黙認されていた私道の通行を突然禁止をすることはできる?
自分の土地を、好意で他人に通行させるようなケースは多いかと思います。
しかし、ある日突然に通行を禁止させることは可能なのでしょうか?
今回は、今まで黙認していた私有地の通行を禁止できるかについて解説します。
事例
BとAは互いに隣接地に居住している。
Aは自宅の玄関から容易に公道には出ることができるが、Bの敷地の通路を通った方が利便が良いため、Aは日常的にBの敷地を通行し、Bはそれを黙認していた。
しかし、ある日を境にBとAの関係が悪化した。BはAに自己の敷地の通行を通行させないようにするため、Aとの敷地の境界に塀を設置したいと考えている。
このようなことは可能であろうか?
回答:権利の濫用などにあたらない限り通路をふさぐことができる
法的な観点から見ると、通路はB自身が使うために設置されたものであり、Aが通行する権利を持っているわけではありません。
特に、通行を認める明確な契約がなかった場合、Bは自分の所有する土地内に塀を設置することができます。
今回の論点は前回の記事「自分だけ通行を拒絶されたら?通行権に関するトラブル - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)」で紹介した事例と酷似しています。しかし、今回は結論が正反対となってしまいました。
その最大のポイントが事例の冒頭にある「Aは自宅の玄関から容易に公道には出ることができるが」という部分です。
もちろん、Aが権利の侵害や濫用、時効による通行権の取得などを主張してくる場合も考えられます。
しかし、Aは自身の玄関から容易に公道に出ることもできること、Bが自分の土地に塀を建てることで近隣の権利侵害は起きていないことや、AがBの土地を知っていて好意で通行していたことも考慮されます。このため、この事例ではBがAだけを不当に差別的な扱いをしているとは言い難いでしょう。残念ながらAの主張は認められそうにはありません。
まとめ
今回のケースは、通常の近隣トラブルとは異なります。
Aが自宅から容易に公道に出られることや、Bが自己の土地内に塀を建てても他の近隣住民に権利侵害を及ぼしていないことが明確です。そのため、今回の事例ではAの主張が認められる可能性は低いと言わざるを得ません。しかし、法的な問題だけでなく、近隣関係を円滑に保つためにはコミュニケーションが欠かせません。双方が納得できる解決策を見つけるためにも、冷静な対話が大切です。
最後に
今回は黙認されていた私道の通行を突然禁止をすることの是非について解説しました。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が道路について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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