農地転用許可申請から許可後までの流れ

農地転用許可申請から許可後までの流れはなかなかイメージしにくいものです。
特に、許可取得後にしなければならない行動は、最初のうちは分からないのが普通です。
どうしても申請書等を提出するまでの段階に全集中力を使ってしまいますからね。
しかし、許可を取得して終わりにはならないのが農地転用です。取得後もやらなければならないことが意外とあります。
今回は、農地転用許可申請から許可後まで一連の流れについて解説します。
なお、処々の流れについては各自治体によってローカルルールがあるため、最終的には役所の担当者に相談しましょう。

申請書の提出

まず、当然ですが申請書を窓口に提出しなければ何も始まりません。
少し特殊なのが、農地転用の場合は毎月ごとに提出の締め切りがあるということです。
細部の締め切り日は各自治体によって異なります。
ちなみに広島市の場合は毎月15日です。
なお、申請書類の書き方については以下のアーカイブページから参照できます。
申請書等の書き方【農地転用】 アーカイブ

窓口に提出された後は、簡易的な審査を受け、補正があれば指示されます。
その場で修正できるものであれば簡単に済みますが、大幅な修正がある場合は後日出直すことになってしまいますので、計画的に提出しましょう。

現地調査への立ち合い

書類審査をクリアすると、次は現地調査が始まります。
現地調査は自治体によって立ち合いを求められることがあります。
この現地調査は日程が決まった後は変更の融通が利かないため、綿密に調整しましょう。
なお、この段階で補正指示を受けることはほぼありません。計画書通りの立地かどうかを調査することが現地調査の目的だからです。

農業委員会での審議から都道府県の審議

次は農協委員会の中で審議が行われます。
この会議は市町村ごとに毎月行われているものです。
農地転用申請が毎月の提出締め切り日を設けているのは、この会議資料を取り纏めるためだと言われています。
建設業許可や宅建業許可も本来はそうではないのか・・・?とは思いますが、そこは追求しないでおきましょう。
ここで可決された場合、更に都道府県に書類が送られます。(知事許可の場合)
そして、都道府県の審議の結果、可決された場合はようやく許可が取得できることになります。

許可証の交付

許可証の交付は原則として手交です。
遠方の場合は郵送ができる自治体もあるため、事前に相談しておきましょう。
なお、許可証を受け取るまではいかなる工事も着手できませんが、許可証を受け取ったならば即座に工事に着手しなければなりません。
ハウスメーカー等と許可証の交付予定日について事前に情報共有を行うことが重要です。

工事の着手(4条許可、5条許可の場合)

さて、あとは計画通りに工事を着手するだけです。
ただ、自治体によっては工事着手後に完了報告、工期延長報告を求められる場合があるため注意が必要です。
この報告は忘れられがちなので、必要の有無は事前に確認しておきましょう。

地目変更登記

工事が完了した時点で法律上の地目が変更されます。
また、所有権が移転する場合は所有者も変わります。
ただし、この変更は自動的にされません。申請者が自ら法務局に出向いて手続きを行う必要があります。
なお、法律知識の無い人が申請手続きをするには相当な勉強が必要なので、司法書士や土地家屋調査士に依頼することを推奨します。
ちなみに登記の権利部は司法書士、表題部は土地家屋調査士にしか申請代理はできません。
登記業務は行政書士には絶対に立ち入れない聖域です。
行政書士が「何でもできるけど何にもできない仕事」と言われる所以は、申請後の最終の手続きまでは履行することができないからですね。

その他の注意事項及びお知らせ

受領した許可証の原本は必ず厳重に保管しましょう

もし紛失してしまっても許可を受けたことの証明を受けることは可能です。
しかし、役所に保管される書類は例外なく行政文書です。保存期間の満了とともにいつかは破棄される運命にあります。
転用した土地を子孫に残していくためにも、許可証の保管は厳重にすべきです。

農地の権利移転の面積下限規定が廃止されました

かつて、4条許可と5条許可の申請にあたっては、権利を取得する人の耕作面積が、下限面積(10アール=1,000平方メートル)を上回る必要がありました。
しかし、令和5年4月1日から農地法の一部改正に伴って下限面積要件が廃止されています。
農地の権利移動をする場合の下限面積要件が廃止されます(令和5年4月1日から適用) - 広島市公式ホームページ|国際平和文化都市 (hiroshima.lg.jp)

最後に

農地転用許可申請から許可後までの流れは以上の通りです。
ただし、農地転用は自治体ごとのローカルルールが多いため、多少の差異はありうることをご了承下さい。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が農地転用許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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