国道の占用許可は難しい?
国道の占用許可は市道と比べて難しいのか?
この記事の読者の皆様は最愛の恋人より道路占用許可を愛しているはずなので、誰もが一度はこの疑問を持ったことがあるでしょう。
今回の記事は、この疑問に対して徹底解説します。
結論:めちゃくちゃ難しい
結論から言えば、国道の占用許可は市道の占用許可より遥かに難しいです。
どれくらい難しいのかというと、ノーヒントで「たけしの挑戦状」をクリアするくらいの難易度です。
その典型的な例として、昨年、青森県八戸市が水道管工事のため国道占用許可を提出していましたが、許可が下りたのが予定を大幅に遅れた5カ月先であり、民間施工業者との契約解除により損害賠償2253万円を民間施工業者に支払う事件が発生しています。
事件の細部は以下のリンクから参照できます。
国道の占用手続き遅れ工事契約を解除、八戸市が損失2253万円 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
当初、市の担当者は市道の占用と同程度の審査基準だと甘く見積もっていたようです。
以前の記事「【道路占用許可】申請時に必要な図面とは? 」でも触れましたが、市道の占用許可に必要な書類は簡易的な図面のみです。しかし、国道の占用許可となると話は変わってきます。非常に綿密な図面が必要になります。高等数学の知識と製図技術が必要です。土木の専門的な知識も当然に不可欠でしょう。
この市の担当職員も図面の計算間違いだけで5回も補正指示を受けています。またこれを含め大小合わせて計25回の補正指示を受けています。
国道の占用許可における無余地性とは?
しかし、ここまで許可が遅れた決定的な理由は別にあります。
それは、国道の占用許可は「無余地性」という判断基準によってされているという点です。
これが市道の占用許可との決定的な差異です。無余地性とは「他に利用できる場所が一切無い場合だけ許可する」という意味です。
そのため、とてつもくハードルが高いのです。
上記の事件では、前提として近隣に使用できる農地や民有地が存在していました。
国は市に対して少なくとも7回以上にわたり他の土地を買収して工事をすることを促しています。
しかし、市は費用削減を口実にこの指示に従いませんでした。
素直に従ったが結果的に無理だったのではなく、そもそも従わなかったのです。これは市の知識の無さを言及されても致し方無いでしょう。
もっとも、市も事前に約4か月にわたり国と事前協議をしていたようなので、国も多少は責任があるとは思いますが・・・
無余地性の例外もある
「他に利用できる場所が一切無い場合だけ許可する」と先述しましたが、例外もあります。
この無余地性は、単に物理的な面積の余地だけで判断するものではないのです。
この他に、都市計画法等の法令やその他の事情も総合的に考慮して良いということになっています。
例えば、鳥取県の名物に水木しげるロードなるものがあります。
境港駅前から元町アーケード商店街にかけてゲゲゲの鬼太郎の妖怪達の銅像が点在しているのを皆様もご存じかと思われます。
鳥取が誇る最強で無敵のアイドル 輪入道の銅像
この銅像の設置は国道の占有許可によってなされています。しかし、周辺には使用可能な民有地があるのです。
これは、民有地のみを使用した場合は銅像が広範囲に散らばってしまい観光客誘致の目的を果たせなくなるという事情を勘案して「他に余地が無い」として認められているのです。
この他にも、名古屋市では現在と昔の街並み等を掲載した標識を設置する際に、他に設置できる土地はあるが「昔と現在の街並みを対比をするため絶好の地点であり、他に余地が無い」として国道の占用許可が認められています。
時代の移ろいを現代に遺す看板 町は変わってもあの日の思い出は変わらない
このため、国道の道路占用許可は「許可」ではありますが行政側に一定の裁量が認められています。どちらかというと認可に近いですね。
最後に
いかがでしょうか。国道の占用許可の難しさがご理解いただけたでしょうか?
補足資料として、無余地性の判断基準の根拠となる国土交通省発出資料を添付します。
kin_08.pdf (mlit.go.jp)
今回は以上で終わります。
この記事が道路占用許可取得を検討されている方の参考になれば幸いです。
また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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