一般社団法人の役員選任と業務に関するガイドライン
一般社団法人の設立や運営に関する法律は多岐にわたりますが、その中でも役員の選任と業務に関する規定は特に重要です。役員の選任や解任、任期、そして業務の遂行に関するルールを理解することで、一般社団法人の健全な運営が可能となります。今回は、一般社団法人における役員の選任と業務について詳しく解説します。
目次
役員の選任と業務
役員や会計監査人の選任・解任、任期
一般社団法人の役員の選任と解任は、社員総会の決議によって行われます。万が一役員が欠けた場合に備えて、補欠を選任しておくことができます。役員や会計監査人は、社員総会の決議に基づいて解任されることがあります。特に会計監査人については、社員総会だけでなく監事によっても解任が可能です。
役員の任期は、定款または社員総会の決議によって変更することができますが、理事の任期は通常2年で、これを短縮することは可能です。ただし、2年より長くすることはできません。監事の任期は通常4年ですが、これも2年に短縮することができます。会計監査人の任期は通常1年で、原則として任期満了時の社員総会で自動的に再任されます。
社員総会とは
社員総会は、一般社団法人の意思決定機関であり、その法人に関するすべての事項について決議することができます。多くの一般社団法人では理事会を設置しており、この場合、社員総会の権限の一部は理事会が持つことになります。理事会設置型の一般社団法人では、役員や会計監査人の選任・解任、計算書類の承認、定款変更などの重要な事項は社員総会の決議が必要です。
社員総会の招集は原則として理事が行い、理事会設置型の場合は理事会の決議を経て招集します。また、総社員の議決権の10分の1以上を持つ社員は、社員総会の招集を請求することができます。
理事とは
理事は一般社団法人の業務執行を行う役員であり、法人を代表する権限を持ちます。なお、理事は株式会社の取締役と同様に忠実義務と競業避止義務を負い、利益相反取引についても社員総会または理事会の承認が必要です。
理事会とは
理事会は一般社団法人で選任された全ての理事で構成される機関で、必ずしも設置する必要はありませんが、設置する場合は理事会の決議で重要な事項を決定します。なお、理事会の決議は、過半数の理事が出席し、その過半数の賛成で行います。
理事会の設置により、以下の事項は理事会の決議が必要となります。
- 重要な財産の処分や譲受
- 多額の借財
- 重要な従業員の選任・解任
- 重要な組織の設置・変更・廃止
- 理事の職務遂行に関する体制整備
- 法人に対する役員の損害賠償責任の免除
- その他の重要な業務執行
理事会は業務執行の決定、理事の職務遂行の監督、代表理事の選定・解職の権限を持ちます。
監事の義務と権限
監事は理事の職務遂行を監査し、その結果を監査報告としてまとめます。理事が不正行為を行っている場合やそのおそれがある場合、他の理事に報告しなければなりません。理事会設置型の一般社団法人では、理事会に報告する必要があります。また、監事は理事会の招集を請求する権限も持ちます。
一般社団法人の機関
名称 | 役割・注意点 |
---|---|
社員総会 | 一般社団法人の意思決定機関。必ず設置 |
理事 | 一般社団法人の業務執行機関。理事全員で組織する合議機関。必ず設置 |
理事会 | 理事全員で構成。最低でも1人、理事会を置く場合は3人以上。定款で設置可能 |
監事 | 理事会又は会計監査人を設置する場合には設置義務。定款で設置可能 |
会計監査人 | 計算書類と附属明細書の監査を行う。公認会計士または監査法人。定款で設置可能 |
まとめ
一般社団法人の役員選任や業務遂行に関する法律の理解は、法人の健全な運営に不可欠です。今回解説した内容を基に、法人運営の基盤を強固にし、法令遵守を徹底することが重要です。社員総会、理事会、監事の役割を理解し、適切なガバナンスを実現しましょう。
最後に
今回は一般社団法人の役員選任とその業務について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
法務省:一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A (moj.go.jp)
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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