いまさら聞けない基礎用語、JVって何?
建設業許可に関する仕事をしていると、JVという用語を稀に耳にします。
普通に生活しているとほとんど耳にしない用語のため、意味を知らない人も多いかと思います。
そこで今回はJVという用語の概要について解説していきます。
JVの概要
JV(Joint Venture)は、建設業等において複数の企業が共同で事業を行う形態を指します。
大規模な建設プロジェクトや複雑な技術を要するプロジェクトなどを効率的に遂行するために活用されます。
たとえば、家を1軒築造するような規模の小さい工事ではなく、東京スカイツリーのような国家規模で挑まなければならないレベルの大規模工事をする際になどに活用されています。
分かりやすく言えば「みんなで力を合わせて頑張りましょう」という事ですね。
JVの特徴
JVの特徴として、以下のものが挙げられます。
- 複数の企業が資本・技術・人材などを共同で出資
- 共同で事業を企画・施工・管理
- 利益・損失を共同で分配
- プロジェクト終了後は基本的に解散
最後のプロジェクト終了後は基本的に解散というところが特に特徴的です。
つまり、軍隊で例えれば、常設されている地域配備師団ではなく、必要に応じて編成される臨時編成の機動旅団のようなイメージですね。
ちなみに例外的にプロジェクト終了後も解散しない常設的なJVも存在します。
JVのメリット
JVを編成するメリットは以下のようなものが挙げられます。
- 大規模なプロジェクトへの参画:単独では参画できないような大規模なプロジェクトに、複数の企業が共同で参画することで実現可能になる。
これは先述した東京スカイツリー建造が分かりやすい例ですね。たとえ人類の希望である清水建設や鹿島建設等のスーゼネであろうと、あれ程の規模の建造物を単独で完成させるのは無理なのです。 - リスクの分散:工期延長、コスト増加、技術的な課題など、プロジェクトに伴うリスクを複数の企業で分散することで、リスクを軽減できる。
- 専門性の高い技術・人材の集結:各企業が持つ専門性の高い技術や人材を結集することで、より高度な技術力や専門性を発揮できる。
- 効率的な事業運営:各企業の強みやリソースを活かすことで、効率的な事業運営が可能になる。
- コスト削減:共同で資材調達や施工を行うことで、コスト削減を図れる。
このように、JVには様々なメリットがあります。しかし、最大のメリットは「単独では絶対に実現できなかったことができる」に尽きます。
JVのデメリット
しかし、JVにもデメリットが当然にあります。
- 意思決定の複雑化:複数の企業が参画するため、意思決定に時間がかかったり、意見調整が難航したりする可能性がある。
- 利益配分の複雑化:出資比率やリスク負担割合などに応じて利益を分配するため、複雑な計算や調整が必要になる。
- 企業文化の違いによる摩擦:異なる企業文化を持つ企業が共同で事業を行うため、コミュニケーション不足や摩擦が生じる可能性がある。
- 事務処理の増加:JV設立・運営に伴う事務処理が増加する。
この中で最悪のデメリットは、意思決定の複雑化ですね。組織が肥大化すれば、意思決定をするには何回も会議をしなければなりません。
自分は前職がブラック公務員だったので、一週間の勤務時間の半分は会議で埋め尽くされていました。なぜなら、会議をするための事前調整会議が必要だからです。ちなみに、1つの会議をするために最低でも3つの事前調整会議が必要でした。そりゃ仕事が進まんわ…
当然ですが、末端の職人の意見など上には届きません。「この施工計画、絶対に納期に間に合いませんよ…」と言っても黙殺されます。
JVの種類
次にJVの種類についてみてみましょう。
- 特定JV
- 特定の大規模な工事を共同で受注・施工するために結成されるJV
- 工事ごとに結成され、工事が終わったら解散する
- 発注者は、JVの代表企業を選定する
- 代表企業は、JVの代表者となり、工事の指揮・監督を行う
- 経常JV
- 長期的な関係で、複数の工事を共同で受注・施工するために結成されるJV
- 会社同士が資本関係を持つこともある
- 特定JVよりも組織的な運営が行われる
- 事業計画や資金調達など、JV全体に関わる事項を共同で決定する
- 地域維持型JV
- 被災地域の地元企業が中心となって結成されるJV
- 大規模災害からの復旧・復興を目的とする
- 国土交通省が制度化している
- その他のJV
- 技術JV:高度な技術を共同で開発・運用するために結成さJV
- 海外JV:海外市場への進出のために結成されるJV
このうち、特定JVが建設業界で一般的に耳にするJVのことです。
最後に
今回はJVの概要ついて解説しました。
また、今回は解説しませんでしたが、JVは建設業以外にも、製造業やIT業界にも存在します。確かに建設業が代表的なものですが、必ずしも建設業の専売特許というわけではありません。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が建設業許可について学びたい方の参考になれば幸いです。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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