境界の争いを訴訟ではなく和解で決着をつけることはできる?
近隣の所有者同士の境界問題は、時には法廷闘争へと発展します。
しかし、そのような争いを解決するためには時間と費用がかかり、双方にとってストレスになりがちです。
では、境界の争いを訴訟ではなく和解で決着をつけることはできるのでしょうか?
以下の事例を通じて、その可能性と条件について考えてみましょう。
事例
Bは、隣地所有者のAと土地の境界の問題で争っている。
係争が長期化したため、決着を付けたいと考えている。
時間と費用がかかる裁判ではなく和解にすることは可能か?
回答:所有権の確認の訴えに変更すれば可能
事例のような境界についての争いを解決する方法として実質的によく利用されているのが、争いの当事者同士で境界線を確認し、確認した場所に境界標を設置するという和解です。
和解した場合、通常、境界についての協定書を作成しますが、境界そのものを当事者で確定したものが協定書の内容に盛り込まれていると、協定書に法的効果はなくなってしまいます。土地の境界は私人の都合で勝手に変更できる性質のものではなく、公共的なものだからです。
ただ、協定書の内容が境界ではなく所有権の範囲を定めたものであれば有効です。
なお、BとAが合意した場所と境界とがずれている場合、差額分について一方が分筆(一筆の土地を分割して数筆の土地にすること)を受ける形で、所有権移転登記をすることになります。差額分をも問題にしないほどのわずかな分であれば、協定書で定めた地点を事実上の境界点として扱っても問題ありません。もし、第三者が土地を譲り受けたとしても、協定書の境界線を承知の上でのことでしょうから、問題にならないのです。
また、境界確定の訴えを起こしたとしても、途中で裁判上の和解をすることもできます。
裁判上の和解をする場合、境界確定の訴えを所有権確認の訴えに変更することが必要です。これは、境界そのものを当事者の和解で勝手に行うことはできないためです。所有権確認の訴えに変更すれば、和解を成立させることもできます。
まとめ
境界の争いは法廷闘争となりがちです。しかし、和解で解決することも可能です。
しかし、協定書に境界そのものを盛り込むと法的効果がないとされます。所有権の範囲を定めた内容なら有効です。和解後、境界がずれている場合は分筆を受ける必要があります。途中で裁判上の和解をする場合、訴えを所有権確認に変更する必要があります。
最後に
今回は境界の争いを訴訟ではなく和解で決着させる方法について解説しました。
今回は以上で終わります。
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この記事が境界関係について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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