定款について徹底解説 - 組織設立の基本ルール
企業や団体を設立する際に最も重要な文書の一つが「定款」です。定款は組織の「憲法」とも言えるもので、設立する会社や法人の基本的なルールを定めたものです。今回は、定款の基本的な知識から作成方法、電子定款の活用方法までを詳しく解説します。
目次
定款とは何か
役割
定款は、組織の基本ルールを定める文書であり、設立の目的や組織の運営方法、出資者や運営者の役割などが記載されています。株式会社や合同会社、NPO法人などの設立に際して、定款の作成は必須です。
定款の作成と認証
定款の作成には、書面による方法と電子的記録による方法があります。書面で作成する場合、A4サイズの用紙を使用し、手書きやワープロソフトで作成します。電子的記録の場合は、パソコンで作成した文書をPDF形式に変換し、電子署名を行います。
作成した定款は、発起人が署名または記名押印し、公証人の認証を受ける必要があります(株式会社の場合)。認証を受けた定款は、公証役場で20年間保管されます。
定款に記載する事項
定款に記載する事項には、以下のような種類があります。
絶対的記載事項
絶対的記載事項は、定款への記載が必須なもので、記載を欠くと定款そのものが無効となります。具体的には以下の項目です。
- 目的
会社の事業内容を明確に記載します。 - 商号
会社の名称を記載します。 - 本店の所在地
会社の主要な事務所の所在地を記載します。 - 会社の設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
出資額を明記します。 - 発起人の氏名または名称および住所
会社の設立者の情報を記載します。 - 発行可能株式総数
会社が発行できる株式の総数を記載します。※厳密には絶対的記載事項には含まれませんが、原子定款に記載をしなかった場合、設立登記までの間に、発起設立の場合には発起人全員が同意したうえで、定款に追記する必要があります。
相対的記載事項
相対的記載事項は、記載しなくても定款自体の効力には影響しませんが、定款で定めておかないとその事項の効力が認められません。具体的には以下の項目です。
- 現物出資に関する事項
現物出資がある場合の詳細を記載します。 - 株式の譲渡制限に関する定め
株式の譲渡制限に関する規定を記載します。 - 取締役等の任期の伸長
取締役の任期に関する規定を記載します。 - 公告の方法
会社の公告方法に関する規定を記載します。
任意的記載事項
任意的記載事項は、記載がなくても定款が無効になるわけではありませんが、記載することでその規定がより強い拘束力を持つことになります。具体的には以下の項目です。
- 事業年度
会社の事業年度に関する規定を記載します。 - 株主総会に関すること
株主総会の運営に関する規定を記載します。
任意的記載事項は、法律に定められた範囲内であればどのような内容でも追加することができます。定款に記載することで、会社の運営における重要なルールとして強い拘束力を持つようになります。
これらの記載事項を適切に記載することで、会社の設立や運営がスムーズに行えるようになります。定款は会社の基本ルールを定める重要な文書であり、その内容をしっかりと理解し、正確に作成することが求められます。
定款の作成方法
書面での作成
定款は、書面に記載して作成することができます。一般的にはA4サイズの用紙を使用し、縦書きでも横書きでもかまいません。手書きやワープロソフト、タイプライターで作成することができます。手書きの場合、カーボン紙を使用して黒のボールペンで複写し、部数は登記申請用、会社保存用、公証役場の保管用の3部が必要です。収入印紙4万円を1通に貼る必要があります(電子定款の場合は不要です)。
電子的記録による作成
電子的記録(パソコンを使い電子データとして記録すること)として定款を作成することもできます。この場合、発起人は電子署名を行い、公証人の認証を受けます。書面で作成する定款と比べて収入印紙代4万円が不要となり、費用を節約できます。
電子定款の活用
この電子定款は従来の紙媒体の定款に代わるもので、電子的に作成された定款を指します。電子定款の大きなメリットは、収入印紙代が不要になる点です。これにより、設立費用を節約できます。
作成手順
電子定款の作成手順は以下の通りです。
- 電子証明書の取得
公証人に送信するための機器や電子証明書を取得します。 - 定款の作成
ワープロソフトを利用して定款を作成します。 - PDF化
作成した定款をPDFに変換します。 - 電子署名
PDFにした定款に電子署名を行います。 - 認証の依頼
指定公証人に電子定款を送信し、認証を受けます。 - 認証の完了
認証を受けた電子定款を公証役場で受け取ります。
電子公証制度
この電子公証制度は、電子文書に対する公証人の認証制度です。これにより、電子文書で作成された契約書や定款などの認証が可能となります。電子公証制度に対応する公証人(指定公証人)によって、電子定款の認証が行われます。
手数料
電子定款の認証手数料は紙媒体と同額で、5万円です。ただし、収入印紙代4万円が不要となるため、総費用は紙媒体よりも安くなります。
まとめ
定款は、組織設立の基本ルールを定める重要な文書です。定款の作成や認証には手続きが必要ですが、電子定款の活用により手続きや費用を効率化できます。組織の設立を検討している方は、定款の重要性を理解し、適切に作成・認証を行うことが成功の鍵となります。
最後に
今回は定款の重要性について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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