消防用設備等の届出や検査について解説
消防用設備が正常に機能することは、火災やその他の緊急事態において人命や財産を守るために極めて重要です。しかし、これらの設備が設置されているだけでは不十分であり、定期的な点検と適切なメンテナンスが必要です。今回は、消防用設備の届出や検査について詳しく解説し、どのようにしてこれらの設備を維持し、法令に基づいて適切に管理するかを説明します。
目次
消防用設備の点検の種類
消防用設備には、消防用ホース、消火器、スプリンクラー設備、漏電火災警報器、火災報知設備など多岐にわたる機器があります。これらの機器は、「消火設備」および「警報設備」として分類され、また金属製避難はしごや緩降機などの「避難設備」も含まれます。これらの設備を使用するには、検定に合格している必要があります。
機器点検と総合点検
点検の方法には、主に「機器点検」と「総合点検」の2種類があります。
機器点検
非常電源や動力ポンプの正常作動、設備の配置や損傷の有無、機能確認などを行います。これは消防用設備が適切に配置され、損傷がないか、またその機能が正常であるかを確認するための点検です。
総合点検
消防用設備を実際に起動させたり使用したりして、その総合的な機能が基準に適合しているかどうかを確認します。設備が実際の火災時に正しく機能するかを確認するための点検です。
機器点検と総合点検
消防用設備の点検には、大きく分けて「機器点検」と「総合点検」の2種類があります。それぞれの点検方法と内容を以下に詳しく解説します。
機器点検
機器点検では、主に以下の項目について点検が行われます。
非常電源や動力ポンプの正常作動
非常時に電源が確保されるか、動力ポンプが適切に機能するかを確認します。非常電源は、停電時でも消防用設備が機能するための重要な要素です。
設備の配置確認
消防用設備が正しい位置に設置されているかを確認します。適切な配置は、緊急時の迅速な対応に欠かせません。
設備の損傷の有無
消防用設備に物理的な損傷がないかを点検します。損傷がある場合、その修理や交換が必要となります。
機能確認
消防用設備が本来の機能を正常に果たしているかを確認します。例えば、消火器の圧力やスプリンクラーヘッドの開閉機能などをチェックします。
総合点検
総合点検では、実際に設備を起動させてその総合的な機能を検証します。具体的には以下の内容を確認します。
設備の起動
消防用設備を実際に起動し、その動作を確認します。例えば、火災報知機を作動させて警報が正しく鳴るか、スプリンクラーが水を噴射するかなどをチェックします。
使用状況の確認
設備を使用する際の操作性や応答性を確認します。緊急時にスムーズに操作できるか、レスポンスが適切かを評価します。
基準適合性の確認
設備が法令や規格に適合しているかを確認します。これは、消防用設備が法律で定められた性能基準を満たしていることを保証するための重要なステップです。
このように、機器点検と総合点検は、それぞれ異なる角度から消防用設備の状態を確認し、緊急時に備えるための重要なプロセスです。定期的な点検を行うことで、設備が常に最適な状態であることを確認し、安心・安全な環境を維持することができます。
点検頻度と報告制度
消火器や火災報知設備、誘導灯などの設備については、6か月に1回の機器点検が必要です。屋内消火栓設備やスプリンクラー設備などは、6か月に1回の機器点検と1年に1回の総合点検が義務付けられています。また、配線については1年に1回の総合点検が必要です。
定期点検報告制度
防火対象物の関係者は、設置された消防用設備等や特殊消防用設備等を定期的に点検し、その結果を消防長や消防署長に報告する必要があります。この制度を「定期点検報告制度」と呼びます。点検は消防整備士の免状を持つ者や消防設備点検の資格を有する者に行わせなければなりません。
点検が必要な防火対象物には、延べ面積が1000平方メートル以上の特定防火対象物、特定防火対象物以外で延べ面積が1000平方メートル以上のもので、消防長または消防署長が指定しているものが含まれます。また、避難階以外の階に特定用途で使用される部分があり、避難階以外の階から地上に直通する階段が2つ以上ないものも点検対象となります。
届出や検査、定期点検が必要な場合
消防法(第17条の3の2)に基づき、学校や病院、工場などの防火対象物には、基準に沿った消防用設備等の設置が義務付けられています。設備の設置工事が完了した場合、その旨を設置完了後4日以内に消防長または消防署長に届け出て、検査を受ける必要があります。
一部の設備設置については、甲種消防設備士などの資格を持つ者でなければ行うことができないと規定されています(消防法第17条の5)。これにより、甲種消防設備士に対して設備の設置を依頼することが一般的です。さらに、工事着工の10日前までに工事の詳細を届け出る必要があります(消防法第17条の14)。
国家検定制度
消防用設備等が十分な効果を発揮するためには、性能が確保されていなければなりません。そのため、消火器や住宅用防災警報器、火災報知設備の感知器や発信機、スプリンクラー設備などの機器について、国家検定制度が設けられています。検定に合格した機器には合格表示が付与され、これによって販売や設置が認められます。
まとめ
消防用設備の点検や届出、検査は、法律に基づいて適切に行う必要があります。特に、消防法に定められた義務を遵守することで、いざというときに人命や財産を守ることができます。消防用設備の設置後も定期的な点検とメンテナンスを怠らず、常に機能を維持することが重要です。法令に基づいた適切な管理を行い、安全な環境を確保しましょう。
この記事を通じて、消防用設備の重要性とその管理方法について理解を深めていただければ幸いです。消防用設備の点検や管理に関するさらに詳しい情報が必要な場合は、専門の行政書士にご相談ください。
最後に
今回は消防用設備等の届出や検査について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が消防法について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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