要注意!意外と知られていない建設業許可の取消事由
建設業許可を取得することは、建設業界で事業を営む上で重要なステップです。
しかし、取得後もその維持には多くの注意点があります。
今回は、建設業法第29条に定められた「許可の取消し」、特に第4号事由に焦点を当てて解説します。この内容を把握しておくことで、予期せぬ許可取消のリスクを回避するための具体的な対策が見えてきます。
目次
建設業許可とは?
建設業許可とは、一定の基準を満たした事業者が国土交通大臣または都道府県知事から認可を受けて初めて一定の請負金額を超える建設工事を請け負うことができる制度です。また、公共工事の入札参加資格申請をするためには建設業許可は不可欠です。
つまり、この許可を得ることで事業者は信用性を高め、大型案件や公共工事を受注するための道を開くことができます。しかし、この許可には維持条件が伴い、それを怠ると許可取消の対象になる可能性があります。
建設業法第29条による許可取消事由
建設業法第29条には、許可取消の条件がいくつか規定されています。その中でも、以下の第4号事由が特に注意すべき点です。
(許可の取消し)
第29条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該建設業者の許可を取り消さなければならない。
四 許可を受けてから1年以内に営業を開始せず、又は引き続いて1年以上営業を休止した場合
この条文により、許可を受けた建設業者が以下のような状況に該当すると許可が取り消される可能性があります。
- 許可取得後1年以内に建設工事の営業を開始していない。
- 引き続き1年以上、建設工事を休止(売上がゼロの状態)している。
これは、事業規模が小さい個人事業主や兼業事業者にとって特に重要な注意点です。
建設業法上、やむを得ない理由で工事受注ができなかった場合でも、この規定は適用されます。この厳しいルールは、業界全体の信頼性を維持するための措置とされています。
許可取消の影響とその対応策
許可が取り消された場合、その事業者は請負金額500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事)の建設工事を請け負うことができなくなります。そして何より、無許可業者となるため社会的な信用力が低下してしまう恐れがあります。
このため、事業者は第4号事由に該当しないように注意が必要です。
対応策: 営業履歴の継続管理
建設業者は、事業活動を記録し、建設工事の売上(これを完成工事高といいます)がゼロになる期間を避けるよう努める必要があります。具体的には、以下のような対応が有効です。
- 小規模な案件でも積極的に受注する。
- 年度内に少なくとも1件の工事契約を確保する。
なお、自社ビルの改修工事は完成工事高には含まれないため注意しましょう。
取消事由に該当してしまった場合の応策: 許可の再取得手続き
許可取消事由は欠格事由ではないため、条件を満たせば直ちに新規許可申請を行うことは可能です。
許可取消後すぐに再取得手続きを行う場合、新規許可の申請要件を満たしていることを確認し、速やかに必要な書類の準備を進めましょう。
まとめ
建設業許可は取得だけでなく、維持することにも注意が必要です。
特に、見落としがちな第4号事由に該当しないよう、休業状態を避けることが重要です。
また、許可取消後も再取得が可能であることを理解し、必要に応じた迅速な対応を心がけましょう。
最後に
今回は建設業における許可取消事由ついて解説しました。
第4号事由による許可取消は非常に稀ではありますが、全く有り得ないわけではありません。実際に自分が過去に関った事業者の中に、第4号事由による許可取消対象者がいらっしゃいました。
残念ながら、法29条に規定された事由は「取消すことができる」ではなく「取消さなければならない」という強行規定です。どんなに本人に事業意欲があっても強制的に許可取消となってしまいます。合併や事業継承で休眠状態の建設業者を引き継ぐこととなった場合、特に注意が必要です。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が建設業許可について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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