法人設立後に必要な議事録作成の重要性と具体的な手順

法人を設立する際には、多くの手続きが伴いますが、設立後の運営においても重要な手続きがあります。その中でも特に重要なのが「議事録の作成」です。議事録は、株主総会や取締役会などの会議内容を記録した文書であり、法的な保存期間や罰則が義務付けられています。今回は、議事録の作成方法とその重要性について詳しく解説します。

議事録の作成方法

議事録の役割と重要性

議事録は、会議や商談の内容を記録した文書です。法人の重要事項を決定するために行われる会議の内容を正確に記録し、出席者や関係者間で確認・徹底するための社内文書として使用されます。また、会議に出席できなかった人々にも情報を伝える役割があります。会議の種類によっては、外部からの閲覧も可能であるため、詳細な内容が時系列に沿ってわかりやすく記載されていることが求められます。

議事録作成の具体的な方法

  1. 記録方法の選択:会議の発言内容を記録する方法として、メモ、速記、テープレコーダー、音声認識技術などがあります。企業や自治体では、音声認識技術を導入することで自動的にテキスト化する方法も一般的です。
  2. 注意点
  • 事実のみを簡潔に記載:個人的な感想は入れず、事実のみを簡潔に書きます。
  • 発言者と内容を時系列に沿って記載:誰が何を発言したかを明確にし、時系列に沿って記録します。
  • 決定事項と保留事項の明記:何が決定され、何が保留事項となっているのかを明確に記載します。
  • 署名や記名押印:会議の出席者が署名または記名押印する必要がある場合があります。
  1. 議事録の形式:議事録の体裁は組織によって異なることが多いですが、法定記載事項を漏れなく記載することが重要です。株式会社の議事録の場合、会社法および会社法施行規則で定められた事項を記載しなければなりません【会社法369条3項】【会社法393条2項】。

電磁的記録の利用

議事録を電磁的記録で作成することも可能です。電磁的記録とは、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録メディアに情報を記録する方法です。これにより、署名や記名押印の代わりに電子署名を使用することができます。

法定記載事項の重要性

法定記載事項を確実に記載することは、法令遵守の観点からも重要です。株式会社の場合、株主総会や取締役会の議事録には、出席した取締役および監査役が署名または記名押印する必要があります。これにより、議事録の真正性が保証されます。

NPO法人の通常総会議事録の例

以下に、特定非営利活動法人の議事録の具体例を示します。これは、実際の会議内容をどのように記録するかの参考となります。


特定非営利活動法人○○

令和〇年度 通常総会議事録

  • 開催日時:令和〇年〇月〇日 午前10時00分から午前11時30分まで
  • 開催場所:北海道札幌市〇区○○丁○○
  • 正会員総数:50名
    • 出席者数:35名
    • 委任状を提出した正会員数:11名

議案

  1. 第1号議案:令和〇年度(第1期) 事業報告の件
  2. 第2号議案:令和〇年度(第1期) 会計報告の件
  3. 第3号議案:令和〇年度(第2期) 事業計画承認の件
  4. 第4号議案:令和〇年度(第2期) 予算承認の件
  5. 第5号議案:借入金承認の件
  6. 第6号議案:定款変更の件

議事の経過の概要及び議決の結果

開会の宣言

理事長aは、本総会が適法に成立した旨を述べ、開会を宣言した。続いて、議長の選任について諮ったところ、満場一致でaが選任された。aは議長席につき、議事録署名人に理事b、c、a、監事dの4名を推薦し、議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認された。その後議案の審議に入った。

第1号議案 令和〇年度(第1期) 事業報告の件

議長より令和〇年度(第1期)の事業報告が行われ、監事dより理事の業務執行の妥当性について報告がなされた。議長は、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。

第2号議案 令和〇年度(第1期) 会計報告の件

議長より令和〇年度(第1期)の会計報告が行われ、監事dより会計手続きの妥当性について報告がなされた。議長は、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。

第3号議案 令和〇年度(第2期) 事業計画承認の件

議長より令和〇年度(第2期)の事業計画案について説明がなされた。議長は、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。

第4号議案 令和〇年度(第2期) 予算承認の件

議長より令和〇年度(第2期)の予算案について説明がなされた。議長は、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。

第5号議案 借入金承認の件

議長は、令和〇年度 (第2期)の活動において、青葉銀行より50万円の借入金を実施したい旨を説明し、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。

第6号議案 定款変更の件

議長は、定款第2条第2項に定める、その他の事務所を北海道千歳市○区〇丁〇〇に移転したい旨を説明し、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。

以上をもって全ての議案の審議が終了し、議長は閉会を宣言した。以上の決議を明確にするため、この議事録を作成し、議事録署名人がこれに記名押印する。


令和〇年〇月〇日

議長 a ㊞
議事録署名人 b ㊞
議事録署名人 c ㊞
議事録署名人 d ㊞

まとめ

議事録の作成は、法人運営において欠かせない重要な手続きです。適切に記録された議事録は、組織の透明性を高め、法令遵守の証明にもなります。正確な議事録を作成するためには、法定記載事項を遵守し、発言内容を正確に記録することが求められます。また、電磁的記録の活用により、議事録作成の効率化も図ることができます。法人設立後の運営において、議事録の重要性を理解し、適切に対応することが、健全な法人運営の第一歩となります。

最後に

今回は法人の議事録の作成方法について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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