NPO法人設立手順:確認書・設立趣旨書・議事録の書き方ガイド
「NPO法人の設立にはどのような手続きが必要なのか?」そんな疑問を持つ方は多いでしょう。特に、社会貢献活動を目指す方々にとって、NPO法人の設立はその第一歩です。今回は、NPO法人の設立手続きについて、確認書・設立趣旨書・議事録の具体的な作成方法や必要な確認事項を詳しく解説します。これを読めば、NPO法人設立の基本的な流れとポイントを理解できるでしょう。
目次
設立に必要な書類
NPO法人の設立には、いくつかの重要な書類が必要です。ここでは、確認書、設立趣旨書、議事録の3つの主要な書類について説明します。
確認書の作成
確認書は、NPO法人が特定非営利活動促進法に基づき設立されることを確認するための書類です。具体的には、次の2つの法的要件を満たすことを確認します。
- 特定非営利活動促進法第2条第2項第2号に該当すること
- 特定非営利活動促進法第12条第1項第3号に該当すること
これらの要件は、宗教活動や政治活動、暴力団との関係がないことを証明するものです。
(定義)
第二条 2 この法律において「特定非営利活動法人」とは、特定非営利活動を行うことを主たる目的とし、次の各号のいずれにも該当する団体であって、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
一 次のいずれにも該当する団体であって、営利を目的としないものであること。
イ 社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと。
ロ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の三分の一以下であること。
二 その行う活動が次のいずれにも該当する団体であること。
イ 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とするものでないこと。
ロ 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを主たる目的とするものでないこと。
ハ 特定の公職(公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第三条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。以下同じ。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とするものでないこと。
特定非営利活動促進法
(認証の基準等)
第十二条 所轄庁は、第十条第一項の認証の申請が次の各号に適合すると認めるときは、その設立を認証しなければならない。
三 当該申請に係る特定非営利活動法人が次に掲げる団体に該当しないものであること。
イ 暴力団(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第二号に規定する暴力団をいう。以下この号及び第四十七条第六号において同じ。)
ロ 暴力団又はその構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む。以下この号において同じ。)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団の構成員等」という。)の統制の下にある団体
特定非営利活動促進法
以下は、確認書の例です。
確認書の例
確認書
特定非営利活動法人Aは、令和〇年〇月〇日に開催された設立総会において、特定非営利活動促進法第2条第2項第2号及び同法第12条第1項第3号の規定に該当することを確認しました。
令和〇年〇月〇日
特定非営利活動法人A
設立代表者 住所:北海道札幌市〇区○○丁○○
氏名:a 印
設立趣旨書の作成
設立趣旨書は、NPO法人設立の目的や背景を詳しく記載する書類です。設立の趣旨、申請に至るまでの経緯、具体的な活動内容などを含めることが重要です。
設立趣旨書の例
特定非営利活動法人A 設立趣旨書
1. 趣旨
特定非営利活動法人Aは、高齢者及び障がい者の生活支援に関する活動を通じて、誰もが安心して暮らせる社会の実現に寄与することを目的としています。現在、日本社会は急速な高齢化とともに、障がい者の自立支援や生活支援がますます重要な課題となっています。特定非営利活動法人Aは、地域社会における高齢者及び障がい者のニーズに応じた支援を提供し、彼らが社会の一員として尊重され、安心して生活できる環境を整えることを目指します。
2. 申請に至るまでの経緯
令和〇年〇月〇日、地域の有志が集まり、高齢者及び障がい者の支援活動に関心を持つ者が一堂に会しました。この集会において、地域社会における支援活動の必要性や、既存の支援体制の限界について熱心な議論が交わされました。その結果、特定非営利活動法人を設立し、組織的かつ継続的に支援活動を展開することが最も効果的であるとの結論に至りました。
その後、設立の具体的な手続きを進めるため、設立発起人会を開催しました。発起人会では、法人設立の目的や活動計画、定款の内容について詳細に検討し、全員一致で法人設立を進めることを決定しました。さらに、設立総会を令和〇年〇月〇日に開催し、設立代表者を選出し、法人設立の趣旨や具体的な活動計画について承認を得ました。この総会を経て、正式に特定非営利活動法人Aの設立を申請する運びとなりました。
設立代表者
住所:北海道札幌市〇区○○丁○○
氏名:a 印
議事録の作成
NPO法人設立に際しては、設立総会を開催し、その内容を議事録として記録する必要があります。議事録には、総会の開催日時、場所、出席者、審議事項、議決結果などを詳細に記載します。
議事録の例
特定非営利活動法人A 設立総会議事録
開催日時:令和〇年〇月〇日 午前10時00分から午前11時30分まで
開催場所:北海道札幌市〇区○○丁○○ 札幌市営第一会議室
出席者:設立者総数 10名 うち出席者数 8名
議事の経過と概要および議決の結果
開会宣言と議長選任
設立者を代表して、aは、本総会の開会を宣言し、議長の選任について諮ったところ、満場一致でaを選任した。aは議長席につき、議案の審議に入った。
第1号議案:特定非営利活動法人Aの設立の趣旨に関する件
議長は、設立趣旨書により本法人の設立の趣旨ならびに目的を説明した。その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。
第2号議案:特定非営利活動促進法第2条第2項第2号及び同法第12条第1項第3号に該当する団体であることの確認の件
議長は、本法人が特定非営利活動促進法第2条第2項第2号及び同法第12条第1項第3号に該当する団体であることを説明した。議場にその確認を求めたところ、異議なく満場一致で承認可決した。
第3号議案:定款承認の件
議長は、本法人の定款について説明した。その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。
第4号議案:設立当初の財産目録承認の件
議長は、本法人の設立当初の財産目録について説明し、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。
第5号議案:設立初年度及び翌年度の事業計画、予算承認の件
議長は、本法人の設立初年度及び翌年度の事業計画ならびに予算について説明し、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。
第6号議案:理事選任の件
議長は、本法人の理事として、設立者であるb、c、aの3名を選任したい旨を述べ、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。
第7号議案:監事選任の件
議長は、本法人の監事として、設立者であるdを選任したい旨を述べ、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。
第8号議案:議事録署名人選任の件
議長は、本総会の議事録署名人として、理事に選任されたb、c、監事に選任されたdの3名を選任したい旨を述べ、その賛否について議場に諮ったところ、異議なく満場一致で承認可決した。
以上をもって全ての議案の審議が終了し、議長は閉会を宣言した。
以上、この議事録が設立総会の議事内容に相違ないことを証明します。
令和〇年〇月〇日
議長 a ㊞
議事録署名人 b ㊞
議事録署名人 c ㊞
議事録署名人 d ㊞
まとめ
NPO法人の設立は、社会貢献活動を行う上で非常に重要なステップです。確認書、設立趣旨書、議事録などの書類を正確に作成し、法的要件を満たすことが求められます。この記事を参考に、適切な手続きを踏んでNPO法人を設立し、社会に貢献する活動を進めてください。
最後に
今回はNPO法人設立における確認書・設立趣旨書・議事録の書き方について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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非常に参考になりました。
質問させてください。
設立時には活動目的は複数は難しいでしょうか?
井口様
記事を御拝読いただき、ありがとうございます。
熊谷行政書士法務事務所の熊谷でございます。
ご質問にお答えいたします。NPO法人の設立時には、活動目的を複数設定することも可能です。ただし、それぞれの目的が特定非営利活動促進法の定める要件に合致している必要があります。また、目的が多岐にわたる場合は、それぞれの活動に対する具体的な計画や組織体制を明確にすることが求められます。詳細については、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
さらに詳しい知識が必要でしたら、ぜひこちらの記事もご覧ください。
https://www.lo-kuma.com/wp/3457/
今後ともよろしくお願いいたします。