建設業許可に必要な「身分証明書」とは?取得方法・注意点を行政書士が徹底解説!
建設業許可を取得するためには、多くの書類を整える必要があります。その中でもあまり馴染みのないもののひとつが「身分証明書」です。
「免許証のコピーでいいんじゃないの?」
「マイナンバーカードじゃダメなの?」
そう考えている方は要注意です。ここでいう「身分証明書」は、一般的な本人確認書類とは全く異なるものです。
今回は、行政書士の視点から、建設業許可申請に必要な「身分証明書」について、その取得方法・内容・注意点をわかりやすく解説します。
目次
1.身分証明書とは?|法律上の信用力を示す書類
「身分証明書」とは、市区町村が発行する公的な証明書で、以下の内容を証明するものです。
つまり、「法律上の行為能力が制限されていないこと」「財産管理能力に問題がないこと」を証明する書類であり、建設業許可において重要な欠格事由の確認に用いられます(建設業法第8条第5号・第6号)。
なお、ここでいう「身分証明書」は、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類ではありません。
「身分」という言葉に惑わされないよう注意しましょう。
2.取得できる場所と必要な人の範囲
発行機関
請求者の本籍地にある市区町村役場(市役所・区役所・町村役場)の戸籍窓口で取得します。
取得できる人
- 本人
- 配偶者
- 直系尊属・卑属(父母・祖父母・子・孫など)
- 同一戸籍に記載されている親族
上記以外の第三者(行政書士など)が取得する場合には、請求者本人からの委任状が必要です。
3.身分証明書の記載内容とその意味
証明書には、以下のような文言が記載されることが一般的です。
- 禁治産または準禁治産の宣告を受けていない
- 破産の宣告を受けていない
この「禁治産」「準禁治産」とは、かつての民法にあった制度で、2000年の成年後見制度の導入により廃止されました。
現在はそれぞれ「成年被後見人」「被保佐人」に置き換わっていますが、身分証明書の文面には依然としてこの古い用語が残っています。
※一部自治体では、「成年後見登記を受けていないこと」と現代的に表現されている場合もあります。
4.注意すべき3つのポイント
4-1.第三者が取得する場合、委任状が必須
行政書士に取得を依頼することも可能ですが、その場合でも請求者本人からの委任状が必須です。
なぜなら、行政書士が職務上請求で取得できる書類は住民票や戸籍謄本に限定されており、身分証明書は対象外となっているからです。
※行政書士の職務上請求制度(行政書士法第12条の2)
4-2.有効期限は取得後3カ月
建設業許可申請に添付する書類のうち、多くは「直近3カ月以内に取得されたもの」である必要があります。
身分証明書も例外ではなく、取得から3カ月以上経過したものは無効とされる可能性があります。
申請スケジュールから逆算し、適切なタイミングで取得しましょう。
4-3.手数料がかかる
身分証明書は有料です。発行手数料は自治体によって異なりますが、多くの場合は300円程度です。
郵送取得を希望する場合は、定額小為替や切手の準備が必要になることもあります。
5.よくある質問(FAQ)
Q:本籍地が分からない場合、どうすればよいですか?
→ 現住所ではなく、本籍地の役所でしか取得できません。本籍地が不明な場合は、まず自分の戸籍謄本を取得して確認しましょう。
Q:郵送で請求できますか?
→ 自治体によっては郵送請求に対応しています。郵送用の申請書、本人確認書類のコピー、定額小為替、返信用封筒などが必要になります。
Q:有効期限が切れていた場合、どうなりますか?
→ 原則として再取得が必要です。書類一式の中で最も早く取得したものが「期限切れ」となることがあるため、まとめて一括取得する日を決めておくと良いでしょう。
6.まとめ
- 身分証明書は、後見登記と自己破産の有無を証明する公的書類
- 取得は本籍地の役所で、本人または家族でなければ委任状が必要
- 有効期限は取得後3カ月以内
- 行政書士による取得には必ず委任状が必要
建設業許可の取得に向けて書類を揃える際、意外と盲点になりやすいのがこの「身分証明書」です。
「よくわからないけどとりあえず役所で取っておこう」では済まない重要書類ですので、しっかり準備してスムーズな申請を目指しましょう。
最後に
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
次回は、常勤役員(経営業務の管理責任者等)証明書を解説する予定です。
この記事が建設業許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。
また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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