会社設立後に必要な社会保険手続きガイド
会社を設立することは、起業家にとって夢の実現の一歩です。しかし、設立後に待っているのは、数々の法的手続きです。特に、社会保険の手続きは重要であり、これを怠ると罰則が科されることもあります。今回は、会社設立後に必要な社会保険手続きについて詳しく解説します。適切な手続きを行うことで、従業員の福利厚生を充実させ、会社の信頼性を高めることができます。
目次
労働保険と社会保険の違い
まず、労働保険と社会保険の違いについて理解しましょう。労働保険とは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を合わせた総称です。一方、社会保険は健康保険と厚生年金保険のことを指します。これらの保険制度は、それぞれ異なる役所が担当しており、加入手続きも異なります。
労災保険
労災保険は、労働者が業務中や通勤中にケガや病気になった場合に給付を行う制度です。会社を設立し、労働者を一人でも雇用する場合は、労災保険に強制加入する必要があります。手続きは、会社設立後10日以内に「労働保険保険関係成立届」を管轄の労働基準監督署に提出することで行います。さらに、保険料を前払いするために「労働保険概算保険料申告書」も提出しなければなりません。
雇用保険
雇用保険は、労働者が失業した場合に生活の安定を図るための給付を行う制度です。労災保険の手続きが完了したら、次に雇用保険の手続きを行います。雇用保険適用事業所設置届を所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。提出期限は、雇用保険の加入義務が発生した日から10日以内です。
社会保険
社会保険には健康保険と厚生年金保険が含まれます。会社を設立した場合、社長一人の会社であっても加入が義務付けられています。手続きには、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を所轄の年金事務所に提出します。また、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」も同時に提出し、加入者に配偶者や子供がいる場合は「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。
各種手続きの詳細
労災保険の加入手続き
労災保険への加入手続きは、以下の手順で行います。
- 労働基準監督署に「労働保険保険関係成立届」を提出します。
- 同時に「労働保険概算保険料申告書」も提出します。
- 添付書類として登記事項証明書などが必要です。
なお、労災保険で保護される労働者には、正社員、パートタイマー、アルバイト、日雇労働者などすべての労働者が含まれます。また、外国人労働者も対象となります。
雇用保険の加入手続き
雇用保険の手続きは、以下の通りです。
- 公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険適用事業所設置届」を提出します。
- 「労働保険保険関係成立届」の控え(事業主控)を添付します。
- 「雇用保険被保険者資格取得届」も同時に提出します。
添付書類として、登記事項証明書、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿などが必要です。
社会保険の加入手続き
社会保険の手続きは以下の通りです。
- 年金事務所に「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。
- 「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を同時に提出します。
- 配偶者や子供がいる場合は「健康保険被扶養者(異動)届」を提出します。
添付書類として、登記事項証明書、住民票の写し、賃貸借契約書の写し、源泉所得税の領収書、年金手帳、労働者名簿、出勤簿、賃金台帳などが必要です。
特殊な法人形態の場合
合同会社の場合
合同会社も株式会社と同様に、労災保険、雇用保険、社会保険に加入する必要があります。代表社員は労災保険や雇用保険に加入できませんが、その他の社員は加入できます。また、社会保険には代表社員一人でも加入する義務があります。
NPO法人の場合
NPO法人も同様に、労災保険、雇用保険、社会保険に加入する必要があります。役員は原則として労災保険・雇用保険の対象にはなりません。
一般社団法人の場合
一般社団法人も株式会社と同様に、労災保険、雇用保険、社会保険に加入する必要があります。役員は原則として労災保険・雇用保険の対象にはなりません。
各種手続きのまとめ
届書・申請書名 | 提出者 | 提出期限 | 提出先 |
---|---|---|---|
健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事業主 | 会社設立から 5日以内 | 所轄の年金事務所 |
健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 事業主 | 社会保険の被保険者に該当する人を雇った日から5日以内 | 所轄の年金事務所 |
健康保険被扶養者(異動)届 | 被保険者 (事業主経由) | その該当事実の発生から5日以内 | 所轄の年金事務所 |
労働保険保険関係成立届 | 事業主 | 労働者を雇った日から10日以内 | 所轄の労働基準監督署 |
労働保険概算保険料申告書 | 事業主 | 労働者を雇った日から50日以内 | 所轄の労働基準監督署 |
雇用保険適用事業所設置届 | 事業主 | 労働者を雇った日の翌日から10日以内 | 所轄の公共職業安定所 |
雇用保険被保険者資格取得届 | 事業主 | 労働者を雇った日の翌月10日まで | 所轄の公共職業安定所 |
まとめ
会社設立後の社会保険手続きは、複雑で多岐にわたりますが、これを怠ると罰則が科されることもあります。労働保険と社会保険の違いを理解し、適切な手続きを行うことで、従業員の福利厚生を充実させ、会社の信頼性を高めることができます。以下に、各種手続きの詳細を表形式でまとめましたので、参考にしてください。
これらの手続きを適切に行うことで、法律を遵守し、従業員の福利厚生を確保することができます。社会保険の手続きに不安がある場合は、専門家に相談することも検討してください。
最後に
今回は株式会社設立後の税金関係の届出について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
申請・届出様式|日本年金機構 (nenkin.go.jp)
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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