粉末消火設備の設置基準とその重要性

火災は突然発生し、私たちの命や財産を一瞬で奪う恐れがあります。特に工場や大型施設では、火災のリスクが常に存在しており、その対策は必須です。そんな中で注目されるのが「粉末消火設備」です。今回は、粉末消火設備の種類、設置基準、消火剤の種類について詳しく解説します。防火対策を万全にし、安心・安全な環境を作りましょう。

粉末消火設備とは

粉末消火設備とは、噴射ヘッドやノズルから粉末消火剤を放出し、火災を消火する設備です。消火剤が分解することで二酸化炭素が発生し、空気中の酸素濃度を低下させて消火します。この設備は、ハロゲン化物消火設備や不活性ガス消火設備と似ていますが、消火剤が固体である点が特徴です。

設置基準

固定式の場合、全域放出方式または局所放出方式の粉末消火設備の噴射ヘッドは、標準放射量で防護対象物の火災を有効に消火することができるよう、必要な個数を適切な位置に設置する必要があります。

移動式の場合、ホース接続口はすべての防護対象物からの水平距離が15m以下となるようにし、粉末消火剤の量は防護対象物の火災を有効に消火できる量以上とします。粉末消火剤容器と加圧用ガス容器は点検しやすく、火災の際の延焼や衝撃による損傷の恐れが少なく、温度変化が少ない箇所に設置します。また、非常電源を設けることが求められます。

設備の種類

移動式粉末消火設備

移動式粉末消火設備は、消火剤貯蔵容器とホースリールを固定し、人が操作して消火活動を行います。設置場所は煙の影響を受けにくい場所が理想です。移動式粉末消火設備は、外壁のない建物や開口部が確保できる場所に設置できます。ホースとノズルを使って火元に直接消火できるメリットがあります。

固定式粉末消火設備

固定式粉末消火設備には、全域放出方式と局所放出方式があります。全域放出方式では区画全体に粉末消火剤を放出し、局所放出方式では対象物に対して粉末消火剤を放出します。

消防法施行規則21条の規定

粉末消火設備に関する基準は、消防法施行規則21条に規定されています。粉末消火設備には、粉末消火剤の貯蔵容器または貯蔵タンク、選択弁、容器弁の開放装置が必要であり、放射圧力が均一になるような配管等が行われなければなりません。

消火剤の種類

粉末消火剤には以下の4種類があります。

  1. 第1種粉末
    主成分は炭酸水素ナトリウム。色は白または淡い青色。
  2. 第2種粉末
    主成分は炭酸水素カリウム。色は紫色。
  3. 第3種粉末
    主成分はリン酸塩類。色はピンク色。
  4. 第4種粉末
    主成分は炭酸水素カリウムと尿素の反応物。色はグレー。

いずれの種類も、油火災や電気火災に使用できます。

設備の起動方式

粉末消火設備の起動方式には、手動式と自動式があります。

手動式

手動式は、区画内の見渡せる場所に設置し、操作部は床から0.8mから1.5mの部分に設置します。操作が容易で、人が退避しやすいように設置します。

自動式

自動式は火災報知機と連動して起動し、2系統の感知器が作動した場合に起動します。

粉末消火設備設置基準

表形式の設置基準

対象設備条件
飛行機などの格納庫屋上部分で回転翼航空機、垂直離着陸航空機の発着に用いられるもの
防火対象物の道路の部分の床面積屋上:600m²以上
屋上以外:400m²以上
自動車の修理・整備に使用されている部分の床面積地階・2階以上:200m²以上
1階:500m²以上
駐車に使われている部分の床面積地階・2階以上:200m²以上
1階:500m²以上
屋上:300m²以上
昇降機付き駐車施設収容車両数が10台以上
発電機・変圧器など電気設備がある部分の床面積200m²以上
鍛造場、ボイラー室など多量の火気を使う部分の床面積200m²以上
通信機器室の床面積500m²以上
危険物政令別表第4で定める指定可燃物指定量の1000倍以上貯蔵または取り扱う場合

まとめ

粉末消火設備は、火災発生時に迅速に対応できる重要な防火設備です。適切な設置とメンテナンスを行い、火災リスクを最小限に抑えることが求められます。この記事を参考に、粉末消火設備の導入を検討し、安全な環境を築いてください。粉末消火設備の詳細な基準については、消防法施行規則第21条をご確認ください。適切な対策を講じることで、火災リスクを大幅に軽減することができます。安全第一を心掛け、万全の防火対策を講じましょう。

最後に

今回は粉末消火設備について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が消防法について学びたい方の参考になれば幸いです。

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