借地人や借家人も囲繞地通行権を主張できる?
袋地の所有権者は当然に囲繞地通行権を行使することができます。
では、袋地を借りているに過ぎない人はどうなるのでしょうか?
今回は、借地人や借家人も囲繞地通行権を主張できるかについて解説します。
目次
事例1
Aは、ある土地に借地権を設定することによって建物を建てて住もうと思っている。
しかし、借地権を設定してもらおうと思っている土地は、袋地である。
借地権にも囲繞地通行権が認められるか?
事例2
Bは、袋地の上に立っている建物の賃借人である。
Bは土地の所有者でもなければ建物の所有者でもない。
この場合、Bに囲繞地通行権が認められるか?
回答:対抗要件の具備や代位行使により主張できる場合がある
事例1:借地権について
借地権は、地上権と賃借権の2つに分かれます。
民法上、地上権には囲繞地通行権の順用が認められています。
(相隣関係の規定の準用)
民法
第267条 前章第1節第2款(相隣関係)の規定は、地上権者間又は地上権者と土地の所有者との間について準用する。ただし、第229条の規定は、境界線上の工作物が地上権の設定後に設けられた場合に限り、地上権者について準用する。
しかし、賃借権には法律上の規定がありません。そのため、直ちに囲繞地通行権が認められるわけではありません。
判例によれば、対抗要件を備えれば賃借権にも囲繞地通行権が認められる可能性があります。対抗要件とは、第三者に権利を主張できる要件のことです。具体的には、借地上に建てる建物の登記がその一例です。
事例2:借家権について
借家権の場合、借家人は建物を借りる権利を持っています。が、土地の所有権や囲繞地通行権を直接持っているわけではありません。
そのため、借家人が敷地の所有者と別個に囲繞地通行権を主張することはできません。ただし、借家人も建物を使用する権利を持っているため、賃貸人が持つ囲繞地通行権を代わりに行使することで通行が可能になる場合もあります。
まとめ
このように、借地権や借家権に関する囲繞地通行権の問題は複雑なものです。
借地権に関しては、地上権と賃借権の区別が重要であり、賃借権に対しても対抗要件を満たせば囲繞地通行権を主張できる場合があります。一方、借家権の場合は賃貸人が囲繞地通行権を保有していることが一般的ですが、借家人もその権利を行使することが可能です。
不動産取引や賃貸契約を行う際には、これらの法的なポイントを十分に理解し、契約書の内容や対応策を検討することが重要です。また、具体的な状況に応じて専門家の助言を仰ぐこともおすすめします。
最後に
今回は借地人や借家人も囲繞地通行権を主張できるかについて解説しました。
今回は以上で終わります。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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