NPO法人の設立に関する事業計画書と活動予算書の作成方法
NPO法人の設立は、社会貢献を目指す重要なステップです。しかし、設立にあたっては詳細な事業計画書と活動予算書の作成が求められます。これらの書類は、法人の活動方針や財務状況を明確にするために不可欠です。今回は、事業計画書と活動予算書の作成方法について、具体例を交えながら解説します。
事業計画書とは
事業計画書は、NPO法人が事業期間中に実施する事業の計画を記載した書類です。設立初年度および翌年度の計画書を作成し、認証申請時に提出する必要があります。
事業計画書の構成要素
- 事業年度
初年度の事業計画書は、定款で定めた事業年度と一致させることが重要です。 - 事業実施の方針
法人の目的や方針を明確に記載します。 - 実施する事業に関する事項
特定非営利活動とその他の事業に分け、各事業の内容、日時、場所、従事者数、受益対象者数、事業費用を具体的に記載します。
具体例
※以下の文章はあくまで記載例です。作成の際は、各自治体の指定する書式に沿って作成して下さい。
設立初年度の事業計画書
令和〇年度 事業計画書
成立の日 から 令和〇年〇月〇日まで
特定非営利活動法人a
1. 事業実施の方針
設立初年度は、高齢者及び障がい者の生活支援に関する活動を中心に行い、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指す。具体的には、生活支援や福祉サービスの提供、健康維持・増進のためのイベント、社会参加を促進するセミナーなどを実施する。
2. 事業の実施に関する事項
(1) 特定非営利活動に係る事業
- 高齢者および障がい者の生活支援に関する相談事業
- 1-1. 事業内容:高齢者および障がい者とその家族を対象に、生活支援に関する相談窓口を設置し、専門家によるアドバイスを提供する。
- 1-2. 予定日時: 通年
- 1-3. 予定場所: 各自治体の相談窓口
- 1-4. 従事者数: 10人
- 1-5. 受益対象者数: 高齢者および障がい者およびその家族、約500人
- 1-6. 事業費用: 500,000円
- 高齢者および障がい者向けの福祉サービス提供事業
- 2-1. 事業内容:高齢者および障がい者向けに、福祉サービス(例:訪問介護、デイサービス等)を提供する。
- 2-2. 予定日時: 通年
- 2-3. 予定場所: 各自治体の福祉施設
- 2-4. 従事者数: 15人
- 2-5. 受益対象者数: 高齢者および障がい者、約200人
- 2-6. 事業費用: 1,200,000円
- 高齢者および障がい者の健康維持・増進のためのイベント事業
- 3-1. 事業内容:高齢者および障がい者を対象に、健康維持・増進を目的としたイベント(例:健康診断、運動教室等)を開催する。
- 3-2. 予定日時: 次年度より実施予定
- 3-3. 予定場所: 各自治体の公共施設
- 3-4. 従事者数: 10人
- 3-5. 受益対象者数: 不特定多数
- 3-6. 事業費用: 800,000円
- 高齢者および障がい者の社会参加を促進するためのセミナー事業
- 4-1. 事業内容:高齢者および障がい者が社会に参加する機会を提供するためのセミナーを開催する。
- 4-2. 予定日時: 次年度より実施予定
- 4-3. 予定場所: 各自治体の会議室
- 4-4. 従事者数: 8人
- 4-5. 受益対象者数: 約100人
- 4-6. 事業費用: 500,000円
(2) その他の事業
- 介護用品および福祉用具の販売事業
- 1-1. 事業内容:高齢者および障がい者向けの介護用品や福祉用具を販売する。
- 1-2. 予定日時: 通年
- 1-3. 予定場所: 主たる事務所
- 1-4. 従事者数: 3人
- 1-5. 事業費用: 300,000円
- 高齢者および障がい者のための文化・スポーツ活動の振興事業
- 2-1. 事業内容:高齢者および障がい者を対象に、文化・スポーツ活動(例:文化教室、スポーツフェスティバル等)を開催する。
- 2-2. 予定日時: 次年度より実施予定
- 2-3. 予定場所: 各自治体の公共施設
- 2-4. 従事者数: 5人
- 2-5. 受益対象者数: 約200人
- 2-6. 事業費用: 500,000円
翌事業年度の事業計画書
基本的に記載内容は設立事業年度の事業計画と同じです。
事業年度を翌年度に書き換えることと、事業実施の方針を「前事業年度から引き続き~する」といった文体に書き換えれば、あとは設立事業年度の事業計画のコピペでも問題ありません。
活動予算書とは
活動予算書は、NPO法人の設立申請時に提出する書面の1つで、活動にかかる費用の内訳と金額の予定を示した書面です。設立時には当初年度及び翌事業年度分の活動予算書の提出が求められ、申請書が受理された日から2か月間縦覧されます。そのため、誰でも希望すれば活動予算書を見ることができます。
活動予算書は、NPO法人がその活動を行うために必要な費用の内訳と金額を示した書類であり、設立初年度および翌年度分の活動予算書を作成し、認証申請時に提出することが求められます。この書類は、法人の財務状況を透明にし、関係者や支援者に対する信頼性を高めるための重要な書類です。
活動予算書の構成要素
活動予算書の記載事項は、大きく分けると以下の4つです。
経常収益
経常収益は、NPO法人が定常的に得る収入を示します。これには以下の項目が含まれます。
会費
正会員や賛助会員からの会費収入。会員の数に応じて安定した収入源となります。
寄付金
個人や企業からの寄付金。特定のプロジェクトや活動のために寄付されることが多いです。
助成金
政府や民間団体からの助成金。特定の目的やプロジェクトに対して提供される資金です。
事業収益
NPO法人が独自に行う事業(例:イベントや講演会)からの収益。これには、参加費や販売収益などが含まれます。
経常費用
経常費用は、NPO法人がその活動を行うために必要な支出を示します。これには以下の項目が含まれます。
人件費
職員やスタッフの給料、手当、福利厚生費など。法人の運営に直接関与する人材に対する支出です。事業費を人件費とその他の費用に分けた上で、支出の内訳(給料、旅費交通費など)ごとに費用を記載します。
その他経費
事業を遂行するために必要な経費(例:会議費、旅費交通費、施設維持費、印刷費など)。具体的な活動を支えるための費用です。管理費についても同様に人件費とその他の経費に分けて記載します。
管理費
法人の運営に関わる一般的な管理費用。これには事務用品費、水道光熱費、通信費、賃貸費用などが含まれます。
経常外収益
経常外収益は、NPO法人の通常の活動以外から生じる収入を示します。これには、利息収入や一時的な収益が含まれます。なお、経常的な収入とは異なるため、計画外の収益として扱われます。
経常外費用
経常外費用は、NPO法人が通常の活動以外で発生する支出を示します。これには、法人税、住民税、事業税などが含まれます。通常の運営費用とは別に発生するため、特別な支出として計上されます。
活動予算書を正確に作成することで、NPO法人は財務状況を明確に示すことができ、関係者からの信頼を得ることができます。また、将来実施する可能性がある事業についても「実施予定なし」と記載しておくことで、透明性を保つことができます。
まとめ
NPO法人の設立において、事業計画書と活動予算書は不可欠な書類です。これらの書類を正確かつ詳細に作成することで、法人の目的や活動内容を明確に示すことができます。特に、活動予算書は財務状況を透明にし、信頼性を高めるための重要なツールです。適切なキーワードを用いたSEO対策を施すことで、より多くの人々に法人の活動を知ってもらうことができます。
最後に
今回はNPO法人設立における事業計画書と活動予算書の作成方法について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
NPOホームページ | 内閣府 (npo-homepage.go.jp)
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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