遺産相続の基本:法定相続制度とその手続

相続が始まると、突然の手続きや法律の壁に直面し、多くの方が戸惑うことが少なくありません。特に、家族の財産や負債をどのように引き継ぐかは、非常に重要な問題です。今回は、相続の基本的な流れと法定相続制度について詳しく解説します。相続手続きの全体像を把握し、具体的な対策を立てる手助けとなれば幸いです。

法定相続情報証明制度とは

相続が開始した場合、遺産を受け継ぐ相続人は、まず法定相続情報証明制度を利用することが推奨されます。この制度では、相続人が法務局に戸籍謄本等を提出し、「法定相続」に関する情報を証明する書類を取得します。これにより、相続手続きがスムーズに進められるのです。

相続財産の種類

相続が発生すると、相続人は被相続人(亡くなった人)の財産や負債を引き継ぎます。これには以下のようなものがあります。

プラスの相続財産

  • 預貯金
  • 不動産
  • 株式や投資信託

マイナスの相続財産

  • 借金
  • 未払いの税金

相続人は、原則としてこれらのすべてを引き継ぎます。つまり、遺産がどれくらいあるかを正確に把握するためには、遺産の調査が必要不可欠です。

遺産の調査方法

遺産調査は、以下の方法で行います。

預貯金

各金融機関での残高証明書の取得や照会手続き

不動産

登記事項証明書の取得、名寄帳の取得、固定資産税の納税通知書の確認

株式や金融商品

証券会社から定期的に届く書類の確認

負債

債権者から届いている書類の確認、信用情報機関での取引開示制度の利用

これらの手続きは相続人自身が行うことが多いため、事前にどのような財産があるかを把握しておくと良いでしょう。

相続の方法:単純承認、限定承認、相続放棄

相続が始まったら、遺産の引き継ぎ方として以下の三つの方法があります。

単純承認

単純承認とは、被相続人のすべての財産や負債を無条件に引き継ぐことです。これは最も一般的な方法で、特別な手続きは不要です。

単純承認が適している場合

  • プラスの相続財産が多い場合
  • マイナスの相続財産がない場合

限定承認

限定承認は、相続する財産の範囲内でのみ負債を引き継ぐ方法です。相続財産が負債を上回っているか不明な場合に有効です。限定承認を行うには、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述する必要があります。

限定承認が適している場合

  • 遺産の規模が不明な場合
  • 負債がプラスの相続財産を上回る可能性がある場合

相続放棄

相続放棄は、相続人としての地位を完全に放棄し、いかなる財産も負債も引き継がない方法です。これを行うには、相続開始後3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。

相続放棄が適している場合

  • 負債がプラスの相続財産を大きく上回る場合

法定相続人と相続分

民法は、誰が相続人になるか、そして各相続人がどのくらいの割合で相続するかを定めています。

法定相続人

相続人は、配偶者相続人と血族相続人の二種類に分けられます。

血族相続人の順位

  1. 子(及び孫などの代襲相続人)
  2. 直系尊属(親や祖父母)
  3. 兄弟姉妹(及び甥姪などの代襲相続人)

法定相続分

相続人の立場によって、法定相続分は異なります。具体的な法定相続分の例を以下に示します。

例1: 配偶者と子が相続人の場合

  • 配偶者:1/2
  • 子:1/2(子が複数いる場合は、均等に分けます)

例2: 配偶者と直系尊属が相続人の場合

  • 配偶者:2/3
  • 直系尊属:1/3

例3: 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

  • 配偶者:3/4
  • 兄弟姉妹:1/4(兄弟姉妹が複数いる場合は、均等に分けます)

代襲相続

代襲相続とは、相続人が相続開始以前に死亡していた場合に、その子(孫)が代わりに相続することです。

代襲相続の要件

  • 被相続人の子や兄弟姉妹が相続開始以前に死亡していた場合
  • 欠格事由や廃除がある場合

数次相続

数次相続とは、相続が開始してから遺産分割が完了する前に相続人が死亡し、その相続に関する手続がさらに発生することを指します。代襲相続と混同しやすいので注意が必要です。

遺産分割協議

遺産分割協議は、相続人全員が参加して遺産の分割方法を決める手続きです。全員が参加しなければ無効となるため、相続人の確認は重要です。

遺言書の存在

遺言書がある場合は、基本的にその内容に従って遺産を分割します。代表的な遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言があり、それぞれ手続きが異なります。

まとめ

相続は非常に複雑な手続きが伴いますが、法定相続制度を理解することで、適切な対応が可能になります。相続開始後の手続きは迅速に行い、必要なら専門家の助言を得ることが大切です。

最後に

今回は法定相続制度の概要について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が民法について学びたい方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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