広島県安芸高田市での農振除外手続きガイド:農地の活用法伝授

農用地区域内の土地は、原則として農業以外の利用が制限されています。しかし、特定の要件を満たす場合、農用地を他の用途に転用するために「農振除外」の手続きを行うことができます。
今回は、安芸高田市での農振除外手続きを解説します。

参考:農業振興地域整備計画の変更手続き(令和5年4月より手続書類がかわりました) | 安芸高田市

農振除外とは?

まず、農振除外の手続きとは何かを理解する必要があります。農振除外とは、「農業振興地域整備計画」に基づいて農業振興を目的とした土地(農用地区域)を、農業以外の目的に使用するために除外する手続きです。この手続きを経ることで、農用地を宅地や商業地、駐車場などに転用することが可能になります。

法的背景

農業振興地域の制度は「農業振興地域の整備に関する法律」(農振法)に基づいており、農地としての利用を確保するための区域が「農用地区域」として指定されています。この農用地区域では、宅地や商業施設への転用が原則として認められませんが、以下の条件を満たすことで例外的に転用が可能となります。

農振除外の要件

  1. 農用地以外の用途が必要かつ適当であること
    農用地区域内で他の適した土地が存在しないことを証明する必要があります。
  2. 周辺農地への影響がないこと
    農地の集団化や効率的な農業利用に影響を与えないことが求められます。
  3. 認定農業者等への影響がないこと
    効率的かつ安定的な農業経営に支障を及ぼさないこと。
  4. 土地改良施設等への影響がないこと
    農業用排水施設などに支障を与えないことが必要です。
  5. 土地改良事業から8年以上経過していること
    土地改良事業が完了してから8年以上が経過している場合に限り、農振除外が認められます。

手続きの流れ

農振除外の手続きは、以下のステップに従って進められます。

1. 申請書類の準備

安芸高田市の「農業振興地域整備計画変更(農用地区域除外・用途区分変更)申出書」を使用します。この申請書には以下の情報を記載します。

  • 申出人の氏名・住所
    土地所有者および変更後の使用者が明記されます。
  • 申出地の所在
    土地の場所、地番、登記面積、除外面積などを記載します。
  • 利用計画
    申出地をどのように利用するか(例:宅地、駐車場、工場など)を詳細に記載します。
  • 除外の理由
    農業振興地域から除外する理由と、その土地を利用する緊急性や必要性を記載します。

2. 添付書類の準備

申請書とともに以下の添付書類が必要です。

  • 登記事項証明書
    申出地の登記事項証明書の写し。
不動産登記簿とは?農振除外に必要な書類を解説

農振除外の手続きには申請書以外にも別紙や添付書類が多々必要です。 今回は、添付書類のうちの一つである「不動産登記簿」を解説します。

  • 公図の写し
    申出地及び隣接地の公図の写しを用意します。
公図とは?農振除外に必要な書類を解説

農振除外の手続きには申請書以外にも別紙や添付書類が多々必要です。 今回は、添付書類のうちの一つである「公図」を解説します。

  • 位置図・計画図
    現地案内図や建築物の配置図など、具体的な計画を示す資料が必要です。
位置図とは?農振除外に必要な書類を解説

農振除外の手続きには申請書以外にも別紙や添付書類が多々必要です。 今回は、添付書類のうちの一つである「位置図」を解説します。

  • 写真
    申出地およびその周辺の状況が分かる写真も提出します。

3. 申請の提出と審査

申請書および添付書類を揃えたら、市の担当窓口に提出します。安芸高田市の地域営農課が担当しており、受付時間は午前9時から午後5時までです(閉庁日を除く)。

4. 審査と公告

市役所に提出された申請書類は、担当部署による審査が行われます。農業用地としての適正や周辺農地への影響、他の関係法令との整合性などが評価されます。審査が通れば、市による公告が行われます。公告は、申出日の属する年に応じて異なり、4月から7月にかけて受け付けられた申請は同年12月に公告されます。

5. 除外の決定と利用開始

公告後、正式に農振除外が認められた場合、指定された土地の用途に転用が可能となります。これにより、宅地や工場、駐車場としての利用ができるようになります。

注意点

1. 代替地の検討

農振除外の申請を行う際には、農用地区域内以外に適した土地がないことを証明するため、代替地の検討が必要です。
これは、農地転用が許可されるための重要な要件です。もし、農業以外の利用が可能な代替地が存在する場合、農振除外は認められない可能性があります。

2. 周辺農地への影響

農地の集団化や効率的な利用を損なわないか、周辺の農地への影響を評価することも重要です。例えば、除外する土地が農業用施設の一部として使われている場合、農業用施設の機能に支障を与えないように計画を立てる必要があります。

3. 他の法令との整合性

農振除外の申請に際しては、農地法や都市計画法との整合性が問われます。これらの法令に基づいた許可が必要となる場合があるため、事前に関係する部署との協議が必要です。

まとめ

農振除外手続きは、複雑な手続きが伴います。しかし、要件をしっかりと満たし、必要書類を整えることで円滑に進めることが可能です。農振法に基づく要件を理解し、正確な書類を作成することが成功の鍵となります。もし手続きに不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

最後に

今回は今回は、広島県安芸高田市における農振除外手続きについて解説しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が農地転用許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。

また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

なお、業務に関するお問い合わせは、下記のお問い合わせ方法からいつでもどうぞ。
お問い合わせ - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

併せて読みたい記事

広島県安芸高田市の農地法5条許可申請書の書き方ガイド

農地を利用して新たな事業を開始したいと考えている方にとって、農地法に関する手続きは避けて通れません。しかし、農地法の手続きは各自治体により様式に差異があり、特…

広島県安芸高田市の農地法第4条申請の解説

今回は、安芸高田市における農地法第4条の許可申請を解説します。農地を他の用途に転用する際には、農地法第4条に基づく許可申請です。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です