会社設立時に必要な税金関係の届出

株式会社を設立する際には、さまざまな手続きが必要です。その中でも、税金関係の届出は特に重要です。設立後に適切な手続きを行わないと、後々大きな問題になることがあります。今回は、株式会社を設立した場合に必要な税金関係の届出について詳しく解説します。

株式会社を設立した場合に必要な手続き

株式会社を設立する際には、以下の手続きが必要です。

税務署に提出する書類

株式会社を新たに設立したときは、納税地の所轄税務署長に所定の届出を提出する必要があります。具体的には次のような書類が必要です。

法人設立届出書

まず、納税地、事業の目的、設立の日などを記載した「法人設立届出書」を提出します。この書類の提出期限は会社設立の日以後2か月以内です。

法人設立届出書に添付する書類は以下の通りです。

  1. 定款の写し
  2. 履歴事項全部証明書
  3. 株主名簿
  4. 現物出資者の名簿
  5. 設立趣意書
  6. 貸借対照表(設立時点のもの)
  7. 本店所在地の略図

給与支払事務所等の開設届出書

会社設立と同時に労働者を雇う場合には、事務所を開設した日から1か月以内に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

給与を支払うべき労働者の人数が常時10人未満であるときは、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで源泉所得税を年2回(7月と1月)にまとめて納付することができます。

青色申告の承認申請書

青色申告により納税する場合には、青色申告の承認申請書を会社設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日のうちいずれか早い日の前日までに提出する必要があります。
なお、青色申告については下記の記事で詳細に解説しています。よろしければご参照ください。
法人税の青色申告制度を活用しよう:節税のメリットと手続き方法 - 熊谷行政書士法務事務所 広島市 (lo-kuma.com)

消費税についての届出

資本金1000万円以上の会社を設立したときは、設立初年度から消費税が課税されます。その場合、「法人設立届出書」を税務署に提出する際に、「(消費税法上の)新設法人」の欄に必要事項を記載します。

一方、資本金1000万円未満の会社を設立したときは、原則として、設立事業年度とその翌事業年度は消費税が課されません。つまり、当初の2年間は免税事業者となります。そのため、消費税関連の届出は不要です。ただし、設立後のその会社の売上高によっては、消費税が課税されることがあるので注意が必要です。

また、設立初年度に店舗を新設したり、設備などを購入したりといったような多額の設備投資を行う予定があるときは、「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、消費税の課税事業者となることによって、消費税の還付を受けることができる可能性があります。

消費税簡易課税制度選択届出書

一定規模以下(前々事業年度の課税売上高が5000万円以下の場合)の会社では、売上高から納める消費税の額を計算する簡易な課税方式(簡易課税制度)を採用することができます。簡易課税制度の適用を受けようとする会社は、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

都道府県に提出する書類

新たに事業を開始した場合、その事業所が所在する都道府県にも所定の届出を提出する必要があります。具体的には、「法人設立・設置届出書」又は「法人設立届出書」といった書類を都道府県税事務所に提出します。

添付書類

  1. 定款などの写し(コピーでよい)
  2. 履歴事項全部証明書

市区町村に提出する書類

新しく会社を設立した場合や事務所・事業所などを開設した場合は、「法人設立届出書」又は「法人の事務所・事業所等の開設申告書」といった書類を市区町村に提出します。提出の際には、履歴事項全部証明書と定款の写しを添付します。

異動届

その後、商号、所在地、代表者、事業年度、資本金などの異動(変更)や、事務所、事業所の廃止、解散が生じた場合は、その都度「法人等の異動届」を提出します。異動届を提出する場合も履歴事項全部証明書などの異動の事実がわかる書類を添付します。

株式会社などの法人を設立した場合の税金関係の届出のまとめ

提出書類添付書類提出期限
法人設立届出書1. 設立時の貸借対照表
2. 定款等の写し
3. 設立の登記の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
4. 株主等の名簿の写し
5. 合併等により設立されたときは、被合併法人等の名称及び納税地を記載した書類と合併等が行われた日を明らかにする書類の写し
6. 法人が連結子法人である場合には連結親法人の名称及びその納税地を記載した書類
7. 設立趣意書
設立の日以後2か月以内
青色申告の承認申請書なし設立の日以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日のうち早い方
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書なし設立の日以後1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書なし随時

まとめ

株式会社を設立する際には、税務署、都道府県、市区町村への各種届出が必要です。これらの手続きを怠ると、後々大きな問題となる可能性がありますので、設立時には十分注意して手続きを行いましょう。適切な届出を行うことで、スムーズな事業運営が可能となります。また、各種届出の際には、提出期限や添付書類に注意し、必要な書類を漏れなく準備することが重要です。この記事を参考に、正確な手続きを行い、成功する株式会社設立を目指してください。

最後に

今回は株式会社設立後の税金関係の届出について解説しました。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
No.2070 青色申告制度|国税庁 (nta.go.jp)

また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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