法人の青色申告制度とは?メリット・手続き・提出期限を徹底解説

法人税の申告制度には「青色申告」と「白色申告」があります。
中でも「青色申告」は、一定の帳簿を備え付けて正確な記帳を行う法人に対して、税務上のさまざまな優遇措置が認められる制度です。

税務署へ「青色申告の承認申請書」を提出し、帳簿の整備・保存義務を果たすことで、損失の繰越控除や欠損金の繰戻還付などの大きなメリットを享受できます。

✅【POINT】青色申告は「申請制」です。自動的に適用されるわけではありません。


青色申告制度の7つの節税メリット

結論から述べると、メリットは「非常に税金が安くなる」ということです。
これだけで十分すぎるほどの恩恵があります。経営者ならば使わない手はないでしょう。
これだけでは解説が味気がなさすぎるので、少しだけ詳しく解説します。

1. 青色欠損金の繰越控除(法人税法第57条)

青色申告を行っている法人がその事業年度に赤字(欠損金)を出した場合、その金額を翌事業年度以降の黒字から控除できる制度です。控除できる期間は最大10年間(改正前は9年)であり、法人税の大幅な軽減が見込めます。

たとえば、設立初年度に200万円の赤字が発生した法人が、翌年度に300万円の利益を計上した場合、この赤字200万円を差し引いた100万円にのみ法人税が課税されます。

🔍創業初期の赤字を将来の利益で相殺でき、経営リスクの緩和につながります。

2. 欠損金の繰戻還付(法人税法第80条)

設立2年以内の中小法人等に限り、赤字を出した年度の損失を前期(黒字だった年度)にさかのぼって適用することができ、既に納付した法人税の一部を還付してもらえる制度です。

たとえば、1期目に300万円の黒字が出て法人税を納付し、2期目に400万円の赤字となった場合、その赤字を1期目に繰り戻して、納めすぎた法人税を返してもらうことができます。

✅キャッシュフローの改善に大きく貢献し、特に設立初期の資金繰りに効果的です。

3. 特別償却・特別控除の適用(租税特別措置法)

青色申告法人は、税制上の特別措置として、一定の要件を満たす設備投資に対し以下のような特典を受けることができます。

  • 少額減価償却資産(取得価額30万円未満)の即時損金算入
  • 中小企業投資促進税制:特定資産の即時償却または税額控除(通常7%〜10%程度)

これにより、設備投資を積極的に行う法人は初年度の課税所得を圧縮し、法人税の負担を軽減することが可能になります。

⚙️会計上は資産計上される設備でも、税務上は一括費用処理できることがあり、節税効果が非常に高いです。

4. 推計による更正の禁止(国税通則法第70条)

青色申告法人が適正な帳簿を備え、保存している場合、税務署は帳簿に基づかずに「推計」で課税処分をすることが原則としてできません。これにより、正確な帳簿を備える法人は、税務署による一方的な課税リスクから守られます。

✅「帳簿がすべての証拠」となるため、青色申告をしていれば、記録を根拠に主張・防御が可能になります。

5. 更正通知書の理由付記義務(国税通則法第74条)

税務署が法人に対して更正処分(税額の修正など)を行う場合、その理由を明記した「更正通知書」を必ず交付する必要があります。

この義務により、法人側はなぜその処分がなされたのかを明確に理解でき、必要であれば異議申立てや審査請求を行うことができます。

✅「納税者の知る権利」を確保する制度であり、不透明な処分から法人を守ります。

6. 準備金の損金算入(法人税法第52条等)

青色申告法人は、一定の引当金や準備金について損金算入をすることが可能です。これにより、将来に備えた費用を現在の経費として処理でき、課税所得の平準化と節税が実現できます。

代表的なもの:

  • 災害損失準備金
  • 貸倒引当金
  • 修繕引当金 など

✅必要経費として認められることで、実際に支出が発生していなくても節税が可能です。

7. 直接審査請求が可能(国税通則法第78条)

通常、税務署からの課税処分に不服がある場合は、その税務署長に異議申立てをした上で、次に国税不服審判所に審査請求を行います。

しかし、青色申告法人はこのステップを省略し、直接「国税不服審判所」へ審査請求が可能です。

✅時間と手間を省き、迅速かつ公正な判断を受けられるため、納税者の防御力が向上します。

このように、青色申告を選択することで、税額の軽減だけでなく、税務調査や処分に対する安心・防御体制も構築できる点が大きな魅力です。


青色申告の手続きと提出方法

青色申告の適用を受けるためには、税務署へ「青色申告の承認申請書」を提出する必要があります。

【提出先】

法人の本店所在地を管轄する税務署

【提出書類】

  • 青色申告の承認申請書(法人用)

【提出期限】

法人の状況提出期限
設立第1期設立日から3か月以内または設立事業年度終了の日の前日、いずれか早い日まで
既設法人青色申告を開始したい事業年度開始日の前日まで

【提出方法】

  • 書面提出(持参または郵送)
  • 電子申告(e-Tax)

ちなみに電子申告の方が圧倒的に簡単です。これから申請を検討されている方は電子申請を積極的に活用しましょう。


青色申告の承認後と注意点

  • 承認通知が事業年度末までに届かない場合は「みなし承認」とされます。
  • 一度承認されれば、毎年申請し直す必要はありません。
  • 帳簿不備・無申告による取り消し歴があると、再申請が認められにくくなります。

帳簿整備の要件と保存期間

青色申告には「複式簿記による記帳」が求められます。作成・保存すべき主な帳簿は以下の通りです。

  • 仕訳帳・総勘定元帳
  • 現金出納帳・売掛帳・買掛帳
  • 貸借対照表・損益計算書

保存期間は原則7年間(重要帳簿は10年間)です。

✅適切な帳簿整備があれば、税務署による推計課税や不当な更正を回避できます。


青色申告が向いている法人の特徴

  • 設立初期の赤字計上が見込まれる法人
  • 設備投資を行う中小法人
  • 会計体制が整っている法人
  • 将来黒字化を見込むスタートアップ

制度を活用するためのコツ

  1. 専門家(税理士)に記帳・申告を委託する
  2. 投資・支出のタイミングを計画的に管理
  3. 節税だけに偏らず、経営判断とバランスを取る

不安な場合は専門家へ早めの相談を

設立初年度に提出期限を逃すと、その年は白色申告となり、大きな損失です。記帳や申告に不安がある法人は、専門家に早めの相談を行いましょう。


まとめ

青色申告制度は、節税・資金繰り改善・税務対策といった多くの効果をもたらします。帳簿の整備や申請手続きをしっかり行うことで、法人の経営安定にも直結します。

✅まずは「正確な帳簿体制」と「申請期限の厳守」から始めましょう。


制度の詳細・申請書ダウンロード

👉 国税庁|青色申告の承認申請書(法人用)
👉 国税庁|法人税の手続一覧

最後に

今回は法人税の青色申告の届出について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
No.2070 青色申告制度|国税庁 (nta.go.jp)

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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