1発アウト?悪徳行政書士の非行行為ランキング

近年、悪徳行政書士が逮捕されるニュースが後を絶ちません。
自分も行政書士の一角として誠に遺憾であると感じるばかりです。
行政書士には必ず守らなければならない義務が多々あります。それらを違反した場合、各単位会ごとの懲戒や知事からの懲戒、法律に違反する場合は逮捕されることもあり得ます。
なお、行政書士の法的義務については以下のカテゴリーで解説しております。よろしければ御参照ください。
行政書士の法的義務 アーカイブ - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

さて、今回は、悪徳行政書士の非行行為について、その悪質度を独自に格付けしました。
今後の業務の御参考にしていただければ参考です。

※今回の格付けは完全に自分の独断と偏見によって作成されています。そのため、正確性は100%です。
※今回は完全なる娯楽記事です。苦手な方は迷わずブラウザバックして下さい。
※実際に起きた特定の事件とは一切関係ありません。

行政書士の非行行為

おそらく、一般的に懲戒対象となりうる非行行為は以下のようなものが多いでしょう。
なお、行政書士の懲戒事例については機関紙「日本行政」および日本行政書士会連合会HPにて公開されています。

  1. 職務放棄
  2. 職務上請求書の不正使用
  3. 帳簿を備え付けていない
  4. 業際違反
  5. 単位会の会費を納めない
  6. 業務の他人任せ
  7. 保管しなければならない書類を保管していない
  8. 報酬額の不掲示
  9. 事務所の移転を単位会に申請していない
  10. 単位会の聴取に応じない
  11. 事務所に標識を掲示しない
  12. 書類に虚偽の記載をする
  13. 依頼人に業務の進捗状況を報告しない
  14. 個人開業行政書士が事務所を2か所以上設置した
  15. 職務上請求書を紛失した
  16. 病気等で長期間業務ができていない
  17. SNS等で問題発言をしてしまう
  18. 依頼人に虚偽の報告をする
  19. 自己の事務所を「法律事務所」として広告する
  20. ドラクエⅤで花嫁にビアンカ以外を選択する

それでは、以上の非行行為の悪質度について正当性を5段階評価で判定していきます。

職務放棄

これは簡単に言えば、受任した業務を放棄して依頼人からの一切の連絡を絶ち逃走する状態です。
大抵の場合は依頼人から単位会や知事に通報されることにより発覚します。
これは受任したはいいが、あまりにも業務多忙で対応できない場合や受任した後で自分には手に負えない困難な案件であることが判明した場合などに発生するものと思われます。完全に自分の憶測ではありますが、開業したての初心者よりは自分の実力に過信してしまったプライドの高い中堅クラスがやりがちなのではないかと思います。
行政書士には依頼応諾義務が確かに法定されています。しかし、それは「正当な理由」があれば免除されます。詳細については以下の記事で解説しております。よろしければ御参照ください。

行政書士は依頼を断れない?応諾義務とは

行政書士は依頼に応ずる義務があります。しかし、どのような理不尽な状況でも常に受任しなければならないわけではありません。今回は依頼を断ることができる正当な理由に…

そのため、自分に困難な案件であることが判明した時点で謝罪のうえでお断りをするか、他の行政書士に対応できる者がいないか仲介すべきでしょう。
この非行行為は依頼人の信頼を著しく既存する行為であるため、Sティアです。

職務上請求書の不正使用

これは論外です。
ごく稀に職務上請求書を他人に譲渡したり、正当な理由なく職務上請求書を使用して戸籍等を請求する行政書士がいますが、これは本当にダメです。
全行政書士が例外なく一般倫理研修の受講を義務付けられた理由が、この職務上請求書の不正使用の横行です。
行政書士は確かに職務上請求により他人の戸籍等を請求できますが、それは決して特権を持つことにはなりません。むしろ、そのような他人の秘密にアクセスする能力を付与されている以上、誰よりも謙虚な姿勢で業務に取り組まなければなりません。
そのため、これは社会一般に与える影響が大であるためS(+)ティアです。

帳簿を備え付けていない

これは、事件簿、請求書、領収書等を事務所に備え付けていない状態です。
ほとんどの場合、他の非行行為により懲戒対象となり、事務所の捜査が行われた際に発覚します。すなわち、この理由単体で懲戒を受けることはまずありません。
とはいえ、帳簿備え付け義務は歴とした法定義務の一つです。守らないことは懲戒事由となります。
どんなに業務多忙であろうとも、コツコツと帳簿は記載するように気を付けましょう。「面倒だし月末にまとめて記載すればいいか…」と考えている方は、それが翌月になり、年末になり、そしてとうとう積もり積もって莫大な量の不記載が溜まっていきます。自己の堕落心に負けないようにしましょう。
これは1件ずつは軽微ながら膨大に重なることにより手が付けられなくなるタイプのため、Cティアです。

業際違反

これは他士業の独占業務に手をだしている状態です。
これはいけません。本当に一瞬で通報されて即逮捕されます。
特に多いのが弁護士法72条違反、いわゆる非弁行為です。
行政書士は民亊法務も取り扱うことができますが、そこで相手方と交渉に該当することをしてしまうパターンが多いです。たとえば、交通事故業務で相手方の保険会社に保証額の交渉をする行為等が代表的です。
行政書士は非紛争業務しか取り扱えないため、紛争が現に発生している場合は無理せず弁護士に依頼すべきです。仮に依頼人から頼まれたとしてもやってはいけません。
これは本当に逮捕事例が多いため、Sティアです。

単位会の会費を納めない

行政書士は単位会に会則で定められた会費を必ず納めなければなりません。
これは、貧困や病気等の理由の如何を問わず必ず支払う義務があります。たとえ貧困のあまり野草を摂って喰うレベルの生活をしていたとしても、免除されません。
非常に残念ですが、払えなければ廃業するしかありません。
これは流石に同情の余地があるため、Dティアです。

業務の他人任せ

これはいわゆるベテラン補助者に任せきりになっている状態です。
行政書士の先生御本人はもう完全にハンコを押すだけの役割になってしまっているのがほとんどかと思います。当然ですが、補助者のミスは監督者のミスでもあります。「秘書が勝手にやった」は通用しません。
これは業務を真面目にやっている行政書士を侮辱する行為なので、Aティアです。

保管しなければならない書類を保管していない

これは本来一定年数保管しなければならない帳簿類を誤破棄してしまった状態です。
人間誰しもミスはあります。しかし、法定されている以上は保管は義務です。罰則は覚悟すべきです。
また、文書のプロである士業が文書を誤破棄することは、通常の職業よりも重い罰則があることは必然です。
そのため、これは若干の同情の余地があるためBティアです。

報酬額の不掲示

行政書士は事務所の見やすい場所に報酬額一覧表を掲示する義務があります。
現在ではネット集客が主戦場となっているで、実際に事務所に依頼人を招き入れる機会が極端に減ってきています。自分も依頼人とは基本的にZOOMやメール、電話でやり取りをします。対面で面談をしたとしても自分から依頼人の元に出向するため、自分の事務所に依頼人を招き入れるケースは皆無といっていい状態です。たまに同業者が挨拶に来訪されるくらいです。
もはや半分過去の因習となっているような義務ですが、一応は義務なので守らなければなりません。
これは旧態依然とした義務違反なので、Dティアです。

事務所の移転を単位会に申請していない

これは、事務所の引越しをして、単位会にそれを通報していない状態です。
「え?そんなことあるの?」というような事案ですが、本当にあるんですよ、これが。
多忙すぎると人間は初歩的な報連相を完全に失念してしまうものです。よく気を付けましょう。
これは悪質というよりはケアレスミスに近いため、Dティアです。

単位会の聴取に応じない

これは大前提として既に何かしらの事案をやらかしてしまった後の対応です。
つまり「お前に依頼人から懲戒調査依頼が来ているから、速やかに本部に出頭しろ」と言われているのにも関わらず無視している状態です。
これはいけません。素直に出頭して謝罪すればまだ温情処置もあり得ますが、無視は最悪の結果しか生みません。
これは前提からして何かしらやらかしている状態なので、Sティアです。

事務所に標識を掲示しない

行政書士は事務所に標識(看板のこと)を掲示する義務があります。
逆に言えば、標識の掲示を許諾された物件以外は事務所として使えません。
そのため、事務所を開業する前に、該当する物件に標識を掲示していいかオーナーによく確認しましょう。賃貸借契約を交わした後に掲示不可の物件であった場合は潔く別の事務所を探すしかありません。
とはいえ、実は行政書士法において「標識」の定義は決められていません。建設業許可の標識のように、縦横の大きさや記載事項も一切規定が無いのです。
つまり、極端なことを言ってしまえば、「○○行政書士事務所」と記載されたラミネート加工紙をドアの前にガムテープで貼っておくだけでも「これは標識だ」と言い切ることは可能です。
ただし、流石にその言い分が通るかは各単位会の判断によるところなので、最終的には単位会に判断を仰いでください。
これは基本的に自分以外の誰にも迷惑をかけないので、Dティアです。

書類に虚偽の記載をする

これはダメです。
文書の専門職としてあるまじき行為です。真面目に作成した書類の内容にミスがあったのであれば同情の余地はありますが、故意的に虚偽の内容を記載しているのならば最悪の蛮行です。今すぐ徽章と許可証を返納すべきです。
これは間違いなくSティアです。

依頼人に業務の進捗状況を報告しない

これは悪質とまでは断言できませんが、社会人としていかがなものかと思います。
報告を求められたときにだけ報告するようでは、依頼人の信頼を失いかねません。依頼人は許可の取得を首を長くして待っているのです。たとえ求められなくとも、定期的な進捗状況の報告はするようにしましょう。
そのため、これはCティアです。

個人開業行政書士が事務所を2か所以上設置した

個人開業行政書士は業務の分散を避けるため、事務所は1か所しか設置できません。
もし2か所以上の事務所を設置したい場合、現行法では法人成りするしかありません。
これは基本的に自分が一方的に損をするだけなので、Cティアです。

職務上請求書を紛失した

これはいけません。
職務上請求書は鍵のかかる金庫で保管しなければならないほどの重要な書類です。
もし紛失した職務上請求書が第三者に拾われてしまえば、悪用されかねません。
そのため、これは社会に与える影響が大きいためSティアです。

病気等で長期間業務ができていない

これは厳密に言えば、懲戒事由ではなく資格取消事由です。
実際のところ、病気で業務ができないのは仕方がないことです。行政書士業務は一旦休業して養生に徹するべきです。
そのため、これは悪質性無しのD(-)ティアです。

SNS等で問題発言をしてしまう

これは最近多い事案ではないでしょうか。
インターネットが発達した今、情報発信は誰でも容易にできます。SNSでの発信は常に全世界に見られているのだという意識が必要です。
そのため、行政書士という身分を明かしながら品位を毀損するような発言はしてはいけません。
これは業界全体に与える影響が大ではありますが、実際にこの理由だけで懲戒された事案を知らないため、Aティアです。
※令和6年4月にSNSでの発信内容に基づいて業務停止処分が下された懲戒事例が公表されました。この懲戒事例により、SNSでの発信内容も懲戒対象となることが明確になりました。

依頼人に虚偽の報告をする

これは行政書士以前に社会人としてダメです。
大抵の場合は不許可となった案件を「許可が降りた」と報告することが多いようです。
そんな嘘をついても、実際は許可は降りていないのだから直ぐにバレます。自分の首を絞める行為に他なりません。
これは依頼人の信頼を裏切る行為なので、Sティアです。

自己の事務所を「法律事務所」として広告する

これは法令違反です。
法律事務所という名称は弁護士しか呼称することができません。

(非弁護士の虚偽標示等の禁止)
第七十四条 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。
3 弁護士法人でない者は、その名称中に弁護士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。

弁護士法

行政書士が法律事務所を呼称した場合は即通報されます。
このため、当事務所では当該法律に配慮して「法務事務所」という名称を冠しています。

ちなみに、英語で法律事務所を意味する「Legal Office」は行政書士でも使用可能です。
なぜなら、行政書士という職業自体が日本特有のものであり、ほとんどの諸外国では法律事務一般を全て弁護士(lawyer)が所轄しているため、そもそも行政書士という意味を持つ他言語がこの世に存在しないのです。そのため、国外で「自分は行政書士です」と自己紹介するとほぼ確実に「え?なにそれ、弁護士ですか?」と聞かれます。

これは悪質な非弁行為であるため、Sティアです。法律事務所を持ちたいなら弁護士になってください。

ドラクエⅤで花嫁にビアンカ以外を選択する

これは断じて許せません。
幼少期から将来を誓い合っていた婚約者を捨て、姻族の財産目当てで資本家の御令嬢と結婚するなど、道徳を欠いた非人道的な行為と言わざるを得ません。
明らかに公序良俗違反なので、当該婚姻は裁判のうえ無効となる可能性があります。

(公序良俗)
第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

民法

たとえ、水のはごろもや山彦イオナズンの魅力に心が揺らぐことがあったとしても、信義則を徹してビアンカを選択すべきです。

とはいえ、自分も初プレイ時に矢鱈と冗長な結婚式イベントを早くスキップしたい一心でボタンを連打していたら、いつの間にかフローラが花嫁になっていて、後に実家で清貧生活を送っているビアンカを目の当たりにして「あ゛あ゛……自分は何ということを…………」と自責の念に駆られたことがあるため、これはDティアです。

まとめ

今回の格付けを纏めると以下の通りです。

  1. 職務放棄 S
  2. 職務上請求書の不正使用 S(+)
  3. 帳簿を備え付けていない C
  4. 業際違反 S
  5. 単位会の会費を納めない D
  6. 業務の他人任せ A
  7. 保管しなければならない書類を保管していない B
  8. 報酬額の不掲示 D
  9. 事務所の移転を単位会に申請していない D
  10. 単位会の聴取に応じない S
  11. 事務所に標識を掲示しない D
  12. 書類に虚偽の記載をする S
  13. 依頼人に業務の進捗状況を報告しない C
  14. 個人開業行政書士が事務所を2か所以上設置した C
  15. 職務上請求書を紛失した S
  16. 病気等で長期間業務ができていない D(-)
  17. SNS等で問題発言をしてしまう A
  18. 依頼人に虚偽の報告をする S
  19. 自己の事務所を「法律事務所」として広告する S
  20. ドラクエⅤで花嫁にビアンカ以外を選択する D

最後に

今回は悪徳行政書士の非行行為について解説しました。
なお、今回の格付けでC~Dティア判定をした事例であっても、非行は非行です。決して社会的に許されるものではないという事は御了承下さい。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が行政書士の業務について学びたい方の参考になれば幸いです。

また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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