基準について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が消防法について学びたい方の参考になれば幸いです。

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