特殊車両通行許可とは?

特殊車両通行許可とは、法令上で制限された重量・車高・長径等を上回る車両を運行する場合に必要となる許可です。
当該許可を受けずに特殊車両の運行をした場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられることがあります。
【根拠法令:道路法第103条
とはいえ、普通の人は「特殊車両って何?」という状態だと思います。
日常生活で特殊車両を操縦する人はなかなか限られていますからね。
ちなみに自分は船舶と飛行機以外は全ての乗り物を操縦できるため、当然、特殊車両も操縦できます(唐突な自分語り)
今回は、特殊車両の定義から特殊車両通行許可の概要までを解説していきます。

特殊車両とは?

特殊車両とは、車両の構造が特殊あるいは積載する貨物が特殊な車両で一般的制限値を超過する車両のことです。
【根拠法令:道路法第47の2条
いきなり難解な用語が出てきてしまいましたが、一般的制限値とは車両の大きさと重量の規定のことです。
具体的には以下の数値です。

大きさ
  1. 幅:2.5m
  2. 長さ:12.0m
  3. 高さ:3.8m(高さ指定道路は4.1m)
  4. 最小回転半径:12.0m
重さ
  1. 総重量:20.0t(高速道路及び重さ指定道路は25.0t)
  2. 軸重:10.0t
  3. 隣接軸重:18.0t~20.0t
  4. 輪荷重:5.0t

【根拠法令:車両制限令第3条

上記の数値のうちどれか一つでも上回るものは特殊車両となります。特殊車両通行許可を受けなければ原則運行は出来ません。
このうち、特に重要なものは幅、長さ、高さ、総重量です。
逆に言えば、それ以外はあまり深く考える必要はありません。
また、特殊車両の条件のうち「車両の構造が特殊あるいは積載する貨物が特殊な車両」という部分も特別な意味はありません。
「一般的制限値を超える」という部分が全てです。
結論から言えば、幅2.5m、長さ12m、高さ3.8m、総重量20tを超える車両はほぼ確実に特殊車両扱いになります。
また、空荷の状態で一般的制限値を超えなくても、積載物を積んだ状態で超過する場合は特殊車両になります。
このため、往路で重量物を積載していても復路で空荷になる場合は、往路のみ許可が必要になる場合もあります。

【特殊車両の例】

特殊車両通行許可,特殊車両の例

(画像出典:国土交通省HP)

通行条件とは?

道路管理者は、特殊車両通行許可にあたって、以下の条件を付すことが出来ます。

重量が超過する場合の条件

A条件:特別の条件を付さない。
B条件:徐行及び連行禁止
C条件:徐行及び連行禁止並びに当該車両の後方に誘導車を配置
D条件:徐行及び連行禁止並びに当該車両の後方に誘導車を配置し、2車線内に他車が通行しない状態で当該車両通行すること

寸法が超過する場合の条件

A条件:特別の条件を付さない。
B条件:徐行を条件とする。
C条件:徐行及び当該車両の前方に誘導車を配置

C条件とD条件となる場合は最低でも車両が2両必要になることに注意が必要です。
なお、連行禁止とは2台以上の特殊車両が縦列をなして同時に橋、高架道路等の同一径間を渡ることを禁止する措置のことです。

【重量条件のイメージ図】

特殊車両通行許可,重量条件

(画像出典:国土交通省HP)

重量条件のみ連行禁止がある理由は上記画像を見れば分かりやすいとは思いますが、重さで橋や高架が崩落しないようにするためです。

また、重量条件と寸法条件で誘導車の位置が逆になる点も注意が必要です。
重量条件の場合は、橋等を通過する際に後方から別の特殊車両が来るのを足止め等をするために後方に誘導車を配置します。
寸法条件の場合は交差点を曲がる際や狭隘部を通過する際に、誘導車が先行して対向車の足止め等をするために前方に配置します。
特殊車両通行許可は交通の安全を重視しているという点が良く分かる制限ですね。

【誘導車の役割のイメージ図】

(画像出典:国土交通省HP)

ちなみに、自分が現場でバリバリ働いていた頃は特殊車両の前後に誘導車を配置しなければならなかったため、最低でも3台の車両が必要だった記憶があります。
あの時代に比べると、今は大幅に輸送事業者の負担は軽減されているように感じます。
その分、安全面が軽視されてしまっている感は否めませんが・・・

夜間通行制限

また、上記の制限に加え、通過する区間によっては通行時間制限が課されることがあります。
具体的には、重量条件Dまたは寸法条件Cで車幅が3mを超える場合は21時~6時の間しか通行が出来ない場合があります。
対象となる区間は都市が発展した市街地であることが多いです。
特殊車両通行許可は交通安全はもとより交通渋滞の発生抑制も目的としているため、このような制限があるのです。
ただ、どこの区間が通行時間制限にかかるかを事前に全て調べることは難しいため、経路を見積った上で国道事務所等に相談する必要があります。
ただ、自分の経験上、車幅3m以上の特殊車両を運行する際は確実に夜間に通行するようにしていました。
結局のところ、昼間に出発しても経路上に1か所でも時間制限区間があれば足止めを食らってしまいます。
「21時になるまで時間制限区間の直前で仮眠しよう!」という作戦も、著しい通行の妨げになるため現実的ではありません。

最後に

さて、今回は特殊車両通行許可の概要のみにフォーカスして解説しました。
反響があれば、今後、申請書の具体的な作成方法等についても解説しようと思います。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が特殊車両通行許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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