衛星画像で農地違反転用を早期発見!限界や今後の課題も解説

農地を許可なく宅地等に転用することを違反転用といいます。
違法転用は、時間が経つほど元に戻すのが困難な傾向があります。
このため、農業委員会は早期発見、是正指導に尽力しています。
農業委員会では、日々、職員が現地を巡回する農地パトロールを行っています。
しかし、自治体の職員が不足する中で、人海戦術による現地確認には限界があります。
また、必ずしも早期発見につながっていないところもあり、是正が困難な案件も発生しています。

しかし、近年、観測衛星の高性能化や画像解析技術の開発・普及が急速に進んでいます。
これらを活用することで、農地違反転用の監視に要する農地パトロールを効率化しようとるする実験が始まっています。
【参考資料:衛星データ活用による農地の違反転用の監視手法の効率化検討業務

実験の結果

この実験は、フランスの「SPOT6,7」及び「Pleiades」、欧州宇宙機関の「Sentinel-1,2」のデータを基にして行われました。
実験の結果は以下の通りです。

【画像出典:衛星データ活用による農地の違反転用の監視手法の効率化検討業務

何と、ほぼ全ての衛星画像で「農地と非農地の判別が可能」と判定されました。
特に、フランスの「Pleiades」は農地転用区分まで細部の判定が可能です。驚くべき画像解析能力と言ってもいいでしょう。
また、今後活躍が期待されている日本の人工衛星「だいち3号(ALOS-3)」、はフランスの「Pleiades」とほぼ同等の性能であると言われているため、打ち上げが成功すれば今後は「だいち3号(ALOS-3)」を使用していくことが予想されます。
これは三菱重工様には是非とも頑張っていただきたいところですね。

衛星監視の弱点

しかし、衛星監視にも致命的な弱点があります。
それは、農地を太陽光パネル施設に転用した場合です。
太陽光パネルは採光のため向きや角度が常に一定で、かつ建物のように凹凸がありません。
このため、陰影が明確にならず、衛星写真では農地との判別が困難であるという結果となりました。

【画像出典:衛星データ活用による農地の違反転用の監視手法の効率化検討業務

やはり現代の最新技術をもってしても限界はあるようです。
最終的には人間が現地を確認し、指導していく作業は避けられません。
まだまだ全ての仕事が機械に取って代わられる日は遠いようですね。

最後に

今回は農地の違法転用対策について解説しました。
昨今の科学技術の発展は目覚ましいものです。
行政はこの技術を積極的に運用していただきたいと、元公務員の立場から願わずにはいられません。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が農地に関する問題について学びたい方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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