違反建築をした者も囲繞地通行権が認められる?

違法建築をした者でも、当然のように囲繞地通行権を主張することができるのでしょうか?
今回は、一見すると非常に難解なこの問題を解説します。

事例

Aは、国道に接した土地を所有している。
Aの土地に隣接する土地を所有するXが、「自分の土地は袋地だからAの土地を通行させろ。その通路は4m以上の幅員を確保しろ」と主張してきた。
確かに、Aの土地は、Xの土地との関係ではいわゆる囲繞地であり、Xの土地は袋地である。
しかし、Xが建てた建物は建築基準法に違反する建築物である。
このような場合、Xの主張は認められるか?

回答:部分的には認められる

囲繞地通行権は認められる

まず第一に、囲繞地通行権の有無が焦点となります。
囲繞地通行権とは、土地の所有者が隣接する土地を通る権利を持つことを指します。判例では、囲繞地通行権は建築基準法とは直接的な関係がないとされています。つまり、隣接する土地が違反建築であっても、その土地の所有者に通行権を認める可能性があるということです。

この見解は、建築物が法規に適合しているかどうかと通行権の有無が直接的に関連しているわけではないことを示しています。囲繞地通行権は土地所有者の利益や土地利用の合理性を考慮した上で認められるため、違反建築であっても通行権が存在する可能性があるのです。

ただし、この見解は一般的なものであり、具体的なケースによって判断が異なる場合もあります。裁判所が袋地や通行権に関する訴訟を審理する際には、個別の事情や地域の慣習、土地利用の合理性などが考慮されます。そのため、裁判所の判断にはケースバイケースで異なる要素が影響を与えることがあります。

道路の幅員について

次に、通路の幅についてです。

通路の幅について詳細に解説します。

囲繞地通行権が発生した場合、通行権者が通る通路の幅については重要な問題となります。一般的には、通行権を行使するためには通路が必要であり、その通路の幅がどれくらいあるべきかが議論されます。

しかしながら、囲繞地通行権と建築基準法は直接的な関連性がないとされています。建築基準法は、建物やその周囲の規制に関する法律であり、通行権の幅について具体的に定めているわけではありません。

そのため、通行権者の必要性や囲繞地に与える影響を考慮して、最小限の幅を確保することが適切とされます。通行権者が通るために必要な幅を確保しつつ、囲繞地に過度な影響を与えないような幅を確保することが目標とされます。

ただし、具体的なケースによっては幅が4メートル以上必要な場合もあります。これは通行する物品や車両の大きさ、通行頻度、安全性などを考慮して判断されるためです。そのため、通行権の幅については個別の状況や地域の慣習、裁判所の判断によって異なることがあります。

したがって、通行権を持つ者と囲繞地所有者との間で通路の幅に関する問題が生じた場合は、専門家や法律のアドバイスを求めることが重要です。具体的なケースに応じて最適な解決策を見つけるためには、専門知識と経験が必要となります。

まとめ

囲繞地通行権や通路の幅に関する問題は、法的に複雑であり一般的な見解だけでは解決が難しいことが分かります。裁判所の判断には具体的なケースや地域の慣習、専門家の意見などが影響を与えます。そのため、適切な解決策を見つけるためには専門家の助言を仰ぐことが重要です。通行権や土地利用に関する問題は地域や状況によって異なるため、ケースバイケースで慎重に検討される必要があります。

最後に

今回は不動産の賃借人にも囲繞地通行権が認められるのか等について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が道路について学びたい方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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