農地の買受適格証明書とは?取得方法や活用方法を解説
農地の取得に関連する書類の一つに農地の買受適格証明書というものがあります。
この書類は、通常の農地の売買等においては必要ありません。
しかし、ある特定の場合にのみ必要になる書類です。
今回は、この農地の買受適格証明書の用途等について解説します。
買受適格証明書の目的
農地は、国民の食料の安定的な供給に不可欠なものです。
そのため、農地法では、農地の取得について、農業委員会の許可制が定められています。
これは、農地を農地として適切に利用し、農業の健全な発展を図ることを目的としています。
買受適格証明書は、この農地法の許可制に基づいて交付されるものです。
この書類を取得することで、農地の競売や公売に参加することができ、農地を取得する見込みが得られます。
買受適格証明書が必要となる場合
買受適格証明書が必要となる場合としては、以下のとおりです。
- 農地の競売に参加する場合
- 農地の公売に参加する場合
さて、いきなり競売と公売という難しい用語が出てきため掘り下げて解説します。
競売とは、債権者が、債権の回収を目的として、裁判所に対して不動産などの財産の差し押さえを申し立て、裁判所がその財産を売却する制度です。代表的なものが抵当権の執行です。
競売の対象となる財産は、主に、債務者が所有する不動産や動産などです。また、競売の手続きは、裁判所が主催し、裁判所の書記官が進行を行います。
公売は、国や地方自治体が、税の滞納や罰金などの債権の回収を目的として、不動産などの財産を売却する制度です。
公売の対象となる財産は、主に、国税庁や地方税務署が差し押さえた不動産や動産などです。
また、公売の手続きは、国税庁や地方税務署が主催し、その職員が進行を行います。
つまり、司法が行うのが競売、行政が行うのが公売ということです。
買受適格証明書の請求方法
買受適格証明書の請求は、農業委員会に対して行います。請求書には、以下の書類を添付する必要があります。
- 買受適格証明書請求書
3条許可と5条許可の場合、競売と公売の場合でそれぞれ様式が異なるため注意しましょう。
なお、以下に広島県の書式を添付します。参考にしてみてください。
買受適格証明書(競売) [Wordファイル/80KB]
買受適格証明書(公売) [Wordファイル/80KB] - 本人確認書類
運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、住民基本台帳カード、障碍者手帳、在留カード、特別永住者者証明書が該当します。 - 農地を取得する目的を証明する書類(農業経営計画書など)
買受適格証明書の請求に必要な費用
請求に必要な費用は、自治体にもよりますが概ね300円程度です。
必ず事前に所轄の農業委員会に確認するようにしましょう。
買受適格証明書について注意すべきこと
買受適格証明書は、農地法の許可を受ける見込みがあることを証明するものであり、許可を保証するものではありません。
証明書を取得した後も、農業委員会の審査を受け、許可が決定される必要があります。
また、買受適格証明書は、取得した農地の用途や所在地によって、交付する農業委員会が異なります。
詳しくは、農地を取得する予定の市町村の農業委員会までお問い合わせください。
まとめ
農地の買受適格証明書は、農地の競売や公売に参加する際に必要な書類です。
買受適格証明書を取得することで、農地を取得する見込みが得られます。
買受適格証明書を取得する際には、所轄の農業委員会に必要な書類や費用を事前に確認しておきましょう。
最後に
今回は農地の買受適格証明書について解説しました。
競売や公売に参加する機会は限られるため、普通の人は生涯で一度も目にすることが無い書類かもしれませんね。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が農地転用に関する問題について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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