被相続人の借金の有無を調べる方法|信用情報機関とは?

被相続人の借金の有無は相続人にとっては極めて重大な問題です。

相続が発生した場合、被相続人(お亡くなりになった方のこと)の財産の全てを包括的に相続する単純相続をされる方が多いと思います。
しかし、もし被相続人に莫大な借金がある場合はそうもいきません。
相続財産よりも借金の額の方が大きいなら、相続人がその借金を引き継ぐことになります。
このような状態を避けるために一般的に取られる手段が相続放棄です。
これは相続開始から3カ月以内に家庭裁判所に申し出ることで、相続人から除外される制度です。
【根拠法令:民法915条
これにより、財産の正負を問わず一切の相続が出来なくなります。
しかし、借金の総額が明確な場合はそれでいいかもしれませんが、どこから・いくらの借金があるか不明な場合もあります。
そのため、まず被相続人の借金の有無・金額を調べる必要があります。
今回は、このような場合に被相続人の借金総額を調べる方法について解説します。

信用情報機関に問い合わせる

まず結論から述べると、信用情報機関という組織に問い合わせることで解決します。
信用情報機関とは、銀行や消費者金融などの金融機関から提供された※信用情報を管理・提供する機関のことです。
※信用情報とは
クレジットや金融機関とのローン契約や申し込みに関する情報のこと。クレジット会社が顧客の信用を判断されるために使用されます。ローンの滞納情報が記載されることを「ブラックリストに載る」という言われ方をすることが多いですが、信用情報は滞納情報のみを収集するものでありません。健全に返済できているという情報も包括的に記載されます。

信用情報機関の種類

信用情報機関には以下の3種類があります。

日本信用情報機構(JICC)

こちらは主に消費者金融会社からの借入情報が記録されます。

CIC

こちらは主にクレジットカードやローン情報が記録されます。

全国銀行個人信用情報センター(KSC)

こちらは銀行からの借入情報が記録されます。

上記の3種の信用情報機関に開示請求することで、借金の有無を確認することができます。

開示請求の方法

開示請求をするためには、以下の手順を踏む必要があります。

戸籍を収集する

主に以下の戸籍が必要になります。

  • 被相続人の出生から死亡までが記録された戸籍
    これは被相続人の死亡を証明するとともに他に子がいないかを証明するためです。
  • 被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍(ただし、常識的に考えて生存していないことが明らかな場合を除く(例:大正初期生まれ等))
    これは被相続人に他に兄弟がいないかを証明するためです。
  • 被相続人の祖父母の出生から死亡までの戸籍(ただし、常識的に考えて生存していないことが明らかな場合を除く(例:明治生まれ等))
  • 相続人の現在の戸籍
    これは相続人が相続開始時に生存していたことを証明するためです。

この作業は非常に大変ですが、避けて通ることはできません。
収集作業に時間を割くことができない場合は専門家に依頼しましょう。

開示請求者の身分証明書を用意する

これは開示請求者の本人確認のために必要となります。
身分証明書として認められるのは以下の書類です。

  1. 運転免許証
  2. パスポート
  3. 在留カードまたは特別永住者証明書
  4. マイナンバーカード
  5. 住民基本台帳カード
  6. 障碍者手帳
  7. 保険証
  8. 住民票(発行3か月以内)
  9. 印鑑登録証明書(発行3か月以内)
  10. 年金手帳
  11. 戸籍謄本または戸籍抄本(発行3か月以内)

これらのうち、2種類を用意しましょう。

それぞれの信用情報機関に手数料を納付する

残念ながら、開示請求には手数料が発生します。
手数料は、日本信用情報機構が1000円、CICが1650円、全国銀行個人信用情報センターが1200円となっています。
なお、CICと全国銀行個人信用情報センターはコンビニで手数料を支払うことができます。

開示請求書を提出する

これはそれぞれの基幹ごとに開示請求書を提出しなければなりません。
JICCとCICは以下の作成フォームに必要事項を入力するだけで簡単に作成できます。
JICC:開示申込フォーム|日本信用情報機構(JICC)指定信用情報機関
CIC:郵送で開示|情報開示とは|指定信用情報機関のCIC
全国銀行個人信用情報センターは入力フォームは無く、Wordのデータをダウンロードして作成する必要があります。
郵送による開示手続 | 本人の手続き | 一般社団法人 全国銀行協会 (zenginkyo.or.jp)

請求書が完成したら、それぞれの基幹に簡易書留で郵送すれば手続き完了です。

注意すべきこと

請求してから結果が返ってくるまで最大で20日程度

請求してもすぐには返答は返ってきません。
早ければ1週間程度、長ければ20日程度の日数がかかります。
そのため、相続放棄の決定をしなければならない3カ月の期限を加味すると、決して余裕があるとはいえません。
開示請求をする際は計画的に行動しましょう。

あくまで消費者金融等の借金しか分からない

当然ですが、信用情報機関には消費者金融や銀行からの情報しか登録されません。
そのため、被相続人が個人間であった借金はこの方法では調べることができません。
というより、そのような形態の借金は調べること自体がかなり困難です。
強いて挙げるなら、被相続人の住居を捜索し借用書等の有無を確認するしかないでしょう。

最後に

今回は被相続人の借金の有無を調べる方法について解説しました。
手続自体はそれほど難しくはないのですが、相続が発生した場合は各種行政手続きに追われて、それどころではないことが多いです。
自身で完結が難しいと感じたならば、専門家に相談してみましょう。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が相続に関する問題について学びたい方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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