相続土地国庫帰属制度の申請に必要な添付書類について解説
相続土地国庫帰属制度は、相続等によって取得した土地を国庫に帰属させる制度です。
申請するためには承認申請書を記載し、添付書類を添えて法務局に提出しなければいけません。
そこで、今回は相続土地国庫帰属の添付書類について解説します。
なお、申請書そのものの書き方は以下の関連記事を御参照ください。
【関連記事】
相続土地国庫帰属制度の申請方法 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
目次
添付書類の種類
全ての申請者が添付必須の書面
承認申請に係る土地の位置及び範囲を明らかにする図面
この書類を作成する前提として、法務局で土地の登記簿を取得し、地目を明らかにすることが必要です。
【画像出典:法務省HP】
上記の赤い縁取りをしている部分が申請する土地です。
この範囲は筆界ではなく所有権界を記載するようにして下さい。
筆界と所有権界の違い
筆界は不動産登記簿の公図に記載されている土地の範囲です。
対して、所有権界とは、実際に所有権が及ぶ範囲のことをいいます。
通常であれば筆界と所有権界は一致します。しかし、次のような場合はズレが生じる場合があります。
例:AとBの間で、以下のような土地売買を行った。
この場合、分筆登記をしない限りは筆界は当初の状態のままです。
承認申請に係る土地と当該土地に隣接する土地との境界点を明らかにする写真
この書類は、所有権界を写真で示す必要があります。
つまり、申請対象の土地とそれ以外の土地が接する部分のみを撮影します。
そのため、境界に争いがある場合は事前に当事者間で協議を完了させてください。前提として、境界について係争中の土地は当該制度の対象外となってしまいます。
また、以下の写真のように杭やロープで境界を明示しておく必要があります。
【画像出典:法務省HP】
承認申請に係る土地の形状を明らかにする写真
これはいわゆる「引いたアングル」で全体を映した写真のことです。
可能な限り車両や人などの関係ない物が映り込まないようにしましょう。
【画像出典:法務省HP】
申請者の印鑑証明書(市区町村作成)
これは居住地を管轄する市役所または区役所で取得できます。
現在はマイナンバーカードさえあればコンビニでも取得が可能です。
遺贈によって土地を取得した相続人が添付しなければならない書面
全ての申請者が添付必須の書面に加えて、以下のいずれかの書面が必要になります。(相続人が遺贈を受けたことを証するため)
・遺言書
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書、除籍謄本又は改製原戸籍謄本
・亡くなった方の除かれた住民票又は戸籍の附票
・相続人の戸籍一部事項証明書
・相続人の住民票又は戸籍の附票
・相続人全員の印鑑証明書
承認申請者と所有権登記名義人が異なる場合の添付書面
全ての申請者が添付必須の書面に加えて、以下のいずれかの書面が必要になります。(土地の所有権登記名義人または表題部所有者から相続又は一般承継があったことを証するため)
・亡くなった方の出生から死亡までの戸籍全部事項証明書、除籍謄本又は改製原戸籍謄本
・亡くなった方の除かれた住民票又は戸籍の附票
・相続人の戸籍一部事項証明書
・相続人の住民票又は戸籍の附票
・遺産分割協議書
最後に
今回は相続土地国庫帰属制度の添付書類について解説しました。
ここまでこの記事を読まれた方は「意外と簡単だな」と思われたのではないでしょうか?
自分もそう思いました。この手続きは他の許認可申請と比較すると破格的な簡単さであると言えると思います。
ただ、あえて難点を挙げるとすれば「必ず現地で写真を撮影する必要がある」という程度ではないでしょうか。
また、耕作放棄地などで筆界も所有権界も不明となっている場合、土地家屋調査士に境界測量をしてもらう必要もあります。
これらの手間をかけるのが難しいと感じる場合は、行政書士等の専門家に相談しましょう。
また、法務局のHPにもかなり詳しい情報が記載されていますので確認することを推奨します。
「相続土地国庫帰属制度」のページ一覧:東京法務局 (moj.go.jp)
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が相続土地国庫帰属制度について学びたいと考えていた方の参考になれば幸いです。
また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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