合同会社の定款作成手順と注意点
合同会社の設立を考えている方にとって、定款作成は避けて通れない重要なステップです。しかし、定款に記載すべき事項やその具体的な手続きについては、初めての方にとっては分かりにくい部分も多いでしょう。今回は、合同会社の定款作成に関する具体的な手順と注意点について詳しく解説します。これを読むことで、スムーズに合同会社を設立できるようになるでしょう。
定款の基本概要
定款とは、合同会社の事業目的や運営ルールを定めた基本的な文書です。会社法に基づき、一定の事項を記載した定款を作成しなければ、合同会社を設立することはできません。
定款の記載事項
定款に記載すべき事項は、大きく以下の3つに分類されます。
- 絶対的記載事項
- 相対的記載事項
- 任意的記載事項
特に、絶対的記載事項については、一つでも記載漏れがあると定款全体が無効となってしまうため、注意が必要です。
絶対的記載事項の種類
合同会社の絶対的記載事項は以下の6種類です。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 社員の氏名、名称と住所
- 社員が有限責任社員であることを示す記載
- 社員の出資の目的と出資の価額又は評価の標準
定款のその他の記載事項
相対的記載事項や任意的記載事項も、会社の運営に重要な役割を果たします。例えば、業務執行社員や代表社員を定める場合の定め、解散事由、会社の存続期間の定めなどがあります。
定款作成の具体的手順
定款の作成
まずは、絶対的記載事項を含めた定款を作成します。この段階で、合同会社の事業目的や基本的な運営ルールを明確に記載します。
定款の例
合同会社A定款
第1章 総則
(商号)
第1条 当会社は、合同会社Aと称する。
(目的)
第2条 当会社は、次の各号に掲げる事業を営むことを目的とする。
(1) 自動車の洗車サービス
(2) 自動車洗浄剤、カーワックスその他自動車用品の販売
(3) 前各号に附帯する一切の事業
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を北海道札幌市〇区に置く。
(公告の方法)
第4条 当会社の公告は、官報に掲載して行う。
第2章 社員及び出資
(社員の氏名、住所、出資及び責任)
第5条 社員の氏名、住所及び出資の価額並びに責任は次の通りである。
北海道札幌市〇区○丁目○番○号
有限責任社員 a 金150万円
北海道札幌市〇区○丁目○番○号
有限責任社員 b 金150万円
(社員の責任)
第6条 当会社の社員は、全員有限責任社員とする。
第3章 業務執行権及び代表権
(業務執行社員)
第7条 aは、業務執行社員として、当会社の業務を執行し、義務を負う。
(代表社員)
第8条 代表社員は業務執行社員aとする。
第4章 社員の加入及び退社
(社員の加入)
第9条 新たに社員を加入させる場合、総社員の同意によって定款を変更しなければならない。
(任意退社)
第10条 各社員は、事業年度の終了時に退社をすることができる。ただし、各社員は、2か月前までに会社に退社の予告をしなければならない。
2 前項の規定に関わらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。
(法定退社)
第11条 各社員は、会社法第607条の規定により、退社する。
第5章 計算
(営業年度)
第12条 当会社の営業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする。
2 前項に関わらず、最初の営業年度に限り、設立の日から令和〇年〇月〇日までとする。
(損益の分配)
第13条 当会社における各社員の損益の分配は、毎事業年度末において総社員の同意により定める。
第6章 雑則
(定款に定めのない事項)
第14条 本定款に定めのない事項は、すべて会社法その他の法令の規定による。
以上、合同会社Aの設立のため、本定款を作成し社員が次に記名押印する。
令和〇年〇月〇日
有限責任社員 a (個人の実印)
有限責任社員 b (個人の実印)
定款の認証と署名押印
定款作成後、社員全員の署名と押印が必要です。これにより、定款の法的効力が確保されます。
定款の登記
最後に、定款を登記します。定款に記載した内容を第三者に対して主張するためには、登記が不可欠です。なお、定款作成後はなるべく早く登記手続きを行うようにしましょう。
定款の注意点
記載漏れの防止
絶対的記載事項に記載漏れがあると、定款全体が無効となります。このため、記載事項をしっかりと確認し、漏れがないようにしましょう。
定款変更の手続き
定款は一度作成すると、後で変更することは難しい場合があります。特に、社員の加入や退社、出資額の変更などがある場合には、定款の変更が必要となります。これには総社員の同意が必要です。
登記手続きの迅速化
定款を作成したら、速やかに登記手続きを行うことが重要です。登記を怠ると、会社の設立が正式に認められず、事業活動に支障をきたす恐れがあります。
結論
合同会社の設立において、定款の作成は非常に重要なステップです。定款には、会社の基本的な運営ルールが記載されており、絶対的記載事項を漏れなく記載することが求められます。定款作成後は、速やかに登記手続きを行い、正式な会社設立を目指しましょう。本記事を参考に、スムーズな合同会社設立を実現してください。
最後に
今回は合同会社の定款作成手順と注意点について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が法人設立について学びたい方の参考になれば幸いです。
また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
なお、業務に関するお問い合わせは、下記のお問い合わせ方法からいつでもどうぞ。
お問い合わせ - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)