原価計算の基礎【建設業】

原価計算とは、建設業簿記に関しては工事に掛かった原価を集計したものを指します。
建設業簿記ではこの計算が非常に重要です。基本的な仕分けと完成工事原価の計算さえ完璧に出来ていれば、建設業計理士2級相当の問題も容易に解けるようになります。
しかし、この完成工事原価の計算はなかなか理屈を覚えるのが難しいのです。
そこで、今回の記事では完成原価の計算方法を解説します。

原価計算の流れについて

完成工事原価の計算において、細かい計算方法は覚える必要はありません。
まずは全体的な流れを脳汁が出るまで徹底的に頭に叩き込みましょう。
まず、工事原価とは①材料費、②労務費、③外注費、④経費、⑤前期繰越額の総計です。
これ以外の費用、例えば通信費などは含みません。あくまでも工事に直接的に影響を及ぼした費用のみを計上します。

これら5つの勘定科目を、まず未成工事支出金勘定にぶち込みます。

原価計算の手順1


そして、ここから次期繰越額を差し引いたものが完成工事原価です。

原価計算の手順2

つまり、期中において施工中のものと既に完了した工事の経費を一度全て集計し、そこから現在進行形で進行中の工事の経費を取り除くのです。
そうすることで、純粋に期中で完成に至った工事の原価が分かるのです。
「じゃあ、最初から完成した工事の経費だけを集計すればいいじゃないか!」と思われた方もいるでしょう。
しかし、これが建設業簿記のルールです。ひたすら覚えるしかありません。

また、上記の手順1と手順2を決算整理といいます。

実際に建設業簿記の問題を解いてみよう

上記の知識があれば、建設業簿記3級の清算表を解くことが出来ます。
まずは過去問を解いてみましょう。

建設業簿記3級第36回(平成29年3月12日)
第5問 問題文(抜粋)
≪決算整理事項≫
未成工事支出金の次期繰越額は¥354,000である。

問題文はこれだけです。あとは解答用紙に記述されている各勘定科目の数値を見ながら手順1と手順2に当てはめていきます。

手順1
残高試算表の材料費(¥794,000)、労務費(¥689,000)、外注費(¥836,000)、経費(¥597,000と¥48,000)を整理記入欄の貸方に転記する。

原価計算


次に、上記4費用の合計(¥2,964,000)を未成工事支出金の整理記入欄の借方に転記する。


次に、未成工事支出金の残高試算表の借方(¥486,000)と上記4費用(¥2,964,000)の合計を足す。
この時の合計額(¥3,450,000)はどこにも記載しません。

手順2
問題文の次期繰越額¥354,000を手順1で明らかにした合計額¥3,450,000から引く。
計算結果の¥3,096,000が当期の完成工事原価となります。
これを未成工事支出金の整理記入の貸方と完成工事原価の整理記入の借方に記入する。


あとは貸借対照表と損益計算書に書き写せば良いだけです。実に簡単ですね。

このように、一見すると難しい完成工事原価の計算も、仕組みを覚えれば意外と簡単なものなのです。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が建設業簿記の学習を検討されている方の参考になれば幸いです。

また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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