農地転用に必要な費用は?行政書士に依頼した場合は?
農地転用に必要な費用はいくらほどかかるのか?
農地を売買したい、農地を宅地にしたいと考えた時に一番気になるのは費用でしょう。
当然ですが農地転用は公的な許認可申請が必要なため、少なからず費用は発生します。
そこで、今回は農地転用に必要な費用について徹底解説しました。
なお、農地転用とは、厳密には農地を農地以外のものに変更することを指します。すなわち、4条または5条の許可(届出)のことを現しています。
しかし、この記事では農地の売買等、つまり3条許可も便宜的に農地転用と呼称します。
目次
農地転用を自分で実施する場合の費用
農地転用を自分で実施する場合は、ほぼ出費は発生しません。
「ほぼ」というところがミソですが、少しは出費を覚悟しなければなりません。
申請書類の中には公的書類が含まれるため、それらの収集に若干の費用が生じます。
必要となる公的書類の一覧
これらの書類は請求する機関がそれぞれ異なるため、収集には時間が掛かります。
そのため、必要資料の収集は計画的に実施することが必要です。
また、収集のみを代理人に委託することも可能です。
しかし、その場合は必ず委任状が必要になります。
ここで勘の良い方なら「住民票と戸籍は行政書士が職務上請求書を使用すれば委任状が無くても取得できるだろ!」と憤怒されたかと思います。
確かに、かつてのコンプライアンスという概念の希薄だった時代はその通りでした。
漫画カバチタレでも婚約者の素性を調べるために栄田君が戸籍を取得していた場面があったように記憶しています。(これは当時でも絶対ダメです。そもそも栄田君は行政書士ではなく補助者です。漫画上の演出として楽しんでください。)
しかし、現在では相次ぐ職務上請求書の不正使用により使用が制限されているのです。
原則、士業が職務上請求書を使用出来るのは「書類作成業務」に限定されています。
つまり、書類作成を伴わない住民票等の取得のみの業務は職務上請求書を使用できないのです。
そのため、そのような業務には必ず委任状が必要です。
また、そのような業務を士業が受任するメリットがありません。
そのため今後は住民票等の代理取得のみを受任する士業者は淘汰されていくでしょう。
注意すべきこと
法人の履歴事項全部証明書及び土地の登記簿謄本はオンラインでも閲覧可能です。
しかし、これは申請時には使用できません。あくまでも所轄役所との事前調整資料として使用するものです。
申請時には法務局で受領した正規の証明書以外は現在は認められません。
農地転用を行政書士に委任する場合の費用
全国平均
日本行政書士連合会では数年に一度、全国の行政書士の各業務の価格帯を統計し公表しています。
最新(令和2年)の統計に基づいて全国平均を見てみましょう。
許可の場合
このように、平均は3条許可が約5万円、4条許可が約8万円、5条許可が約10.5万円程度だと分かります。
最頻値は3条許可が約3万円、4条許可が約8万円、5条許可が約8万円程度です。
届出の場合
平均は3条届出が約2.3万円、4条届出が約4.3万円、5条届出が約5万円程度だと分かります。
最頻値は3条届出が約1.1万円、4条届出が約3万円、5条届出が約5万円程度です。
ただし、最大値と最小値の差からも分かる通り、事務所によって値段設定は大幅に変動します。
あくまで参考程度にした方がいいでしょう。
注意すべきこと
行政書士に依頼する場合でも公的書類の種類は変わりません。
すなわち、この上記の価格に加えて必要資料収集費も当然に加算されます。
また、遠方の役所に申請する場合の交通費、通信費、資料発送費等も加算されることが想定されます。
農地転用の代行申請ができるのは行政書士だけ
農地転用許可申請を業として代行できるのは行政書士と弁護士です。
しかし、許認可申請を弁護士に依頼する方はまず存在しません。上野から新宿に移動するためにヘリコプターを手配するくらいコスパが悪い行為です。
そのため、実質的に行政書士の独壇場となっています。
こればかりは司法書士や土地家屋調査士でも立ち入れない聖域です。
行政書士ではない者が代行申請した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されます。
また、「業として」とあるから無償で請負えば違法ではないと考える方もいますが、ダメです。
【根拠法令:行政書士法第19条 - Wikibooks、第21条法令リード (hourei.net)】
農地転用をメインで引き受けてくれる行政書士は珍しい
農地転用を主たる業務としている行政書士は今では珍しいと言えます。
自分の知る限り、開発許可等の隣接業務として引き受けるケースが大半という印象を受けます。
その理由としては、まず他の許認可と比べて需要が少ないことと、完全なる単発業務であることが挙げられます。
また、この分野は令和5年現在でもデジタル化が進捗しておらず、申請は紙の資料に限定され、かつ所轄役所の窓口まで直接出頭する必要があります。
そして、申請から許可が降りるまでの期間が地域によっては約6週間程度と非常に長い場合があります。
つまり、準備に非常に時間が掛かるうえに受任してから報酬を得られるまでの空白期間が長すぎるため、メイン業務とするには相当な勇気が必要なのです。
そのため、農地転用を行政書士に依頼しようとする場合は、まず専門とする行政書士を探すところからハードルが高いと言わざる負えません。
最後に
今回は農地転用に必要な費用について解説しました。
最後に一つ付け加えると、これはあくまでも農地転用のみにフォーカスした調査結果です。
もし、転用したい農地が農振地域だったり、埋蔵文化財保護区域だった場合、これとは別に許可申請が必要です。
自分だけで調べきれないと思った方は農地転用に詳しい行政書士に相談することを推奨します。
今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
この記事が農地転用許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。
また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)
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