法人税の青色申告制度を活用しよう:節税のメリットと手続き方法

ビジネスを運営している皆さん、法人税の申告で少しでも節税をしたいと思いませんか?法人税の青色申告制度を利用することで、様々な税制上の特典を受けることができます。今回は、青色申告の具体的なメリットと、その手続き方法について詳しく解説します。特に、中小企業のオーナーや経理担当者にとっては必見の内容です。

青色申告とは何か

まず、青色申告とは何かを理解しておきましょう。法人税は「申告納税制度」を採用しています。確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類の申告形式があります。このうち、帳簿書類の備付けを促し申告納税制度を普及させる目的から、青色申告が奨励されています。

青色申告とは、所定の帳簿を備え付けて日々の取引を記録し、自ら所得を正しく計算したうえで、青色の申告書を提出する制度です。この制度を利用することで、所得計算において様々な特典が与えられます。

青色申告の特典

青色申告者には、多くの税制上の特典があります。それぞれの特典について詳しく見ていきましょう。

青色欠損金の繰越控除

青色申告を行った年度の損失を、赤字の出た年の翌年から9年間にわたって繰り越して控除することができます。これにより、翌年以降に黒字化した場合に課税所得を減少させることができ、大きな節税効果を得られます。例えば、2021年度に100万円の損失が出た場合、2022年度から2030年度までの黒字からこの100万円を控除することが可能です。

欠損金の繰り戻し還付

その年に出た損失を前年分の税額から還付する制度です。具体的には、確定申告書と共に所定の還付請求書を提出することで、前年分の税額の一部または全額の還付を受けることができます。これは翌年以降に赤字が見込まれる場合や資金繰りを良くするために有効です。

租税特別措置法による特別償却、特別控除

青色申告者には、租税特別措置法に基づき、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額を一度に損金として計上することができます。また、各種の所得に対する特別控除も認められており、これらを活用することで大幅な節税が可能となります。

帳簿書類の調査に基づかない更正の原則禁止

税務署が帳簿書類の調査を行わずに更正を行うことは禁止されています。これにより、納税者は正確な帳簿を作成している限り、不当な更正を避けることができ、安心して事業を運営することができます。

更正を行った場合の更正通知書への理由付記

更正が行われた場合、税務署は更正通知書にその理由を明記する義務があります。これにより、納税者はなぜ更正が行われたのかを理解しやすくなり、納得のいかない更正に対して適切に対応することができます。

推計による更正又は決定の禁止

税務署が推計によって納税額を決定することは禁止されています。納税者が正確な帳簿を作成している限り、税務署は推計に基づく更正を行うことができないため、不当な納税額を課される心配がありません。

各種準備金の積立額の損金算入

例えば、特定の目的のために積み立てた準備金の額を損金として計上することができます。これにより、計画的に資金を積み立てながら、同時に節税効果を得ることができます。

更正の処分に不服があるときの直接審査請求

更正処分に不服がある場合、納税者は直接審査請求を行うことができます。これにより、不当な更正に対して迅速かつ適切な対応が可能となります。

これらの特典を活用することで、青色申告者は税制上の優遇措置を受けつつ、事業運営の安定化を図ることができます。正確な帳簿の作成と維持が求められますが、その対価として得られる特典は非常に大きいです。

青色申告承認申請書の提出

株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人など、いずれの場合であっても、青色申告を認めてもらうためには、税務署に「青色申告の承認申請書」を提出し、税務署の承認を受ける必要があります。承認の有無は書面で通知され事業年度終了の日までに承認または却下の通知がなかった場合は、その日において承認があったものとみなされます。

青色申告者となるためには、複式簿記による一定の帳簿書類を備え付けて取引を記録し、かつ、保存することが条件(義務)となります。複式簿記とは、取引が行われた場合、一方の取引を貸方(左側)に、他方の取引を借方(右側)に記載することをいいます。例えば、会社が商品を100万円で販売した場合、貸方に現金100万円、借方に売上100万円と記載します。

申請期限

青色申告承認申請書は、原則として青色申告を始める事業年度開始の日の前日までに、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。ただし、法人を設立した年度である場合には、「設立の日以後3か月以内」または「設立事業年度終了の日」のいずれか早い日の前日が提出期限となります。

この手続きは青色申告を始める年に行う必要がありますが、その年以降については途中で承認の取消や、取りやめの手続などを行わない限り、次年以降も引き続き青色申告者として扱われます。

まとめ

青色申告制度を利用することで、法人税に関する様々な節税メリットを享受することができます。正確な帳簿の作成と維持が求められますが、その対価として得られる特典は非常に大きいです。特に、青色欠損金の繰越控除や欠損金の繰り戻し還付などは、経営状況に応じた柔軟な税務対応を可能にします。

青色申告の手続きを適切に行い、税務署からの承認を得ることで、経営の安定化と税務リスクの軽減を図りましょう。これから法人を設立する方、既に法人を運営している方も、ぜひ青色申告制度を積極的に活用してみてください。

法令の条文については、国税庁のウェブサイトや税理士に相談することで、詳細な情報を入手することができます。また、定期的に税制改正が行われるため、最新の情報を常にチェックすることが重要です。


最後に

今回は株式会社設立後の税金関係の届出について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
No.2070 青色申告制度|国税庁 (nta.go.jp)

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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