隣地との境界上に勝手に塀は設置できる?塀の設置手続きを解説

不動産関係の仕事をしていると、境界に関する問題に直面することがあります。
今回は、隣地との境界に塀を設置する際に注意すべき事項について解説します。

塀の設置手続きについて

2棟の建物がそれぞれ異なる所有者によって所有され、これらの建物の間に未使用の地がある場合、各建物の所有者は共同の費用で境界上に塀や柵等の囲障を設置する権利を有しています。
この権利は囲障設置権と呼ばれ、建物の所有者に付与されるものであり、それゆえ土地の借り手にも適用されます。ただし、土地の所有者が建物を建てずに土地を賃貸している場合は、この権利が認められません。

塀の設置費用

新たな囲障を設置する際には、まず隣接する建物の所有者と協議が行われます。
協議が合意に達しない場合は、裁判手続きにより隣接する所有者に協力を求めることになります。所有者が費用負担を拒否しても、塀の位置や費用を全て自身で負担する必要はありません。
囲障の設置費用や管理費用は、隣接する所有者と折半することができます。この場合、塀の所有権は隣人と共有されたものとみなされます。裁判では、塀の設置場所、材質、高さ、費用の分担などが指定されます。判決が下されても、隣人が囲障の設置に応じない場合は、一旦塀を設置してその費用を隣人から請求することになります。

ただし、プライバシーや建物の安全保護とは無関係に、嫌がらせを目的として塀を設置しようとする場合、隣人に協力義務はありません。

また、前述の手続きは、塀の中心線が隣地との境界線と一致する場合を前提としています。既存の塀の中心線が隣地との境界線と一致しない場合は、中心線を隣地の境界線に合わせて塀を設置する必要があります。

適切な塀の規定

隣接する所有者と協力して塀を設置する場合、塀の高さや材質などに関して合意に至らないことがあります。
このような場合、一致しないまま設置が困難であるとは認識されています。
そこで、民法では、協議が成立しない場合には、"高さ2mの板または竹垣の塀"を設置すると規定しています。
ただし、自治体の条例や慣習によって異なる規定がある場合、その規定に従って塀を設置する協力を求めることができます。このため、市町村の条例が生垣を強制する場合、この規定が適用されます。

高級塀の設置

塀を設置する合意が成立しても、塀の高さや素材などに関しては合意が得られない場合があります。
この場合、協議がまとまらないと塀の設置が困難になります。しかし、協議がまとまらない場合でも、板塀以外の塀を設置することはできます。
民法や条例・慣習が定める高さや素材よりも上質な塀を設置することも可能です。
たとえば、大谷石などの上質な素材で塀を作ることも可能です。ただし、余分にかかる費用を隣人に負担させることは公平ではありません。
そのため、余分にかかる費用は、上質な素材で塀を設置することを希望する側が負担することになります。

民法227条は、相隣者の一方が、225条2項に規定する材料よりも上質なものを用い、または同項に規定する高さを増やして塀を設けることができることを定めています。
ただし、これによって生じる費用の増加分を負担しなければなりません。
このように、高級塀を設置することが認められています。
ただし、この場合でも、プライバシー保護や建物内の安全確保という目的にそぐわない塀を設置することは許されません。たとえば、隣家の日照や通風、眺望を著しく害するような高さの塀を設置することはできません。

最後に

今回は隣地との境界に塀を設置する際に注意すべき事項ついて解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が不動産関係について学びたい方の参考になれば幸いです。

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