専任技術者と監理技術者と主任技術者の違いについて

建設業許可を取得するうえで欠かせない用件の1つとして専任技術者の必置がありますが、それと同じ程度に重要なポストとして、監理技術者または主任技術者の確保があります。

今回は名前が似ていて紛らわしいこの三者の違いをざっくりと解説します。

また、この他にも建設業に関する情報を逐次投稿しておりますので、よろしければ他の記事もご覧ください。
建設業許可 アーカイブ - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

専任技術者とは

専任技術者とは、建設業許可を所得する際に必ず必要な資格者であり、営業所に一人は配置しなければならない技術者です。
間違われやすい点として、専任技術者は営業所に所在するものであって工事現場に所在するものではありません。ごく一部の例外を除いて専任技術者は営業所勤務と現場の監督業務を兼務することは禁止されています。
これは専任技術者に求められている役割が、発注者からの工事の注文に対して技術面での可否等を判断するものだからです。すなわち、純然たる技術職だけではなく営業職としての一面も持っています。

また、許可取得の際に専任技術者となる者を確保できたとしても、定年退職等でその要員が欠けた場合は許可そのものの欠格に該当してしまいます。最悪の場合は許可取り消しの憂目にあることもあり得ます。
このため、事業者は許可取得後も継続的に次期専任技術者候補生を育成することが重要です。

専任技術者になることができる条件

この専任技術者になるためには、

1 規定の国家資格等を有していること
2 規定年数(10~12年)以上の実務経験があること
3 高校・大学・高専・専門学校で指定学科を卒業後、規定年数(3~5年)以上の実務経験があること

上記3つのうちのどれか1つに該当していなければなりません。
当然ですが、この中で最も証明が容易なのは1の国家資格等保有者です。資格合格証を提出すれば簡単に証明できます。
逆に言えば、かなり証明の難易度は高くなりますが、全くの無資格かつ指定学科卒業の学歴がなくても10~12年の実務経験さえ証明することができれば専任技術者になることは可能です。
ただし、建設業許可全29業種のうち「電気工事」と「消防設備工事」の2つだけは「電気工事士」または「消防設備士」の免許を取得した後に積んだ実務経験しかカウントされないため注意が必要です。
なお、規定の国家資格等の一覧については以下のリンクから確認することができます。
専任技術者になることができる資格・免許等コード番号一覧表(令和5年7月以降) | 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

監理技術者および主任技術者とは

この2者については、実際に工事現場で作業の指揮監督をする者のことを指しています。工事をする際は現場に必ず1人は配置しなければなりません。
専任技術者が営業職も兼ねるポストならば、こちらは純然たる現場の技術職であるといえるでしょう。
この2者は実質的に業務内容的にはほぼ同一です。ただ、後述する通り工事金額の規模によりどちらを配置しなければならないかが相違します。また、監理技術者のほうが主任技術者よりも資格要件が厳しいです。

この2者は許可取得時の要件とはされていないため許可申請時には不要ですが、実際に工事をする際は必要なので、結局は必ず配置しなければならないポストです。

監理技術者と主任技術者の選任基準【工事の規模】

発注者から直接請負う工事で、かつ下請けに発注した合計金額が4,000万円以上(建築一式工事は6,000万円以上)になる場合は監理技術者を配置しなければなりません。
それ以外の工事の場合は主任技術者を配置することになります。
特定許可の要件である「下請合計金額4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)」と酷似していて非常に紛らわしいので混合しないようにしましょう。

監理技術者と主任技術者の選任基準【資格】

監理技術者および主任技術者も資格要件(学歴、実務経験を含め)については専任技術者と同一のものが割り当てられています。
すなわち、
「特定許可で専任技術者になれる資格」=「監理技術者になれる資格」
「一般許可で専任技術者になれる資格」=「主任技術者になれる資格」
というように理解していただければ問題ありません。

また、近年新たに創設された「1~2級〇〇施工管理技士補」も取得後の規定実務経験を証明できれば主任技術者になることが可能です。(まだ行政庁等の発行した建設業許可手引き等では明記されていないことがありますが、行政庁の担当者に確認し言質を取っています)

「1~2級〇〇施工管理技士補」についてはこちらの記事でも解説しております。よろしければ御確認ください。
【建設業】専任技術者になることができる資格について(令和5年7月以降) | 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

結 言

今回の記事では専任技術者、監理技術者、主任技術者の3者の違いについて解説しました。
これから建設業許可を取得しようと考えている事業者様の参考になれば幸いです。

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