訂正印と捨印の使い方とその重要性
文書の訂正や修正において、訂正印と捨印は非常に重要な役割を果たします。正しく理解していないと、書類の信頼性や法的効力に大きな影響を与える可能性があります。今回は、訂正印と捨印の使い方について詳しく解説します。
目次
訂正印とは
目的と使用方法
訂正印は、重要文書の一部を訂正するときに使用します。
訂正を行う際は、間違った文字を二重線で消し、そのページの上段の欄外か、訂正箇所のすぐそばに訂正印を押します。その際、「○字削除」「○字加入(加筆)」と書き入れ、訂正または削除した文字は必ず読めるようにしておく必要があります。これは、文書の信頼性を保つために重要です。
法的根拠
商業登記規則第48条第3項および不動産登記規則第45条第2項では、登記申請書の文字の訂正、加入または削除を行った場合、その旨およびその字数を欄外に記載し、訂正、加入もしくは削除した文字にカッコやその他の記号をつけ、その範囲を明確にし、かつ、その部分に押印することが定められています。これにより、訂正や削除が行われたことを明確にし、文書の一貫性を保ちます。
(記載の文字)
第48条
- 申請書その他登記に関する書面に記載する文字は、字画を明確にしなければならない。
- 金銭その他の物の数量、年月日及び番号を記載するには、「壱、弐、参、拾」の文字を用いなければならない。ただし、横書きをするときは、アラビヤ数字を用いることができる。
- 第1項の書面に記載した文字の訂正、加入又は削除をしたときは、その字数を欄外に記載し、又は訂正、加入若しくは削除をする文字の前後に括弧を付して、その範囲を明らかにし、かつ、その字数を欄外に記載した部分又は当該訂正、加入若しくは削除をした部分に押印しなければならない。この場合において、訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならない。
(申請書等の文字)
第45条
- 申請書(申請情報の全部を記録した磁気ディスクを除く。以下この款(第53条を除く。)において同じ。)その他の登記に関する書面に記載する文字は、字画を明確にしなければならない。
- 前項の書面に記載した文字の訂正、加入又は削除をしたときは、訂正又は削除をした文字の前後に括弧を付して、その範囲を明らかにし、かつ、訂正、加入若しくは削除をした文字の字数を欄外に記載し、その欄外の字数を記載した部分への押印又は当該訂正、加入若しくは削除をした部分への押印をしなければならない。この場合において、訂正又は削除をした文字は、なお読むことができるようにしておかなければならない。
上記2つの条文を見比べると、全く同じ構成であることが良く分かるかと思います。
訂正印の適切な使用
訂正に使用するハンコは、文書の署名の末尾に使用したものと同じハンコを使用し、権限のある者が訂正したことを明確に示す必要があります。また、当事者の一方が勝手に訂正したのではないことを示すため、複数の署名者がいる場合には全員の訂正印が必要です。
捨印とは
目的と使用方法
捨印とは、あらかじめ書類の欄外に押印しておき、後日訂正箇所が見つかった場合に訂正印を押す手間を省けるようにするものです。これは、書類を後から訂正する可能性がある場合に便利です。しかし、その使用には注意が必要です。
捨印のリスク
捨印を押すということは、訂正する箇所も内容もわからないままに、白紙委任状を渡すことと同じ状態になります。そのため、後日無断で文書を改変されるリスクがあります。信頼できる相手でなければ、安易に捨印を押すことは避けるべきです。
捨印の適切な管理
文書の訂正が必要な場合には、その都度訂正箇所に訂正印を押すことが望ましいです。これにより、文書の改変が行われた際にも、その変更が正当であることを確認できます。
まとめ
今回、訂正印と捨印の使い方について詳しく見てきました。訂正印は文書の一部を訂正する際に、その訂正が正当に行われたことを示すために使用します。一方、捨印は後日訂正が必要になる場合に備えてあらかじめ押印しておくものですが、その使用にはリスクが伴います。これらの印鑑の正しい使い方を理解し、適切に使用することで、文書の信頼性と法的効力を保つことができます。
訂正印と捨印の使用に関する法的根拠も確認し、文書の管理に役立ててください。これにより、重要な書類の信頼性を高め、後のトラブルを防ぐことができるでしょう。
最後に
今回は訂正印と捨印について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が印鑑制度について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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