法人でも農地が所有できる農地所有適格法人とは?
法人でも農地の所有は可能です。
ただし、どんな法人でも農地の所有ができるわけではありません。
農地を所有することが認められるのは農地所有適格法人に限定されます。
また、同様に賃借権もしくはその他の使用収益権の設定や移転を受けることができる法人も原則として農地所有適格法人だけです。
今回は、農地を所有することができる法人の要件等について解説します。
目次
農地所有適格法人になることができる法人は?
農地所有適格法人になり得る法人は、以下の3種類です。
- 農事組合法人
- 株式会社(公開会社を除く)
- 持分会社
【根拠法令:農地法第3条2項】
農地所有適格法人になり得る法人の一つ、農事組合法人とは?
このうち、農事組合法人とは農業協同組合法に定めのある組合法人です。
農事組合法人は、3人以上の農業従事者が発起人となり、以下の要件を満たす場合に設立できます。
- 農業に関わる共同利用施設の設置または農作業の共同化
- 農業の経営
- 1または2の事業に付随する事業
これらのうち、1項の事業を行うものを1号法人といい、2項の事業を行うものを2号法人といいます。
また、1項と2項の事業を行うものを1・2号法人といいます。
このうち、農地所有適格法人になれるのは2号法人と1・2号法人のみです。
株式会社でも農地所有適格法人になれる
株式会社でも農地所有適格法人になれますが、この場合は非公開会社でなければなりません。
非公開会社とは、発行している株式の譲渡が制限されている株式会社です。
つまり、株を買おうと思っても買えない会社ということですね。
このように、農地所有適格法人は株式譲渡自由の原則が否定されています。
農地法は農地の所有者を農業従事者として信頼できる者に限定しているため仕方がありません。
農地所有適格法人の認定要件
農地所有適格法人の認定要件は以下の3種類です。
- 事業要件
- 構成員要件
- 経営責任者要件
これだけでは分からないので、さらに掘り下げて解説します。
事業要件
法人の主たる事業は農業でなければいけません。
ただし、ここでいう農業には以下のものが含まれます。
- 農業に関する農畜産物を原料とする製造または加工
- 農業と併せ行う林業
- 農業組合法人の場合、農業に係る共同利用施設の設置または農作業の共同化に関する事業
- そのほか、省令で定める事業
農畜産物の貯槽、運搬、販売等が該当します。
【根拠法令:農地法2条3項1号】
構成員要件
構成員のうち、以下の者が、株式会社であれば議決権の過半数、持分会社であれば社員の過半数を占めていなければいけません。
なお、ここでいう構成員とは、農事組合法人の組合員、株式会社等の社員を指します。
- 法人に対し、農地の所有権・使用収益権を移転した個人または一般承継人
- 法人に対し、農地の使用収益権に基づく使用収益をさせている個人
- 法人に対し、使用収益をさせるため所有権移転または使用収益権の設定・移転のため3条許可を申請している個人
- 法人に対し、農地の使用貸借または賃借権に基づく使用収益をさせている農地中間管理機構に対し使用貸借権または賃貸権を設定している個人
- 法人の行う農業に常時従事する者
- 法人に対し、農作業の委託を行っている個人
- 法人に対し、出資を行った農地中間管理機構
- 地方公共団体、農業協同組合、農業協同組合連合会
つまり、株式会社であれば必ず農業従事者が議決権の過半数を保有していなければならないということです。
【根拠法令:農地法2条3項2号】
経営責任者要件
経営責任者は、過半数の者が当該法人の常時従事者たる構成員でなければなりません。
なおここでいう経営責任者とは、農事組合法人では理事、株式会社では取締役、持分会社では業務執行役員を指します。
また、法人の理事等のうち1人以上の者が農業に年間60日以上従事していなければなりません。
【根拠法令:農地法2条3項3号】
農地所有適格法人には報告義務が課されます
農地所有適格法人は、毎年、事業の状況を農業委員会に報告しなければなりません。
なお、農業委員会はその報告に基づき、農地所有適格法人の要件を満たさなくなる恐れがある場合は、その法人に対して必要な措置を取ることを勧告することができます。
農事組合法人である以上は、常に国家の管理下にあるのです。
【根拠法令:農地法第6条1項】
最後に
今回は農地所有適格法人の概要について解説しました。
農地の取得を考えられている法人関係者のかたは、まずは行政書士に相談してみましょう。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
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投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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