デジタル化とプライバシー保護のバランスを図る関連法改正
政府は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」を中心に、デジタル社会の基盤を強化し、新型コロナウイルス感染症対策で明らかになった課題に対応するための法改正を進めています。この法改正は、行政手続きの迅速化と市民の利便性の向上を目指し、個人情報のセキュリティをより一層強化することを目的としています。
目次
個人番号カードの利用促進
改正案では、個人番号カードの申請と取得の方法を多様化し、市町村指定の郵便局でもカード申請が可能となります。また、国外転出者への個人番号カードの交付や電子証明書の発行を簡易化し、国外でも日本の行政サービスを利用しやすくする規定が設けられています。
戸籍と住民票のデジタル化
「戸籍法」と「住民基本台帳法」の改正は、戸籍や住民票に氏名の振り仮名を追加することで、日本の行政手続きのデジタル化を一層推進することを目的としています。この改正により、各種公的手続きにおける本人確認の精度が向上し、個人情報の管理がより効率的かつ正確に行われるようになります。
振り仮名の追加の意義
戸籍や住民票に氏名の振り仮名を記載することには、以下のような複数の利点があります
- 本人確認の精度向上
振り仮名を含む氏名情報は、公的文書や行政手続きにおける本人確認をより正確に行うために重要です。漢字だけの記載では発音のバリエーションが存在するため、振り仮名が本人確認の精度を高めます。 - 読みやすさの向上
振り仮名の記載により、文書の読みやすさが向上します。これは、特に漢字の読みが難しい名前の場合に便利で、行政手続きの迅速化に貢献します。 - デジタル記録の一貫性保持
デジタル化された記録において、一貫した氏名データを保持することができるため、データベース間での情報の整合性が保たれ、情報検索やデータ管理が効率的に行われます。
施行時期
この改正法は、令和7年(2025年)5月頃に施行される予定です。この時点から新たに戸籍が作成される方や、既存の戸籍に記載されている方が届け出を行うことにより、氏名の振り仮名が戸籍に追加されます。既に戸籍に記載されている方については、届出がなかった場合、1年以内に本籍地の市区町村長によって振り仮名が戸籍に記載されることになります。
この改正は、日本の行政のデジタル化をさらに進める重要なステップであり、市民一人一人の日常生活における利便性の向上に寄与するとともに、行政効率の向上にも寄与することが期待されています。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化
「健康保険法」およびその他関連医療保険法による改正で、マイナンバーカードと健康保険証の機能を統合することが進められています。これにより、オンラインでの資格確認が困難な状況にある人々でも、必要な医療サービスをスムーズに受けられるようになります。これにより、健康保険証の携帯が不要となり、デジタル化が進む中での利便性がさらに向上します。
デジタル分野でのマイナンバー利用の拡張
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の改正により、マイナンバーを理容師や美容師、小型船舶操縦士、建築士などの国家資格の取得や自動車登録、在留資格に係る許可など、幅広い行政手続きでの利用を可能にしています。これは、手続きの簡略化と迅速化を図るための重要なステップです。
公金受取口座の登録と特例制度
「公金受取口座登録法」に基づく特例制度を通じて、公的給付の受け取りに使用する口座の登録を促進します。これにより、公的給付の支給が迅速かつ確実に行われ、デジタルに不慣れな方々も簡易に登録が可能となります。
まとめ
この法改正は、デジタル化の推進と市民の日常生活の利便性向上を図るものです。同時に、個人情報のセキュリティ保護という重要な課題に対しても、より強固な対策が講じられています。今後の展開として、政府はマイナンバーシステムの普及と適正な管理を進めることが求められるでしょう。
最後に
今回は行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の改正について解説しました。
今回は以上で終わります。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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