自分だけ通行を拒絶されたら?通行権に関するトラブル
明確に契約上の通行権が無くとも、慣習上、通行権が認められることがあります。
しかし、このような場合に、ある日突然通行を拒絶された場合はどうなるのでしょうか?
今回は、自分だけが通行を拒絶された場合の対処について解説します。
事例
Aは借地に自宅を建築して住んでいる。
その地主は大地主であり、Aと同じ地主から土地を借りている人が、近隣には大勢いる。Aと地主の関係は良好であり、長年、地主の好意で近道にもなる地主の敷地通路も通らせてもらっていた。しかし、ある時を境にAと地主の関係が悪化し、Aだけを通行できないように、Aの家と地主の土地が隣接する部分に塀を設けるなどして通行を妨害されるようになった。
これはやむを得ないことなのだろうか?
回答:差別行為は権利の濫用にあたる
Aは自宅を建築するために土地を賃借しています。この事例では、地主とAの間の借地契約とあわせて、問題となっている通路の通行についても、明確な契約はないかもしれませんが、地主が通行していたことが認められます。
このように考えると、地主の感情的な理由で一方的に通行を妨害することは適切ではないと言えます。他の借地人には通行を許可していることからも、Aを差別していると言え、この差別には正当な理由がないことがわかります。
さらに、裁判例においても、生活の不便や不利益を与えることだけを目的とする妨害は、権利の濫用とされています。
【参考判例:宇奈月温泉事件 - Wikipedia】
Aの自宅の土地の借地契約と通行の許可があることを考えると、Aには通行権があり、それを妨害する行為は適切ではありません。
したがって、塀の除去などを求めることが妥当です。公正な社会を実現するために、差別的な行為にはしっかりと対処する必要があります。
最後に
今回は自分だけが通行を拒絶された場合の対処について解説しました。
今回は以上で終わります。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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