戸籍の見方徹底解説:時代ごとに異なる戸籍の特徴と読み方
戸籍は、家系や相続の手続きを行う際に欠かせない重要な資料です。しかし、戸籍にはさまざまな種類があり、時代ごとに形式や内容が異なるため、読み取るのが難しいことがあります。今回は、現代の戸籍から古い時代の戸籍まで、その特徴と読み方を徹底解説します。特に、平成6年式、昭和23年式、大正4年式、明治31年式、明治19年式の5種類の戸籍について詳しく説明します。
導入部分
戸籍の読み方を知らないと、相続手続きや家系調査で思わぬ苦労をすることがあります。この記事では、戸籍の種類やそれぞれの特徴、読み方のポイントを詳しく解説します。これを読めば、戸籍の内容を正確に理解し、手続きのスムーズな進行に役立てることができるでしょう。
戸籍の種類と特徴
5種類の戸籍とは?
現在、役所で発行される戸籍には以下の5種類があります。
- 平成6年式戸籍
- 昭和23年式戸籍
- 大正4年式戸籍
- 明治31年式戸籍
- 明治19年式戸籍
これらの戸籍は大きく二つに分けることができます。「昭和22年の大改正後の民法に基づく戸籍(平成6年式・昭和23年式戸籍)」と、「旧民法に基づく戸籍(大正4年式戸籍・明治31年式戸籍・明治19年式戸籍)」です。
昭和22年の大改正後民法に基づく戸籍
平成6年式戸籍
平成6年式戸籍は、戸籍事務がコンピュータ化されてから発行される戸籍で、横書きの読みやすい形式です。役所で「戸籍をください」と伝えると、特に指定がなければこの戸籍が発行されます。平成6年式戸籍の特徴は、在籍者が夫婦とその子(未婚の者)に限られることです。
昭和23年式戸籍
昭和23年式戸籍は、戸籍事務がコンピュータ化される前の戸籍で、縦書きの形式です。内容は平成6年式と同様、昭和22年改正後の民法に基づいています。自治体によっては、未だに昭和23年式戸籍を最新の戸籍として扱っている場合もあります。
旧民法に基づく戸籍
大正4年式戸籍
大正4年式戸籍は、旧民法の「家制度」に基づいて作成された戸籍です。この戸籍には、多くの親族が記録されており、読み取る情報量が多いのが特徴です。また、戸主の欄があり、家の統率者である戸主に関する情報が記録されています。
明治31年式戸籍
明治31年式戸籍には「戸主卜為リタル原因及ヒ年月日」の欄があります。この欄を見つけることで、明治31年式戸籍であることが確認できます。また、戸主の個人的な情報だけでなく、戸籍全体に関する情報も記録されています。
明治19年式戸籍
明治19年式戸籍は、読み取りが困難なことが特徴です。手書きの文字がつぶれて読めないこともあり、内容を正確に把握するのが難しい場合があります。相続手続きなどでこの戸籍を取得することは少なくなっています。
戸籍の編製事由
戸籍が新しく作成される理由
ある人の「出生から死亡までの戸籍」を取得する際には、通常、複数の戸籍が存在することが一般的です。これは、様々な事情により戸籍が新しく作成されるためです。以下に、戸籍が新しく作成される主な事由をまとめます。
民法改正の場面
法律の改正に伴い、戸籍の様式が変更される場合があります。例えば、明治時代の戸籍を大正4年式にする、昭和23年式を平成6年式にするなどです。これを「戸籍の改製」といいます。
当事者の事情による編製事由
当事者の事情による編製事由としては、以下のようなものがあります。
- 家督相続:旧民法時代には、家督相続により戸籍が新しく作成されました。家督相続は、家の統率者である戸主が死亡することで発生します。
- 分家:戸主の地位を持てなかった二男や三男などが新しく家をおこし、戸主になることです。
- 婚姻:親の戸籍にある者が婚姻すると、新しい戸籍が編製されます。
- 分籍:在籍者が自らの戸籍をつくるために戸籍を分けることです。
様式変更で新しい戸籍が作成される
様式変更の一例としては、明治時代の戸籍を大正4年式に変更する、昭和23年式を平成6年式に変更する場合があります。これにより、戸籍の内容や形式が新しくなります。
5つの戸籍の読み方
平成6年式戸籍の読み方
平成6年式戸籍を読む際に注目すべきポイントは以下の通りです。
- 戸籍事項欄:当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかが記録されます。最新の戸籍である場合は「いつまで」は書かれていません。
- 戸籍に記載されている者欄:この欄には在籍者の情報が記録されています。「除籍」の記載がある場合、その理由を確認します。死亡を原因とする除籍の場合、その戸籍が死亡時の戸籍になります。
昭和23年式戸籍の読み方
昭和23年式戸籍を読む際に注目すべきポイントは以下の通りです。
- 戸籍事項欄:この欄から、戸籍がいつからいつまでのものかが分かります。
- 身分事項欄:各在籍者の戸籍事項が記録されています。婚姻で除籍になった事情などもここに記録されています。
- 本籍欄の横(欄外):コンピュータ化による改製の記載があります。これにより、昭和23年式戸籍と平成6年式戸籍を照らし合わせることができます。
大正4年式戸籍の読み方
大正4年式戸籍を読む際に注目すべきポイントは以下の通りです。
- 戸主の事項欄:戸主の個人的な記録事項だけでなく、戸籍全体に関する情報も記録されています。
- 戸主以外の者の事項欄:在籍者の記録が記載されています。被相続人の生年月日と戸籍の編製年月日を照らし合わせることで、被相続人の出生時の戸籍であるかどうかを確認します。
明治31年式戸籍の読み方
この明治31年式戸籍を読む際に注目すべきポイントは以下の通りです。
- 戸主と為りたる原因及び年月日欄:この欄を見つけることで、明治31年式戸籍であることが確認できます。
- 戸主の事項欄:当該戸籍の始まりや終わりを示す情報が記録されています。
明治19年式戸籍の読み方
明治19年式戸籍を読む際に注目すべきポイントは以下の通りです。
- 戸主の事項欄:この欄から、戸籍がいつ閉じられたのかを把握できます。
- 空欄:族称欄が白く塗られている場合がありますが、これによる問題はありません。
まとめ
戸籍を正確に読み取ることは、相続手続きや家系調査において
非常に重要です。この記事で解説した5種類の戸籍の特徴と読み方を理解することで、必要な情報を正確に把握し、手続きをスムーズに進めることができるでしょう。戸籍に関する法令や手続きを理解することは、法律の専門家にとっても重要なスキルです。参照すべき法令として、「民法第727条、第740条」を挙げておきます。
以上が、戸籍の見方に関する徹底解説です。戸籍の読み取りに関する疑問や不明点があれば、専門家に相談することをお勧めします。
最後に
今回は戸籍の種類について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が民法について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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