ソーシャルメディア上の著作権侵害: 法的対応と実際のケーススタディ
著作権法の下での保護とインターネットの使用は、しばしば複雑な問題が発生します。
特に、SNSやオンラインプラットフォームでのコンテンツの取り扱いが、法的な課題を引き起こすケースが増えています。
今回は、判例を通じて非公開のSNS投稿の著作権侵害とその法的な対応について解説します。
目次
事件の概要
原告Xは、自らが撮影しインスタグラムのストーリーズに限定公開した動画が、許可なくGoogleマップに使用されたとして、画像のアップロードを行った者に対し情報開示を求めました。この動画は、原告の夫が歯科医院付近を走る様子を撮影したもので、特定のフォロワーのみがアクセスできる非公開設定で投稿されていました。
(東京地裁 令5・2・28)
著作権侵害の認定
裁判所は、原告の動画に創作性が認められると判断し、著作物としての保護を適用しました。この動画から切り取られた静止画が無断でGoogleマップ上に掲載されたことにより、原告の複製権および公衆送信権が侵害されたと認められました。
時事の事件としての報道利用の否定
裁判所は、被告が主張する「時事の事件の報道としての利用」を否定しました。この点で、裁判所は二つの主要な理由に基づいて判断しました。
時事性の欠如
被告は、画像が著作権法に基づく時事の事件として報道価値があると主張しましたが、裁判所はこの画像が単なる医療関係者の日常の様子を示すものであり、具体的な時事の事件としてのニュース価値や緊急性を欠くと判断しました。
(時事の事件の報道のための利用)
第四十一条 写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。
著作権法
報道の目的の不明瞭
画像はGoogleマップという地図サービス上に掲載されており、このプラットフォームは通常、地理的な情報を提供するために使用されます。従って、このコンテキストでは、画像の使用が報道目的とは見なされないと裁判所は結論づけました。
法的な教訓と対策
この裁判例からは、インターネット上での画像や動画の使用に際して著作権の問題がどのように生じ得るか、そして著作権者がどのようにして自身の権利を守るかという点について重要な示唆を得ることができます。特に、非公開設定で共有されたコンテンツであっても、オンラインで無断使用される可能性があるため、権利者は常に警戒し、必要に応じて法的措置を講じるべきです。
結論
デジタルメディアの普及は表現の自由を拡大しましたが、それに伴い著作権を尊重し、適切に保護する責任も増大しています。この裁判例は、そうした背景下での権利侵害に対する法的な対応を示すものであり、オンラインコンテンツの利用者にとって重要な指針となるでしょう。
最後に
今回は非公開のSNS投稿の著作権侵害とその法的な対応について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が著作権について学びたい方の参考になれば幸いです。
また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
なお、業務に関するお問い合わせは、下記のお問い合わせフォームからいつでもどうぞ。
お問い合わせ - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)