ドローン飛行許可の取得: スケジュール管理と行政書士の活用法
ドローン飛行許可を取得するためには、まずは必要な準備を整える必要があります。
今回は、事前に確認しておくべき点および申請の方法の全体の流れについて解説します。
申請前の確認事項
飛行許可取得までの期間は約1か月であり、申請前に確定させるべき事項が存在します。以下は主に考慮される5つの要素です。
- 飛行日時と期間
飛行を行う具体的な日時と期間を明確に設定します。 - 飛行場所
ドローンの飛行範囲や場所(住所、エリア)を指定します。 - 操縦者
ドローンを操縦する担当者を指定します。 - 機体
使用するドローンの種類や型番を指定します。 - 飛行目的
ドローンを使用する目的を具体的に定義します。
これらの要素を包括的に考慮し、飛行計画と許可申請の内容を決定します。許可申請の具体的な内容を決め、申請書を完成させる過程には約2週間かかります。
保険情報の重要性
飛行許可申請時には、保険情報の提供が必要ですが、厳密には必ずしも保険に加入する必要はありません。ただし、ドローンが第三者や物件に損害を与える可能性があるため、業務での利用においては多くの人が保険に加入しています。
許可取得までの期間と注意事項
許可申請から許可取得までの期間は約2週間で、経験豊富なプロの場合はこれを短縮できることもあります。国土交通省は開庁日の10日前までに不備のない申請を求めており、修正依頼がある場合は対応に数日かかります。修正依頼の回数が増えるほど、許可取得までの時間が延びる可能性があります。
申請方法の比較
申請方法は主にオンライン申請(DIPS)と郵送申請の2つがあります。オンライン申請は通常早く許可を取得できますが、システムの都合で取得できない場合もあります。郵送申請は往復の郵送に時間がかかるため、オンライン申請より数日長くかかります。通常、オンライン申請が選択されることが多く、国土交通省もその利用を奨励しています。
オンライン申請の手順
アカウントの作成から申請までの一連の流れを解説します。
アカウント作成
申請を始めるにはまず、アカウントを作成する必要があります。以下が手順です。
- パソコンとインターネットが利用可能な環境を整えます。
- 「DIPSドローン情報基盤システム」にアクセスしアカウントを開設します。
- アカウントには個人用と法人(企業・団体)用があります。個人用では企業名(屋号)などの入力ができませんので、注意が必要です。
- ウェブサイト内にはDIPSの概要や利用手順を説明しているページがあります。最初に確認してください。
- また、登録時に「航空法における無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルールについて」というデータが表示されるため、閲覧しておきましょう。
- あとは必要事項を入力すればアカウントが作成できます。
ドローン情報の入力
アカウントができたら、次に無人航空機の情報を登録します。
- 「無人航空機情報の登録・変更」を選択し、ドローンの情報を詳細に入力します。
- システム上はドローンの情報を最初に入力しないと進めないため、注意が必要です。
- 複数のドローンの情報を登録することができます。
操縦者情報の入力
ドローンの情報が登録できたら、次に操縦者の情報を追加します。
- 「操縦者情報の登録・変更」を選択し、操縦者の詳細情報を入力します。
- 最初にドローンの情報を入力していないと進めないので、注意が必要です。
- 複数の操縦者の情報を登録することができます。
申請書の入力と申請
最後に、ドローンと操縦者の情報が整ったら、「申請書の作成(新規)」を選択して申請書を作成します。
- これまでに入力したドローンと操縦者の情報が必要です。順番を誤らないように注意しましょう。
- 入力が不足している状態で申請書を作成すると、完了させることができません。確認を怠らないようにしましょう。
補正指示発行通知
もし申請内容に不備がある場合、申請先から「不備があるので修正(補正)してください」といった通知が、アカウント登録したメールアドレスに送られてきます。不備の詳細はDIPSのウェブサイト上で確認可能です。補正が可能な場合、許可が得られますが、申請内容に問題がある場合は申請を取り下げ、再度申請する必要があります。
審査終了通知
申請内容に不備がなければ、申請先から審査完了メールが送られてきます。オンライン申請では、許可申請時に電子許可書(PDFデータ)または紙の許可書のどちらを受け取るかを選択します。電子許可書を選択した場合は、システム上で許可書をダウンロードできます。紙の許可書が必要な場合は、返信用の封筒を用意して申請窓口に郵送すれば、数日で紙の許可書が届きます。
データの許可書と紙の許可書の違いは、国土交通省からの公印の有無です。効力は同じですが、こだわりがなければ迅速に許可書を確認できるデータの許可書を選ぶことをお勧めします。
飛行許可取得後は、許可書のコピーまたはPDFデータを携帯してドローンを飛ばしましょう。ただし、許可を得たからといって好きな場所で飛ばせるわけではありません。許可書に記載された「条件」に従い、慎重に飛行しましょう。
電子許可書の真贋確認方法
紙の許可書は公印が押されているため、容易に本物かどうかを確認することができます。一方で、電子許可書(PDFデータ)は公印がないため、確認が難しいことがあります。以下は具体的な確認方法です。
検索とアクセス:
- インターネットで「e-Gov電子申請」を検索します。
- 検索結果からe-Gov電子申請の公式ページにアクセスします。
署名検証ページへの移動
- 開いたページの中で「公文書の署名検証」またはそれに相当する項目を見つけ、選択します。
ファイルのアップロード
- 「検証を行う公文書ファイルと必要な添付ファイルをまとめてドロップしてください」という指示がある場所に、ダウンロードした電子許可書(PDFデータ)をドラッグアンドドロップします。
検証の実行
ドロップしたファイルに対して「署名検証」またはそれに相当するボタンを押し、検証を実行します。
検証結果の確認
結果が表示されるので、確認します。検証が成功した場合は、電子許可書が正規のものであることが確認できます。
以上の手順を通じて、電子許可書の真贋を確認することができます。この確認方法はドローン飛行許可だけでなく、オンライン申請の他の行政手続きにも適用できます。
郵送申請の流れ
申請書の案を作成する
郵送申請では、まず最初に申請書を作成する前に、メールで申請書の案を送付し、事前審査を受けます。初回の申請では不備が生じる可能性が高いため、メールでの事前審査が一般的です。申請書は通常、Microsoft Wordで作成します。
整理番号のお知らせ
申請書の案をメールで送付すると、申請先から受付完了を伝えるメールが届きます。このメールには整理番号が含まれていますが、申請窓口によっては整理番号が通知されないこともあります。
申請書の修正依頼
整理番号の通知後、もし不備があれば申請先から修正を指示するメールが届きます。不備内容は通常、メールに添付されたWordデータで提供されます。
申請書の原本送付依頼
審査が終了し問題がないことが確認できた場合、申請先からは「申請書原本の送付依頼」がメールで送られてきます。
申請書原本とは、申請書のすべてのページを印刷したものです。これを返信用封筒と共に申請窓口に郵送すると、紙の許可書が送られてきます。ただし、窓口によってはこの郵送が不要で、メールでの申請が可能な場合もあります。事前に確認をすべきです。
現在では、多くの窓口で申請書原本の郵送が不要となり、メールでの手続きが主流となっています。押印は不要ですが、返信用封筒の郵送は必要なので、注意が必要です。
飛行許可取得までのタイムマネジメント
ドローンをビジネスに活用する際、飛行許可の取得はプロセスが複雑です。そのため、その期間を見積もることが難しいものです。
クライアントや関係者が飛行までの時間を把握せず、トラブルに発展することも珍しくありません。
また、何に許可が必要なのか理解していない人も多く、これを防ぐためにも事前に詳細な説明が必要です。特に許可が不可欠な場面で、まだ許可が降りていないのに急ぎでの飛行を求められることも頻繁に発生します。
こうした状況に対応するためにも、関係者に適切な情報を提供し、期間の予測を余裕を持って伝えることが必要です。
概ね1〜2週間で許可が取得できるとの情報が広まっています。しかし、それはあくまで過去の例外であり、現実的ではありません。
許可自体の取得だけでなく、ビジネスに必要な申請内容を正確に理解し適切な許可を取得するためには、1か月を目安に考えることが賢明です。特に個別のイベントなどに関する具体的な申請は時間がかかります。そのため、スケジュール管理が不可欠です。
ドローン専門の行政書士の利用: 賢明な選択
許可取得をスムーズに進めるためには、ドローンに詳しい行政書士に依頼することが一つの効果的な手段です。
まず、この1か月の予想取得期間の短縮が期待できます。
また、適切な調査を通じて申請を進め、法令の変化に関する情報提供も期待できます。ただし、極端なスピードでの許可取得は避け、行政書士の選択は慎重に行うべきです。法令の変化に柔軟に対応できる行政書士を選ぶことが不可欠であり、彼らには許可の要件や許可後の申請内容の確認を依頼することが重要です。法的な違反を防ぐためにも、ドローンに深い専門知識を有する行政書士を選ぶことが望ましいです。
最後に
今回はドローン飛行許可取得までの準備段階、申請の流れ、タイムスケジュールについて解説しました。
なかなか時間がなく、自分で申請が難しいと感じた方は行政書士に相談してみましょう。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事がドローン飛行許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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