農地法第5条申請書の書き方【広島市】

農地法第5条申請書は農地を農地以外のものにするため他人に譲渡または貸借する際に必要な書類です。
(例:Aさんの農地⇒Bさんの住宅)
農地法第3条許可と農地法第4条許可を混合させたような許可ですね。
【根拠法令:農地法第5条
申請書の内容は複雑ですが、作成はそこまで難しくはありません。
今回は農地法第5条申請書の書き方について解説していきます。
また、今回の解説は広島市の書式をもって解説します。
なお、書式については各自治体によって独自のものになりますのでご承知下さい。

農地法第5条申請書の概要

※広島市では毎月15日までが提出の締め切り日になっています。間に合わなければ提出日が来月に持ち越されるため注意しましょう。

記載事項

記載事項は以下の通りです。

  1. 申請日
  2. 許可権者
  3. 譲受人等の住所、氏名、電話番号
  4. 譲渡人等の住所、氏名、電話番号
  5. 対象の農地または牧草放牧地の「なに」を「どのようにしたい」のか
  6. 許可を受けようとする土地の状況等
  7. 転用目的
  8. 転用の理由
  9. 事業の資金計画
  10. 権利を設定または移転の契約内容
  11. 事業の資金計画
  12. 転用することによって生じる付近の農地等に対する被害防除措置計画
  13. その他参考となる事項
  14. 申請に関わる照会に応答できる者の氏名、住所、電話番号等

フォーマット

実際のフォーマットは以下のリンクから参照できます。

223190.doc (live.com)農地法第5条申請書【広島市HP】

作成方法

申請日

窓口での簡易審査で補正を受けた場合、書き直しになってしまうため、ここは空欄で提出しましょう。

許可権者

許可権者は以下の通りです。
1 面積4㌶(4万㎡)超:農林水産大臣
2 面積4㌶(4万㎡)以下:都道府県知事(政令指定都市の場合は各市長又は農業委員会会長)

譲受人等の氏名、住所、電話番号

ここは読んで字のごとくそのまま記載します。また、押印は不要です。
なお、法人の場合は住所に代わり主たる事務所の所在地を記載します。住所は住民票に記載された通りに一字の差異無く転記して下さい。
また、申請者が記載欄に書ききれないほど複数いる場合は「別紙の通り」として別紙を添付してください。

譲受人等の氏名、住所、電話番号

ここは読んで字のごとくそのまま記載します。また、押印は不要です。
なお、法人の場合は住所に代わり主たる事務所の所在地を記載します。住所は住民票に記載された通りに一字の差異無く転記して下さい。
また、申請者が記載欄に書ききれないほど複数いる場合は「別紙の通り」として別紙を添付してください。

対象の農地または牧草放牧地の「なに」を「どのようにしたい」のか

この部分は通称で主文と言われているところです。

【次によって農地(採草放牧地)の(に)「     」を「    」したいので,農地法第5条第1項の規定により許可を申請します。】

という文章の「   」の部分に該当する言葉を記載します。
所有権移転ならば、「所有権」を「移転」になります。そのままですね。

許可を受けようとする土地の状況等

ここに記載する項目は少し煩雑です。
以下、項目別に解説します。

土地の所在

ここには対象の農地の住所を記載します。
不動産登記簿に記載されている通りに、一字の差異無く転記して下さい。

地番

ここも不動産登記簿に記載されている通りに、一字の差異無く転記して下さい。

地目

ここには不動産登記簿上の地目と現状の地目を記載します。
登記簿上は畑でも、現状が宅地であったりする場合があるための処置です。

面積(㎡)

ここも登記簿上の面積を転記します。

所有権以外の使用収益権が設定されている場合は、権利の種類と権利者の氏名

既に賃借権等が設定されている場合は記載します。
該当しない場合は記載は必要ありません。

市街化調整区域か市街化区域かの別

市街化調整区域か市街化区域かは農地ナビで簡単に調べることができます。
ただし、このサイトは官営ではないため、必ずしも最新の情報であるとは限りません。
最終的には役所の農政課に相談することを推奨します。
eMAFF農地ナビ - 条件から探す

合計面積と地目別の面積

ここには申請対象となる農地の合計面積を記載します。
また、括弧書きで田、畑の別を記載する欄がありますので、ここには各農地種類別の筆数と面積を記載します。
注意すべき点として、各農地種類別の筆数と面積は登記簿上の数値を記載してください。

その他の注意点

・余白部分には「以下余白」と記載します
・書ききれない場合は別紙を添付し「別紙の通り」と記載します。

転用目的

ここに記載する項目は少し煩雑です。
以下、項目別に解説します。

用途

ここは「転用して何にしたいのか」を記載します。
例:駐車場及び住宅 等

工事計画

ここは工事の着工予定日と完了予定日を記載します。

土地造成の面積

ここは転用にあたって※土地造成を行う場合はその面積を記載します。
※土地を有効に利用するために区画や形を変更して整えること。整地、伐採、伐根、擁壁、切土、盛土、地盤改良などがある。
造成なので単位は㎥かと思いきや㎡です。

建築物及び工作物の名称、棟数、面積

名称は住宅や車庫といった書き方でいいです。詳細な名称は必要ありません。
棟数と面積はハウスメーカーの作成する図面から転記しましょう。

転用の理由

ここには転用を必要とする理由を記載します。他の土地では目的を達成できないことを理由に含めた方がいいでしょう。
また、事業または施設の利用期間も記載します。ここは使用開始の年月日から終了日までを記載します。住宅等の場合は開始年月日~永久という書き方になります。

権利を設定または移転の契約内容

ここは以下の項目に分けて解説します。

申請に関わる権利の内容

所有権移転、賃借権設定、使用貸借による権利の設定のどれかを〇で囲みます。どれにも当てはまらない場合はその他に理由を記載します。

権利の設定又は移転の時期

許可が取得できなければ権利の設定も移転もできないため、ここは許可が取得できる予定日を記載することになります。
ただし、自治体によってローカルルールがあるため、事前に役所に問い合わせることを推奨します。

権利の存続期間

この欄は該当する場合のみ記載します。
永久ならば永久、有限ならば始期から終期及び合計年数を記載します。
なお、民法上や借地借家法上の借用期間に適合していなければ補正指示の対象となるため注意しましょう。

売買価格または賃借料

この欄は該当する場合のみ記載します。

事業の資金計画

ここには土地造成及び建築に掛かる費用と資金調達方法を記載します。
資金調達方法は自己資本金額と借入資金額に分けて記載して下さい。

転用することによって生じる付近の農地等に対する被害防除措置計画

これは別紙として被害防除措置計画151643.docx (live.com)【広島市HP】を作成して添付します。
被害某所措置計画は造成土量や擁壁の構築要領等の専門的な内容が含まれます。
自分だけで作成するのは現実的ではないと思いますので、ハウスメーカーと相談しながら作成しましょう。

その他参考となる事項

ここには都市計画法や農振除外等の他の法律による規制についての手続きの進捗を記載します。

申請に関わる照会に応答できる者の氏名、住所、電話番号等

申請者本人の情報を記載するか、行政書士等に作成を依頼した場合は当該行政書士の情報を記載します。

最後に

農地法第5条の申請書は記載事項はあっさりしています。しかし、許認可申請に慣れた方でなければ難しく感じるでしょう。
自分だけで作成するのが困難であれば、行政書士やハウスメーカーと相談してみましょう。

今回は以上で終わります。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。

この記事が農地転用許可の取得を検討されている方の参考になれば幸いです。

また、この他にも有益な情報を逐次投稿しております。よろしければ他の記事もご覧ください。
投稿記事 - 熊谷行政書士法務事務所 広島県広島市 (lo-kuma.com)

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