経審の結果通知書の見方等の解説
目次
経営審査(経審)の結果通知書の概要
経営審査の手続きを経ると、国土交通大臣または都道府県知事が、経営規模などを評価し、経営審査の総合評定値(P)を計算して建設業者に通知します。この経営審査の成果通知書は一般的に「総合評定値通知書」と呼ばれ、また兼ねて「経営規模など評価結果通知書」としての役割もあります。そのため、通知書のタイトルは「経営規模等評価結果通知書/総合評定値通知書」と二重の役割を果たす形になっています。
経営審査結果通知書の魅力的な情報
経営審査(経審)の結果通知書には、建設業者にとって非常に重要な情報が含まれています。その中でも特に注目すべきなのが、「総合評定値(P)」です。
公共工事の入札に参加する際、建設業者は競争入札において資格審査を受けます。この際、経営審査の総合評定値(P)は公共工事の発注者によって点数化され、格付けが行われます。この評定値は、建設業者が競争入札に参加する上での重要な指標となります。
初めて経営審査を受ける建設業者などがよく誤認する点として、経営審査の結果が単一の評点ではなく、建設業者が保有する業種ごとに異なる評点が付けられることが挙げられます。業種ごとに確認が必要なため、総合評定値(P)は慎重に確認する必要があります。
総合評定値(P)が高いということは、経営審査の審査項目において総合的に優れた建設業者であることを示します。また、総合評定値(P)の算式において、X1やX2、Y、Z、Wなどの項目がどのように評価されているかを理解することも、建設業者にとって有益です。
総合評定値(P)=0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)
経営審査結果通知書から得られるこれらの情報は、建設業者が戦略的な意思決定を行う上での重要な手がかりとなります。これらのポイントを理解し、適切な対策を講じることが求められます。
経営審査結果通知書の見方
全ての経営審査結果通知書はネットで一般公開されています。
今回は人類の希望である清水建設㈱の通知書を見てみましょう。
まず、「経審の結果」と検索するとCIICのページがトップに表示されるのでクリックします。
このような画面が表示されるので、左側のメニューから任意の検索方法を選択します。
今回は商号名称検索を使用してみましょう。
検索したい会社名と許可区分を入力して検索開始をクリックします。
流石は清水建設㈱です。一瞬で出てきました。
表中右下の詳細をクリックします。
通知書が表示されました。このままだと何処に何が記載されているのか分かりにくいので、凡例を標記してみましょう。
ちなみに、各評点の最高値はX1が2309、X2が2280、Zが2441、Wが2061、Yが1595です。
表中の数字を見ると、所々で最高値が現出していますね。流石は清水建設㈱です。
経営審査(経審)の結果通知書には、建設業者にとって極めて重要な情報が詰まっています。各項目に注目して、その意味や活用方法について解説します。
経営規模 (X1、X2)
X1 - 工事高評点
X1は、審査基準日の直前2年または3年の平均完成工事高に関する評点です。高い評点は良好な売上を意味し、経営審査の総合評定値(P)の25%を占める最も重要な項目です。
X2 - 自己資本額および平均利益額評点
X2は自己資本額評点と平均利益額評点から成り立っています。自己資本額評点は、利益を蓄積しているかどうかを示し、平均利益額評点は本業での利益を示します。これらは経営審査の総合評定値(P)においても重要な要素です。
技術力 (Z)
Z - 技術職員数および元請完成工事高評点
Zは技術職員数と元請完成工事高評点から構成されます。技術職員数が80%のウエイトを占め、元請完成工事高が20%となっています。高い評点は、雇用している技術職員が多い、元請業者としての実績が多いことを示します。
経営状況 (Y)
Y - 経営状況評点
経営状況は会計的な立場から分析され、評価される項目です。高い評点は、経営が安定していることを示します。同業他社との差別化において重要なポイントとなります。
その他の審査項目 (W)
W - 社会性等評点
Wは建設業者が社会的責任を果たしているかどうかといった観点から評価される項目です。社会保険加入、法令遵守の状況、建設機械の保有台数などが評価対象となります。Wの評点だけでなく、各審査項目の評価結果を確認することが重要です。
経審結果通知書の活用方法
経審の結果通知書は一般に公開されており、建設業者がどのような結果を得たかを確認することができます。この情報を利用して、同業他社との比較や協力会社の選定に活かすことが可能です。
注意すべきこと
経営コンサル系会社はWの評点を上げる工夫を提案することがあるかと思います。これは、Wの評点は企業の努力値なので、努力さえすればいくらでも向上させることができるためです。
例えば、従業員全員に建設業計理士2級以上を取得させればWはかなり稼げます。逆に、事務員に技術系資格を取得させれば技術者数も向上します。
つまり、Wは即効性が極めて高いのです。頑張れば頑張った分だけすぐに数字に表れます。
しかし、Wを向上させることが主目的になってはいけません。
あくまで経審の主役はX1とZです。
すなわち、元請工事数と技術者を増やし、かつ、自己資本を増やすことが最優先です。それこそが企業の本来の底力を現す数値だからです。しかし、これらは当然ながら成長させるためには時間が掛かります。また、必ずしも努力が成果に直結するとも限りません。
分かりやすくまとめると以下の図ようになります。
このように、地道な努力を重ねてX1とZを向上させられるように留意しましょう。
また、当然ですがYの数値も重要です。困ったときは建設業に詳しい税理士に相談してみましょう。
最後に
今回は経営審査結果通知書の見方等について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が建設業許可について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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