契印、割印、止め印の使い方と法的意義
ビジネスシーンにおいて、契印や割印、止め印は頻繁に使用されます。これらの印章は、文書の正当性を証明し、偽造や改ざんを防ぐために非常に重要です。しかし、具体的にどのような場面で使用され、どのような法的意義があるのでしょうか?今回は、それぞれの印章の使い方や、法令上の根拠について解説します。
目次
契印とその意義
契印とは、2枚以上の文書が一体であることを示すための印章です。例えば、金銭貸借証書など重要な文書を作成する際には、後日の紛争を防止するために契印が用いられます。また、契印を押すことで文書が続いていることを明確にし、抜けや差し替えを防止します。
契印の法的根拠
契印の必要性は、明治時代から法令で定められています。具体的には、明治8年の太政官達で、綴目印(契印)や訂正印を押すように指示されています。綴目印は、文書の続きを示すものです。
契印の方法
契印は、重要文書が2枚以上にわたる場合、それが一体の文書であり、その順番で綴られていることを明確にするために押印されます。商業登記規則第35条第3項および不動産登記規則第46条第1項では、申請書が2枚以上になる場合に、申請人またはその代表者もしくは代理人が各用紙の綴目に契印をすることが定められています。
長文の文書においては、各ページごとに契印を押すのが手間であるため、製本テープなどで糊付けし、表紙と製本テープの帯にまたがるように一か所に契印をすることが推奨されます。契印には、文書の署名の末尾に使用した印を使用し、二人以上の署名者がいる場合は、全員が契印を押すのが原則です。
割印とその意義
割印とは、独立した複数の文書が同一または関連していることを示すための印章です。例えば、同じ契約書を複数作成し、それぞれが一部を保管する場合や、領収書とその控えの間、基本契約書とその細則を定めた覚書の間に割印を用います。これにより、これらの文書が同時に作成されたことや、相互に関連があることが証明されます。
割印の法的根拠
割印は、文書の正当性を保証するために重要です。例えば、商業登記規則や不動産登記規則などの規定により、申請書や証書が複数ページにわたる場合に割印が必要となることがあります。
割印の方法
割印は、文書の署名者が二人以上いる場合、全員が押印をします。ただし、割印には署名押印に使用したものと同じ印を使う必要はありません。割印を押す位置は、文書の連続性を示すために、文書の綴目や関連文書の接点に押すのが一般的です。
止め印とその意義
止め印とは、文書の末尾に余白が生じた場合に、ここまでで文書が終わっていることを示すための印章です。これにより、後で不正に追記されるのを防ぎます。例えば、当事者の一方だけが署名押印して相手方に渡す場合などに有効です。
止め印の法的根拠
止め印の使用は法令で具体的に定められているわけではありません。しかし、文書の正当性を保証するための実務上の慣行として広く認識されています。特に、差入式の文書の場合には、後での追記を防ぐために有効です。
止め印の方法
止め印は、文書の最後尾に押し、「以下余白」や「此の止」と記載することもあります。これにより、文書の末尾に不正な追記が行われないことを保証します。止め印には、署名の末尾に使用した印を必ず使用します。
まとめ
契印、割印、止め印は、文書の正当性を保証し、不正な改ざんや追記を防ぐために重要な役割を果たします。契印は複数ページの文書が一体であることを示します。また、割印は複数の関連文書が同一であることを証明します。止め印は文書の末尾に不正な追記が行われないことを保証します。これらの印章の適切な使用により、文書の信頼性と正当性が確保され、後日の紛争を未然に防ぐことができます。
適切な印章の使用は、法律実務において基本的かつ重要なスキルです。契印や割印、止め印の意義と使い方を理解し、実際の業務で活用することで、文書の正確性と信頼性を高めることができます。
最後に
今回は契印、割印、止め印について解説しました。
今回は以上で終わります。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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