屋外消火栓設置基準と屋内消火栓との違い

火災が発生した際、迅速な初期対応が被害を最小限に抑えるためには不可欠です。そのため、建物に適切な消火設備を設置することが法律で義務付けられています。特に、屋外消火栓は外部から建物の消火活動を行うための重要な設備です。今回は、屋外消火栓の設置基準や技術的要件、屋内消火栓との違いについて詳しく解説します。

屋外消火栓とは

屋外消火栓とは、消火栓箱が屋外に設けられており、建築物の外部から放水することで建築物の1階と2階部分で生じた火災を消火する設備を指します。また、屋外消火栓は、水源、加圧送水装置、ホース、屋外消火栓箱などで構成されます。

屋外消火栓の種類

屋外消火栓設備には、地上式と地下式があります。地上式の屋外消火栓設備の構造は、放水口のホース接続口が屋外消火栓箱の内部に収納されている必要があります。また、ホースは消火栓箱が防護できる範囲の歩行距離を考慮して、2本以上収納される必要があります。

屋外消火栓の設置基準

設置基準と免除される場合

屋外消火栓設備の設置基準は、建物の用途や規模によって異なります。耐火建築物では、1階と2階の床面積の合計が9000m²以上であれば、屋外消火栓設備を設置しなければなりません。準耐火建築物の場合は6000m²以上、その他の建築物では3000m²以上の場合に設置が必要です。

ただし、スプリンクラー設備やその他の特定の消火設備が設置されている場合、これらの設備の有効範囲については屋外消火栓設備の設置が免除されます。(消防法施行令第19条第3項第1号)

技術的基準

屋外消火栓設備の有効範囲は40m以内とされ、この範囲内で建物全体をカバーするように配置されます。ホースは消火栓から5m以内に収納され、消火の際に接続して使用します。

また、放水量は毎分350リットル以上、放水圧力は0.25MPa以上、水源水量は7.0m²に消火栓設置個数を掛けたものである必要があります。ポンプ吐出能力も毎分350リットルに消火栓設置個数を掛けたものと定められています。

屋内消火栓と屋外消火栓の違い

屋内消火栓と屋外消火栓の主な違いを以下の表でまとめました。

項目屋内消火栓 (1号消火栓)屋外消火栓
設置水平距離半径25mで防火対象物が含まれる半径40mで防火対象物が含まれる
放水量毎分130リットル毎分350リットル
ポンプ吐水能力毎分150リットルに消火栓設置個数を掛けたもの毎分350リットルに消火栓設置個数を掛けたもの
放水圧0.17~0.7MPa0.25MPa以上
水源の容量2.6m²に消火栓設置個数を掛けたもの7.0m²に消火栓設置個数を掛けたもの

屋外消火栓設置基準

防火対象物 (消防法施行令別表第1)屋外消火栓設置基準
劇場や映画館など
公会堂・集会場
キャバレー、カフェーなど
遊技場・ダンスホール
性風俗関連特殊営業の店舗など
カラオケボックスなど個室の店舗など
飲食店
百貨店、マーケットなどの店舗・展示場
旅館・ホテルなど
寄宿舎、下宿・共同住宅
病院・診療所など
老人・障がい者の入所施設
デイサービス・訓練施設など
幼稚園・特別支援学校
小学校、中学校・高校・大学など
図書館、博物館、美術館など
蒸気浴場、熱気浴場等
公衆浴場等
車両の停車場、船舶、航空機の発着場
神社、寺院、教会など
工場、作業場
映画スタジオ・テレビスタジオ
自動車倉庫・駐車場
飛行機などの格納庫
倉庫
倉庫以外の事業場
耐火建築物: 9000m²以上
準耐火建築物: 6000m²以上
その他: 3000m²以上

同一敷地内にある2以上の建物の場合
各建築物の1階の外壁間の中心線からの水平距離が1階:3m以下、2階:5m以下であれば1つの建物とみなす
※1
以下のものに関する複合用途防火対象物
劇場や映画館など
公会堂、集会場
キャバレー、カフェーなど
遊技場・ダンスホール
性風俗関連特殊営業の店舗など
カラオケボックスなど個室の店舗など
旅館・ホテルなど
病院・診療所など
老人・障がい者の入所施設
老人デイサービスセンターなど
幼稚園・特別支援学校
蒸気浴場、熱気浴場等
それぞれの用途防火対象物に従う
地下街
建造物の地下道に面した部分+地下道
上記※1の用途で用いられている場合
設置対象外
重要美術品として認定された建造物
延長50m以上のアーケード
耐火建築物: 9000m²以上
準耐火建築物: 6000m²以上
その他: 3000m²以上

同一敷地内にある2以上の建物の場合
各建築物の1階の外壁間の中心線からの水平距離が1階:3m以下、2階:5m以下であれば1つの建物とみなす
市町村長指定の山林
総務省令指定の舟車
同上設置対象外

まとめ

屋外消火栓は、外部からの消火活動を可能にする重要な設備であり、建物の規模や用途に応じて適切に設置される必要があります。消火栓の設置基準や技術的要件を理解し、適切な場所に設置することで、火災発生時の迅速な対応が可能となります。法令に基づいた設置と運用を行うことで、安全性を高めることができます。

最後に

今回は屋外消火栓設置基準と屋内消火栓との違いについて解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が消防法について学びたい方の参考になれば幸いです。

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