専任技術者の経験確認資料の概要【建設業許可】

専任技術者の経験確認資料(以下、経験確認資料)は建設業許可に必要な確認書類の一つです。この書式は専任技術者証明書の補助的な資料です。
今回はこの資料の概要について解説します。

また、これまでのアーカイブは以下のリンクから参照できます。
閲覧書類編:閲覧書類【建設業】 アーカイブ
確認書類編:確認書類【建設業】 アーカイブ

経験確認資料が必要な場合

新規、業種追加、般特新規、追加更新の場合に必要となります。
また、追加更新で更新業種に関するもの、法人成新規(個人事業主が法人になる場合のこと)及び般特新規で専任技術者に変更がなく、かつ経験を従前の申請書等で確認できる場合は省略可能となります。
つまり、更新の場合以外は一部の例外を除いて必要となります。
※ただし、後述する法第15条第2号ハ(大臣特別認定者)の場合で有効期限が定められた認定書を提出する場合のみ、更新の場合でも認定書の写しの提出が求められます。

経験確認資料の概要

要件の確認資料

一般許可の場合

法第7条第2号イ(学歴+実務経験)の場合

以下の書類が必要です。

  1. 卒業証明書(原本)または卒業証書(写、ただし窓口で原本提示)
  2. 実務経験証明書(確認資料として以下のいずれかを必要年数分添付)
    ・契約書、注文書の写し
    ・契約書等の提出ができない場合は、発注証明書

なお、広島県では必要年数3年の場合は直近の1、3年、必要年数5年の場合は直近の1、3、5年のものを添付すれば必要年数分として認められます。

法第7条第2号ロ(10年以上の実務経験)の場合

以下の書類が必要です。
実務経験証明書(確認資料として以下のいずれかを必要年数分添付)
・契約書、注文書の写し
・契約書等の提出ができない場合は、発注証明書

なお、広島県では1、3、5年分を添付すれば10年分として認められます。

3 法第7条第2号ハ(国家資格取得者)の場合

免状等の写しを提出します。ただし、窓口で原本提示が必要です。

特定許可の場合

法第15条第2号イ(一級の国家資格取得者)の場合

免状等の写しを提出します。ただし、窓口で原本提示が必要です。

法第15条第2号ロ(学歴+実務経験、10年以上実務経験、1級以外の国家資格取得者のいずれか+2年以上指導監督的実務経験)の場合

以下の3種類のいずれかの資料が必要です。

  1. 卒業証明書(原本)または卒業証書(写、ただし窓口で原本提示)
  2. 実務経験証明書(確認資料として以下のいずれかを必要年数分添付)
    ・契約書、注文書の写し
    ・契約書等の提出ができない場合は、発注証明書
  3. 免状等の写し。ただし、窓口で原本提示が必要

上記のいずれかに加え、更に以下の資料が必要です。

  1. 指導監督的実務経験証明書
  2. 実務経験の内容欄に記載した工事全ての契約書の写し及び当該契約の施工体制が確認できる資料
法第15条第2号ハ(大臣特別認定者)の場合

認定書の写し。ただし、窓口で原本提示が必要です。
※ 有効期間が定められているものについては、更新申請であっても、申請時に有効であるか確認するため、認定書の写しの添付が必要です。

一般許可・特定許可に共通で必要なもの

現に監理技術者である場合は、監理技術者資格者証の写しを提出し、窓口で原本提示が必要となります。
この場合は原則として前述した特定建設業許可で必要な確認資料は免除されます。
ただし、法第7条第2号イ(指定学科卒業+実務経験)、法第7条第2号ハ(10年以上実務経験)+法第15条第2号ロ(学歴+実務経験、10年以上実務経験、1級以外の国家資格取得者のいずれか+2年以上指導監督的実務経験)により資格を取得し、資格者証の「有する資格」に「実経」と記載されている場合、卒業証明書等や免状等の写しが必要です。この場合は窓口での原本提示は不要です。

まとめ

上記資料の相関関係は難解なので、以下のように分解してざっくりと理解しましょう。

経験

専任性の確認資料

以下の資料は一般許可、特定許可の区別なく全て共通で必要です。

法人の場合

以下の資料のうち、いずれか一つが必要です。

  1. 健康保険被保険者証の写し、第一面のみ
  2. 社会保険(健康保険・厚生年金保険)資格取得届の写し
  3. 社会保険標準報酬決定通知書の写し

後期高齢者医療制度の被保険者(75歳以上の者)の場合

決算到来後又は雇用保険に加入している場合

以下の第1号に加え、2号または3号の書類が必要です。

  1. 申立書(不加入等であるが常勤している旨を記載)
  2. 後期高齢者医療被保険者証の写し
  3. 次のア~エのいずれか(いずれも写しで、エはア~ウが提出できない場合に限り必要です)
    • ア 雇用保険被保険者証又は雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用) 又しくは雇用保険被保険者資格取得届
    • イ 【法人の役員の場合】 :直前の法人税の確定申告書及び役員報酬内訳書
      【個人の事業主以外の場合】:直前の事業主の所得税確定申告書及び事業専従者欄に記載があるもの
    • ウ 厚生年金保険 70歳以上被用者該当および標準報酬月額相当額のお知らせの写し
    • エ ア~ウが提出できない場合は、住民税特別徴収税額通知書、源泉徴収票等、専任性が確認できる所得・報酬の記載されたもの
新規採用、決算未到来であり、かつ雇用保険の適用が除外されている場合等

以下の全ての書類が必要です。

  1. 申立書(社会保険に不加入等であるが常勤している旨を記載)
  2. 後期高齢者医療被保険者証の写し
  3. 次のア又はイ(いずれも写しで、イはアが提出できない場合に限ります)
    • ア 厚生年金保険 70歳以上被用者該当届(該当届)(追って該当届に対する相当額のお知らせを添付)
    • イ 給与台帳(出勤日数・控除額等から常勤性が確認できない場合、個別に追加資料が必要)

個人事業主本人の場合

以下の1号及び2号、必要により3号の資料が必要です。

  1. 申立書(常時当該申請者の業務に従事しており、他の商号若しくは名称を用いた営業又は他者への勤務をしていない旨を記載)
  2. 国民健康保険被保険者証又は後期高齢者医療被保険者証(いずれも写し)
  3. 後期高齢者医療制度被保険者の場合は、直前の所得税の確定申告書の写し

現住所の確認資料

この資料は現在では原則として必要ありません。
しかし、営業所への通勤が困難と思われる場合などは、通勤方法の確認できる書類(定期券の写し、ETC利用履歴)当の追加資料を求められることがあります。

専任技術者が出向者の場合の確認資料

あまり起こりえないことですが、出向者を専任技術者に充てる場合は以下の資料が必要です。

出向先で健康保険に加入している場合

出向先の健康保険被保険者証の写し

出向元で健康保険に加入している場合

以下の全ての書類が必要です。

  1. 出向元の健康保険被保険者証の写し
  2. 出向協定書の写し(窓口で原本提示)
    • 出向元と出向先間の協定書で、「健康保険は出向元で負担しているが、出向先に勤務し、指揮監督権は出向先にある」旨の定めがあるもの
  3. 出向元による出向証明書の原本
    • 当該申請・届出のために発行されたもので、次の事項が記載されたもの
      • 出向職員名及び生年月日
      • 出向先名
      • 出向期間(証明日時点の実績)
      • 証明日(申請日の直近(2週間以内))
      • 出向職員が証明日において出向継続中であった旨の申立て
      • 証明者(出向元の代表者)

最後に

専任技術者の経験確認資料の収集が大変な理由が何となくご理解いただけたのではないでしょうか。
専任技術者の経営経験確認資料の収集は建設業許可の取得において極めてウェイトの大きい作業です。可能な限り早期に準備に着手しましょう。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が建設業許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。

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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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