法人の登記所届出印の改印手続き
会社を運営する上で、実印は重要な役割を果たします。実印は契約書や重要な書類に押印されるものであり、その信頼性と正式性を担保します。しかし、様々な理由から実印を変更する必要が生じることがあります。今回は、法人の登記所に届け出た実印を変更するための手続きについて詳しく解説します。具体的な手続きや必要な書類、そして注意すべきポイントについて順を追って説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
改印手続きとは何か?
法人の登記所に届け出た印鑑を変更することを「改印」と言います。改印手続きは、新たに印鑑を提出する場合に適用されるもので、会社の本店を管轄する登記所で行います。支店を管轄する登記所では改印手続きを行うことはできません。
根拠となる法令
改印手続きに関する法的根拠は、「商業・法人登記における印鑑関係事務取扱要領」(令和3年1月29日法務省民商第11号、法務省民事局長通達)第2「印鑑の提出等」の2「改印」に規定されています。また、商業登記規則9条1項から5項等の規定に従って手続きを行います。
必要な書類
改印手続きを行う際に必要な書類は以下の通りです。
- 印鑑(改印)届書(法定様式であり、新規の提出と改印は同一の用紙を使用)
- 新たに届ける印鑑
- 会社代表者(代表取締役等)の個人実印
- 個人実印についての市区町村発行の「印鑑登録証明書」(作成後3ヵ月以内のもの)
印鑑および印鑑カードの紛失時の対処方法
印鑑および印鑑カードの両方を紛失した場合
新たな印鑑がすぐ用意できる場合は、会社設立時の印鑑届の手続と同様に、「印鑑(改印)届書」に新しい会社の印鑑と会社代表者の個人の実印を押印し、その「印鑑登録証明書」(作成後3ヵ月以内のもの)を提出します。
新たな印鑑がすぐに用意できない場合は、「印鑑・印鑑カード廃止届書」により、印鑑と印鑑カードの廃止の届出を行います。
印鑑を紛失した(印鑑カードは紛失していない)場合
新たな印鑑がすぐ用意できる場合は、改印の届出を行います。新たな印鑑がすぐに用意できない場合は、印鑑の廃止の届出と印鑑カードの廃止の届出を同時に行います。
印鑑カードのみを紛失した場合
印鑑カードの廃止の届出と新たな印鑑カードの交付の請求を行います。
改印手続の留意点
改印手続きを行う際には、いくつかの注意点があります。特に、印鑑届出者である会社代表者(代表取締役等)の登記記録上の住所と市区町村発行の「印鑑証明書」に記載された住所が相違する場合は、会社代表者の住所変更の登記を事前または同時に申請する必要があります。
まとめ
法人の登記所届出印の改印手続きは、一見複雑に思えるかもしれませんが、必要な書類や手続きの流れを把握することでスムーズに進めることができます。印鑑は法人の信頼性を支える重要なものであり、その変更手続きには慎重さが求められます。この記事を参考に、適切な手続きを踏んでいただければと思います。
最後に
今回は法人の登記所届出印の改印について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が印鑑制度について学びたい方の参考になれば幸いです。
広島市印鑑条例 (hiroshima.lg.jp)
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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